マンションの管理費と修繕積立金の相場は?違いと価格が上がる理由を解説

マンションの購入の際に、毎月支払う管理費と修繕積立金は見落としがちな固定費です。しかし、管理費と修繕積立金は物件ごとに大きく異なるため、相場がわからないとお悩みの方も多いのではないでしょうか。

また、管理費の内訳や、修繕積立金が値上げされる事情などをしっかりと理解しておくことで、自分に合ったマンション選びに役立ち、また将来の生活費の計画も立てやすくなります。

本記事では、管理費と修繕積立金の相場や内訳を詳しく解説します。適切なマンション選びのポイントも紹介しているので、無駄な出費を避け、安心して暮らせる物件選びの参考にしてくださいね。

執筆者プロフィール
山下 麻綾
宅地建物取引士(合格)/行政書士(合格)

独学で宅地建物取引士/行政書士に合格。現在は、不動産や法律、金融、ライフスタイル系、コーヒーなど幅広いジャンルのライターとして活動している。

本記事の内容は2025年1月27日時点の情報に基づいており、不動産市場の状況や関連法規、税制などは将来変更される可能性があります。最新の情報については、公式の情報源をご確認ください。

目次

マンションの管理費と修繕積立金の違い

マンションに住む際には、基本的に管理費と修繕積立金の2種類の費用を継続して支払う必要があります。管理費と修繕積立金はそれぞれ目的や使い道が異なるため、違いを理解しておくことが重要です。以下では、管理費と修繕積立金の基本的な特徴を解説します。

管理費とは

管理費とは、マンションの共用部分を維持管理するために必要な費用のことです。管理費はエントランスや廊下の清掃、エレベーターの保守点検、共用部分の電気代などに使用されます。また、管理人の人件費や管理会社への委託費なども管理費から支払われます。

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入居者が納める管理費によって、マンション全体の快適な生活環境が維持されます。

修繕積立金とは

修繕積立金とは、マンションの建物や設備を修繕するために積み立てられる費用のことです。外壁の補修や屋上防水工事、給排水設備の更新といった大規模な修繕工事には、多額の費用が必要になります。築年数の経過とともに老朽化する設備を適切に修繕するために、修繕積立金として入居者は毎月一定額を積み立てていきます。

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修繕積立金により、長期的にマンションの資産価値を保つことができます。

マンションの管理費と修繕積立金の相場

マンションの管理費や修繕積立金は、物件選びの際に見落とされがちです。しかし、毎月の支出に大きく影響するうえ、物件ごとに金額に差があるため、一般的な相場を把握しておくことが重要です。ここからは、管理費と修繕積立金の平均的な相場について詳しく解説します。

管理費の相場

管理費の全国平均は、月額1万円~2万円程度です。国土交通省の調査によると、分譲マンションの管理費の平均は217円/㎡で、1戸あたりの平均管理費は約17,000円です。

管理費は、物件の規模や設備内容によって金額が異なります。例えば、オートロックや宅配ボックスなどの設備が充実している物件では、管理費が高額になる傾向があります。また、管理人が常駐するマンションは人件費が発生するため、管理費の負担も増します。

一方で、管理費が不要だったり、安すぎたりする場合は、十分な管理サービスが提供されないリスクがあります。

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マンション選びの際は、管理費が適切な金額に設定されているかを確認することが大切です。

修繕積立金の相場

修繕積立金の全国平均は、月額7,000円~15,000円程度です。また、国土交通省の調査によると、修繕積立金の平均額は築年数や住戸数によっても変動し、例えば、20戸以下のマンションでは、1戸あたり約13,000円というデータもあります。

マンションの築年数が浅いと修繕工事を行う必要がないため、修繕積立金が安く設定されていることがあります。しかし、築年数が経過するにつれて修繕積立金が増額され、負担が重くなるケースも少なくありません。

大規模修繕工事の費用は高額になるため、計画的に積み立てることが必要不可欠です。修繕積立金が不足していると、急な負担増が発生する可能性があるため、購入時には修繕積立金の積み立て状況などが記載された重要事項調査報告書を仲介担当に依頼して確認してもらいましょう。

山下

また、将来的な金額の推移もチェックしておくと安心です。

参考:国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」

管理費や修繕積立金の金額だけでマンションを選ばない方がよい

マンションの購入を考える際は、管理費や修繕積立金の金額に注目しがちです。しかし、単に金額の安さだけで物件を選ぶと、生活の質を損なう可能性があります。管理費や修繕積立金は、マンションの価値を維持し、快適な暮らしを支えるための重要な費用です。ここからは、金額だけで判断しない方がよい理由を詳しく解説します。

暮らしの質を維持するには管理費は必要不可欠

管理費は、マンションの共用部分を清潔で安全に保つために必要な費用です。共用部分の管理が不十分だと、住環境の悪化に繋がり、資産価値の低下を招く恐れがあります。管理費が安過ぎる物件は暮らしの快適さが低下したり、マンションの資産価値が損なわれたりする可能性があります。

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支払う費用相当の、適切な管理が行われているかを確認することが重要です。

管理費が管理サービスの内容に見合った金額かを判断することが大切

管理費はマンションごとに異なり、提供される管理サービスの内容によって金額に差があります。例えば、管理人が常駐しているマンションは管理費が高くなる傾向にありますが、常駐の有無は安心感に直結します。

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管理費の金額だけではなく、長期的に快適な暮らしが維持できるかを基準に判断しましょう。

修繕積立金が上がる理由

修繕積立金は、マンションの大規模修繕工事に備える重要な費用です。しかし、入居後に積立金の増額が通知され、驚くケースも少なくありません。修繕積立金が値上げされる主な理由は、修繕計画の見直しや物価上昇などが挙げられます。ここでは、修繕積立金が上がる4つの理由を詳しく解説します。

段階増額積立方式が採用されている

多くのマンションでは、段階増額積立方式が採用されています。段階増額積立方式は、入居初期の負担を軽くするために修繕積立金を低く設定し、築年数の経過に合わせて増額される仕組みです。マンションの大規模修繕は10年~15年周期で計画されることが多く、修繕計画に沿って修繕積立金が見直される場合もあります。

段階増額積立方式は将来的に金銭的な負担が増えるリスクがあるため、マンションの契約時に長期的な増額スケジュールを確認することが重要です。

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特に、10~15年後の大規模修繕に備えるため、積立金が急に増額されるケースが多いです。

分譲時の設定金額が低い

マンションの販売時には、修繕積立金の初期設定が低く抑えられることがあります。購入希望者の負担感を和らげるための施策ですが、将来的に必要な修繕費用をカバーできなくなることが懸念されます。

分譲時の設定金額が低い場合、不足分を補うために修繕積立金が大幅に増額されることがあります。

山下

したがって、マンションを購入する際は、積立金の初期設定が妥当か、将来的な増額計画がしっかり立てられているかを確認することが重要です。

人件費や資材高騰による修繕費の値上がり

修繕積立金の増額には、人件費や資材費の高騰なども影響します。近年、建設業界では人手不足が深刻化しており、工事の人件費が上昇しています。また、建築資材の価格も世界的に高騰しているため、修繕工事の費用が当初の計画よりも高額になるケースが増加しています。

山下

このような外的要因は予測することが難しいため、ある程度の増額リスクを考慮しておくことが必要です。

計画にない大規模修繕工事

想定外の大規模修繕工事が発生した場合、修繕積立金が急増することがあります。例えば、外壁の劣化や給排水管の破損、屋上防水の不具合など、事前の計画には含まれていなかった修繕が必要になるケースです。

このようなトラブルを未然に防ぐためには、定期点検と適切なメンテナンスが欠かせません。

山下

管理体制がしっかり整っているマンションを選ぶことで、急な積立金の増額リスクを軽減することができます。

まとめ

マンションの管理費と修繕積立金は、快適な暮らしと資産価値の維持に欠かすことができない重要な費用です。管理費と修繕積立金の金額は物件ごとに異なり、相場を理解しておくことで将来の出費を予測しやすくなります。ただし、金額の安さだけで物件を選ぶと、管理サービス不足や急な増額リスクに繋がる可能性があるため、購入時には管理内容が適正かどうかを仲介担当を通してきちんと実態を確認することが大切です。本記事を参考に、適切な管理費・修繕積立金が設定されているマンションを選び、安心して暮らせる環境を整えましょう。

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  • 独学で宅地建物取引士/行政書士に合格。現在は、不動産や法律、金融、ライフスタイル系、コーヒーなど幅広いジャンルのライターとして活動している。

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独学で宅地建物取引士/行政書士に合格。現在は、不動産や法律、金融、ライフスタイル系、コーヒーなど幅広いジャンルのライターとして活動している。

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