中古マンションを購入した場合、住宅ローン控除を利用できることをご存じでしょうか?住宅ローン控除を活用すれば所得税の負担を軽減でき、長期的に家計の節約に繋がります。しかし中古物件の所得税控除には適用条件があり、すべてが控除対象になる訳ではありません。適用要件を満たしているかを確認せずに購入すると、控除を受けられない可能性もあります。
本記事では、中古マンション購入時の住宅ローン控除の仕組みや適用条件、計算方法、手続きの流れを詳しく解説します。
住宅ローン控除は賢く活用すれば、費用負担を抑えてマンションが購入できる制度です。しかし、条件が複雑で、一般の方には分かりにくい内容があります。不安な方は、仲介会社の担当者に物件の詳細を確認するのをおすすめします。また、物件についてだけでなくローン控除についても知見を持った仲介会社を選ぶのもポイントです。

宅地建物取引士/行政書士
独学で宅地建物取引士/行政書士に合格。現在は、不動産や法律、金融、ライフスタイル系、コーヒーなど幅広いジャンルのライターとして活動している。
本記事の内容は2025年4月2日時点の情報に基づいており、不動産市場の状況や関連法規、税制などは将来変更される可能性があります。最新の情報については、公式の情報源をご確認ください。
中古マンション購入時にも使える!住宅ローン控除とは?

中古マンションを購入する際、住宅ローン控除を活用すると、所得税の負担を軽減できます。住宅ローン控除とは、一定の条件を満たす住宅ローンを組んだ場合に支払った所得税の一部が還付される制度です。特に中古物件の場合、適用条件が新築とは異なるため、事前に確認した方がいいでしょう。
ここからは住宅ローン控除の基本情報として、所得税の控除額、控除を受けられる期間、対象となる借入限度額について詳しく解説します。
所得税から控除される金額
住宅ローン控除では、住宅ローンの年末残高に応じた一定の割合が所得税から差し引かれます。一般的には、住宅ローン残高の0.7%が控除額となりますが、控除額の上限は物件の種類や購入時期によって異なります。

例えば、新築物件では最大40万円の控除が受けられますが、中古マンションの場合は最大21万円が上限です。控除額は支払った所得税の範囲内で適用されるため、事前に自身の所得税額を確認し、どの程度の還付が受けられるのか試算しておくと安心です。
控除を受けられる期間
住宅ローン控除の適用期間は、購入する物件の種類や適用される制度によって異なります。
通常、新築住宅では13年間の控除が適用可能ですが、中古マンションの控除期間は最長で10年間です。これは、政府の住宅政策により、新築住宅の購入が促進されているためです。控除期間内は毎年の所得税から控除を受けられるため、長期的な節税効果が期待できます。



控除期間を最大限活用するために、購入時の適用条件をしっかり確認しておきましょう。
対象となる借入限度額
住宅ローン控除の対象となる借入限度額は、購入する物件の種類や築年数によって異なります。一般的な中古マンションの場合、控除の対象となる住宅ローン残高の上限は2,000万円です。この範囲内であれば、住宅ローンの年末残高の0.7%が控除の対象となります。



ただし、省エネ性能や耐震性能が一定基準を満たす認定住宅であれば、借入限度額が引き上げられる場合もあります。借入限度額を超えた部分については控除の対象外となるため、住宅ローンの組み方や返済計画を事前にシミュレーションしておく必要があります。
参考:No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
中古マンション購入時の住宅ローン控除の適用条件


中古マンションを購入して、住宅ローン控除を受けるためには、一定の条件を満たす必要があります。適用条件を確認しないまま購入すると、控除が受けられない可能性もあります。事前に条件を確認しておきましょう。ここでは、ローンの条件、物件の条件、控除が適用されないケースについて解説します。
ローンの条件
住宅ローン控除が適用されるには、ローン自体が一以下の条件を満たしている必要があります。
- 借入期間が10年以上である
- 金融機関からの借入である
- 借入の目的が自己居住用



短期ローンや一括払い、親族からの借り入れ、投資用や賃貸用の物件には適用されない点に注意が必要です。
購入する物件の条件
住宅ローン控除を受けるためには、購入する中古マンションも以下の基準を満たしている必要があります。
- 登記上の床面積が50㎡以上であること
- 1982(昭和57)年以降の「新耐震基準」に適合していること、もしくは耐震診断を受け、基準を満たしていると証明されていること
- 購入者が取得後6カ月以内に入居し、引き続き居住すること
控除が適用されないケース
住宅ローン控除が適用されないケースもあります。
- 生計を一にする親族などからの購入ではないこと
- 贈与された住宅でないこと
- 借入期間が10年未満
- ローンの目的が自己居住用でない場合
- 築年数が古く、耐震基準を満たしていない物件



これらの条件を事前に確認し、控除が適用される物件を選びましょう。
中古マンション購入時の住宅ローン控除額の計算方法&シミュレーション


住宅ローン控除を活用すると、年末の住宅ローン残高に応じて所得税の負担を軽減できます。控除額の計算方法を理解し、事前にシミュレーションを行っていれば、どの程度の減税が期待できるのか把握できます。ここでは、具体的な計算方法とシミュレーションの流れを解説します。
住宅ローン控除額は「年末の住宅ローン残高 × 控除率」で計算されます。中古マンションの場合、控除率は0.7%が適用され、控除の上限額は年間最大21万円です。
例えば、年末のローン残高が2,000万円の場合、2,000万円 × 0.7% = 14万円が所得税から控除されます。ただし、所得税の支払い額を超えた控除は受けられません。



具体的な控除額を試算するには、シミュレーションツールを活用するのが便利です。ローン残高、所得税額、住宅の条件を入力すれば、適用可能な控除額を簡単に計算できます。事前に試算しておけば、購入計画がより具体的になるでしょう。
中古マンションの住宅ローン控除手続き


住宅ローン控除を受けるためには、必要な手続きを適切に行うことが重要です。特に初年度と2年目以降では手続きの方法が異なり、必要書類も変わるので注意が必要です。申請漏れがないよう、それぞれの手続きについて詳しく解説します。
初年度の手続き
住宅ローン控除の適用を受けるためには、マンションを購入した翌年に確定申告を行う必要があります。通常は確定申告を実施していない会社員であっても初年度は必ず確定申告が必要です。必要書類として、住宅ローンの年末残高証明書、売買契約書や登記簿謄本、住民票などが求められます。申請書類を税務署に提出し、審査が完了すると、控除額が確定し、所得税の還付を受けられます。申告期限は原則として翌年の3月15日までですので、余裕を持って準備しておきましょう。
2年目以降の手続き
2年目以降は、初年度とは異なり、住宅ローン控除の確定申告は不要です。会社員の場合、勤務先の年末調整で手続きできます。金融機関から送付される住宅ローンの年末残高証明書を必要書類として勤務先に提出すれば手続きは終了です。年末調整で控除が適用され、所得税が減額されます。ただし、自営業者や年末調整を利用しない人は、毎年確定申告が必要になります。控除期間の10年間は毎年住宅ローン控除が適用されます。控除期間中は継続して手続きを行いましょう。
まとめ


中古マンション購入時に住宅ローン控除を活用すれば、所得税の負担を軽減でき、長期的な節税効果が期待できます。しかし、控除を受けるためにはローンや物件が条件を満たしているうえで、手続きが必要です。住宅ローンの申請だけでなく、住宅ローン控除や補助金などの知見があり、丁寧に相談にのってくれる仲介会社を選ぶことも、中古マンション選びの成功のポイントです。
住宅ローン控除に適用するかどうかや控除額のシミュレーションなどもスムナラに気軽にご相談ください。
本記事を参考に、住宅ローン控除を適用できる物件を選び、税制メリットを最大限に活用しましょう。