生涯一度かも知れない高額消費のマンション購入。できる限り資産価値が落ちない物件を手に入れたいものです。
本記事では、神奈川県でこれから資産価値が落ちにくい街はどこか、資産価値の落ちないマンションの見分け方などについて解説します。
もっとも大切なのは表面的な相場やエリアのブランド価値ではなく、家族にとっての本質的な価値です。そのような点についても触れていきます。

宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士
早稲田大卒。マスコミ広報宣伝・大手メーカーのWebディレクター・不動産仲介業を経て、ライター業・不動産投資に従事。宅建士の業務の他、物件写真撮影とレタッチ・販売賃貸図面作成・重説契約書作成まで対応していた。実務経験をもとに、不動産の購入・売却、住まいの知恵、暮らしの法令、税金・法律などの幅広いテーマの執筆を行う。法令に則しながら、時流や現状も踏まえた解説を心掛けている。
本記事の内容は2025年8月28日時点の情報に基づいており、不動産市場の状況や関連法規、税制などは将来変更される可能性があります。最新の情報については、公式の情報源をご確認ください。
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【神奈川県】資産価値が落ちない街ランキングTOP5

神奈川県でもっともホットであり続け、今後も上昇が期待できるエリアは何といっても横浜市です。また相場が近く、価値の変化も比較しやすいため、ランキングは横浜市を対象に紹介します。
資産価値が落ちない街ランキング表(横浜市内・中古マンション)
※取引数の少ない築年数は非計上。
区の名前 | 築年数10年 | 築年数20年 | 築年数30年 | 築年数40年 | 築年数50年 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1. | 西区 | 8,180万 | 5,680万 | 4,980万 | 3,890万 | – |
2. | 中区 | 6,180万 | 4,980万 | 4,680万 | 3,680万 | 2,780万 |
3. | 神奈川区 | 5,290万 | 4,780万 | 4,000万 | 2,980万 | 2,580万 |
4. | 青葉区 | 5,480万 | 4,680万 | 3,890万 | 3,135万 | 2,580万 |
5. | 港北区 | 5,500万 | 4,580万 | 4,180万 | 3,380万 | 3,180万 |
伝統の中区を抜き去り、西区がトップとなっている背景は、タワーマンションが多く新築時の価格が高い点にもよるでしょう。築年数30年時点での想定価格が5,000万円近くあるというのは、高リセールバリュー=資産価値が下がらない立地として、一等の価値があります。

ベッドタウンとして発展した青葉区・港北区は東京都心へのアクセスの良さ、住宅地としてのステータス、さらに新築マンションの供給不足も影響して、上位の常連となっています。
神奈川県内で土地価格が上昇している街の傾向


では、相対価値による土地価格上昇=現在の価格相場を問わず資産価値が期待できるエリアはどこでしょうか?
横浜市
前項で紹介した中でも、特に将来性を期待されるのは、2018年からの5年間で10%以上の土地価格上昇を見せた西区と神奈川区です。
みなとみらい地区やJR横浜駅のある西区は、利便性とステータスを両立した人気エリアで、海浜側を中心に20以上のタワーマンションが林立。下落の要因が考えづらい状況です。
神奈川区は商工業地域を含む他、相鉄・JR・東急・京急と多彩な鉄道路線が網羅しているため、生活の利便性は抜群です。



高速道路も含めて、東京都心へのアクセスにも優れます。
川崎市
川崎市では、新丸子や武蔵小杉、元住吉を擁する中原区、同じく東京都と接してJR川崎を中心とする商業地域である幸区が注目エリアです。
中原区は2018年から10%以上の価格上昇を見せました。東京都心への圧倒的なアクセスの良さ、多摩川河畔の気持ちの良い景観、武蔵小杉駅周辺の都市機能の充実などはとても魅力的です。



お隣の幸区も工業地帯から住宅地・商業地域への変貌が進んでおり、注目株といえます。
相模原市
もともと子育て層の集まる、平穏な動きに終始していた相模原市ですが、市全域の住宅地、商業地、工業地の全用途で、平均変動率が2024年から3年連続で上昇。上げ幅も5~9.9%と、今後における維持・上昇が期待できるレベルのものです。
交通利便性の向上や再開発事業が進んでいることが要因ですが、橋本駅周辺地区は、将来のリニア新駅設置や開発に対する期待をはらんだ潜在需要も生まれています。
現状では資産価値維持の不利なエリアについても触れておくと、横須賀市・三浦市付近は自動車メーカーの規模縮小による工場撤退や都心へのアクセスが、勤労層には不利に働いて下落傾向となっています。



今後の開発の方向性に期待という見方もできるかもしれません。
参考:国土交通省「地価公示」
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神奈川県のマンションの価格相場は?


ここまで紹介した有力エリアの中古マンションは、どのような相場となっているでしょうか?主要駅の専有面積70㎡の中古マンション平均価格をご覧ください(2025年7月時点)
出典:LIFULL HOME’S「中古マンション平均価格表」
横浜エリア:みなとみらい・東神奈川
みなとみらい線(専有面積70㎡・中古マンション平均価格)
横浜 | 7,144万円 |
---|---|
新高島 | 8,524万円 |
みなとみらい | 11,945万円 |
京浜東北線(専有面積70㎡・中古マンション平均価格)
新子安 | 3,962万円 |
---|---|
東神奈川 | 9,020万円 |
神奈川県内でも、この2エリアのパワーは特別です。東京カンテイの調査による「首都圏資産価値ランキング」では、みなとみらい・東神奈川が並みいる東京都心の一等地の中でそれぞれ3位・5位に食い込む好調ぶりです。
首都圏資産価値ランキング 1位~10位
順位 | 駅名 | 沿線名 都県市区名 | リセールバリュー(%) |
---|---|---|---|
1位 | 原宿 | 山手線 他 東京都渋谷区 | 163.2 |
2位 | 馬喰横山 | 都営新宿線 他 東京都中央区 | 148.5 |
3位 | みなとみらい | みなとみらい線 神奈川県横浜市西区 | 147.5 |
4位 | 恵比寿 | 山手線 他 東京都渋谷区 | 140.9 |
5位 | 東神奈川 | 京浜東北線 他 神奈川県横浜市神奈川区 | 140.2 |
6位 | 目黒 | 山手線 他 東京都品川区 | 139.9 |
7位 | 代官山 | 東急東横線 東京都渋谷区 | 134.7 |
8位 | 神谷町 | 日比谷線 東京都港区 | 134.2 |
9位 | 明治神宮前 | 千代田線 他 東京都渋谷区 | 133.8 |
10位 | 品川 | 山手線 他 東京都港区 | 133.4 |
※リセールバリュー:2017年7月~2018年6月に中古流通したマンションを対象とした、新築分譲価格からの10年間の価格維持率
川崎エリア:中原区・幸区
東横線(専有面積70㎡・中古マンション平均価格)
新丸子 | 6,262万円 |
---|---|
武蔵小杉 | 6,310万円 |
元住吉 | 4,436万円 |
武蔵小杉駅は、2019年の台風被害でタワーマンションのインフラにトラブルが起きた際、わずかに下がった後すぐに持ち直し、上昇が続いています。
南武線(専有面積70㎡・中古マンション平均価格)
川崎 | 4,627万円 |
---|---|
尻手 | 4,503万円 |
矢向 | 4,520万円 |
長らく工業地帯のイメージが定着しているエリアですが「ラゾーナ川崎プラザ」「川崎ZERO GATE(ゼロゲート)」のオープン、2021年のJR川崎タワーのオフィス棟・商業棟の開業など、文字どおりの変貌を遂げました。
相模原エリア:相模原・橋本
横浜線(専有面積70㎡・中古マンション平均価格)
淵野辺 | 2,829万円 |
---|---|
相模原 | 2,704万円 |
橋本 | 3,253万円 |
現在は比較的お値ごろな物件を探しやすい相模原ですが、市の東部の市街地エリアは上昇を続けています。南側の相模線・相武台下付近では、2,000万円を切る物件も探すことができます。
資産価値が落ちにくいマンションの選び方


この項では、エリアを問わず資産価値の落ちにくいマンション選びの基本を説明します。
立地
立地は、住んでいる間の暮らしの充実に繋がる他、あとからの改善が困難な、以下のような要素です。
- 駅からのアクセス
- 生活の利便性
- エリアの将来性
駅からの近さは、複数路線が使えるターミナル駅、東京都心に直結する快速・急行停車駅であれば、さらに高い資産価値を期待できます。
エリアの将来性は今後の開発予定がキーですが、行政の都市計画方針が大きな手掛かりとなります。商業・福祉・医療等の生活機能を集積する「都心機能誘導区域」、一定の人口密度を維持する「居住促進区域」に該当する場所かその近辺であれば、人口減少後も居住地域の機能を維持していくエリアと考えて良いでしょう。
「エリアの将来性を見越して購入し、何年か住んで売却する」という場合、所得税に注意しましょう。不動産業者の仲介業目的以外で、一般の方が購入から5年を超えずに住まいを売却すると、3,000万円の控除枠を超えた部分には、39パーセントという高率の譲渡所得税・住民税が課税されてしまうためです。



タワーマンション購入による相続税の節税も、2024年より評価額の算定方法が変わり、特に築浅・高層階物件のメリットが薄くなっています。
設備・施設
以下のような物件の特徴は、購入者ごとに好みが分かれる部分ですが、幅広く支持を得やすく、大規模なマンションの方が資産価値が落ちにくいとされます。
- 広さ・間取り
- 設備・仕様
- 方位・階数
- 規模
注意点として、購入の時点で「立地に向いた流動性」を意識する必要があります。例えば文教地区や緑の豊かな子育てエリアは、広めの物件が好まれやすく流通しやすい=流動性が高いため、50㎡以下の2DKくらいの物件は、売る際に時間がかかったり、高く売りづらかったりするケースがあるでしょう。



規模の大きなマンションは戸数が多く、管理費・修繕積立の運用に余裕があります。
そのため、修繕も定期的に正しく行われることが多い他、コンシェルジュやラウンジ、パーティルーム、図書館などスペックの高い共用施設を設置することもしやすく、魅力的な物件に見せやすいといえます。
管理体制
以下の2点は、資産価値のためだけでなく、中古マンション選びでとても大切です。
- 長期修繕計画に基づいて、定期的で適切な大規模修繕が行われてきたか
- 管理体制の充実度
建物の初期性能や美観を維持し、今後も維持管理の予算が正しく運用されていくかで、本質的な資産価値が左右されるためです。
建物は修繕の時期を過ぎて放置した期間が長いと、建物内部の傷みが進行し、寿命を縮めてしまうことがあります。また、計画性のない修繕に踏み切る際には、予算不足で一時金の徴収が発生し、払いきれない入居者が多く出るという事も考えられます。



このような事態を避けるために、計画的な修繕計画は不可欠なのです。
また、管理に関しては配置されているスタッフの人数や「常駐・日勤・週勤」といった勤務サイクルによって日常の建物管理のレベルに差が出ます。実際にマンションの共有部分がきれいに保たれているかを確認するとともに、管理スタッフの勤務形態についても事前に確認しておきましょう。
中古マンション本来の価値
たしかに、エリアごとのリセールバリューを確認して、その地域のことをよく知るのは大切です。「駅近」や立地のごとのステータスも、市場の動向を表す一定の答えでもあるでしょう。
しかし、中古マンション本来の価値とは、以下の2点といえます。
- 物件固有の本質的な資産価値
- リセールバリュー<家族のニーズ
例えば、希望エリアのヴィンテージマンションに空きが出て、少し高いけれど購入を考えるという場合、一度冷静になりましょう。築年数相応の修繕履歴や、現在の住居事情に見合った管理体制が敷かれているか、設備やライフラインは更新されているかなどを専門的な目で確認してもらいます。
また、ランキング上位でも自分や家族のライフスタイル・将来設計に合わなければ意味がありません。



例えば、将来にわたって最大6人程の同居が考えられるのに、資産価値維持を意識して2LDKの物件を購入するのは、どんなに好立地でも本末転倒です。
スムナラでは、不動産仲介会社では持ちにくい以下のような視点で、物件選び・物件チェックのサポートを行います。
・物件×街の組み合わせで見る
同じ街でも、資産価値を維持しやすい物件とそうでない物件があります。街のカラーに適していて、末永く流動性を発揮できる物件かどうかを確認します。
・中古+管理体制で判断する
築10〜20年の中古でも、修繕履歴・管理組合の活動状況が健全であれば、価格維持率が高い物件と判断することができます。専門的な視点でチェックを行います。
・将来的なニーズの有無で判断する
例えば、家族のニーズに合わせて子育て需要が安定的な立地かどうか、再開発の関係性なども含めてチェックし、レポートします。
まとめ


神奈川県でこれから資産価値が落ちにくい街はどこか、資産価値の落ちないマンションの見分け方などについて解説しました。「20年後、30年後に価値の落ちないマンション」という判断は、現状のリセールバリュー想定や、人気ランキングだけでは判断が難しい面があります。
スムナラは、中古マンション購入の際の本質的・長期的な資産価値判断、管理状況・建物全体の健康寿命を把握するノウハウを持っています。
「ニーズに合っているか」「買って安心か」「専有部分はどこを直せばもっと良くなるか」など、提案可能な事項は多岐にわたります。
物件全体の価値や重要事項調査報告書の見方など、マンション選びに成功するためのサポートを初期段階より行います。ぜひお気軽にご相談ください。