中古マンションをリノベーションする費用は?物件選びのポイント、注意点、補助金を解説

「リノベーションする中古マンションは何を基準に選べば良いのか?」
「リノベーションで理想の住まいにするための注意点は?」

中古マンションのリノベーションを検討する際に、このような疑問を持つ方も多いでしょう。

満足のいくリノベーションを行うには、工事内容だけでなく物件選びも重要なポイントとなります。なぜなら物件によって可能なリノベーションが異なるからです。築年数や見た目の古さなど、表面的な部分で選ぶのではなく、ぜひ「理想の暮らしが叶えられるリノベーションができるかどうか」で選んでください。

今回は、中古マンションをリノベーションするメリット・デメリットや物件の選び方、リノベーションを行う際の注意点などを紹介します。後悔のない家づくりをしたい方は、最後まで読んで参考にしてください。

執筆者プロフィール
杉山 明熙
宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士

元不動産営業のWEBライター。不動産会社で店長や営業部長として12年間勤務し、売買仲介・賃貸仲介・新築戸建販売・賃貸管理・売却査定等、あらゆる業務に精通。その後、不動産Webライターとして大手メディアや不動産会社のオウンドメディアで、住まいや不動産投資に関する記事を多く提供している。不動産業界経験者にしかわからないことを発信することで「実情がわかりにくい不動産業界をもっと身近に感じてもらいたい」をモットーに執筆活動を展開中。

本記事の内容は2025年4月15日時点の情報に基づいており、不動産市場の状況や関連法規、税制などは将来変更される可能性があります。最新の情報については、公式の情報源をご確認ください。

目次

中古マンションをリノベーションするメリット&デメリット

中古マンションをリノベーションすれば、新築とは一味違う住まいづくりが可能です。ここでは、中古マンションをリノベーションするメリットとデメリットを紹介します。

メリット

中古マンションをリノベーションするもっとも大きなメリットは、自分の好みに合わせて部屋をカスタマイズして、理想に近い住まいが作れることです。

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また、リノベーション前提で中古マンションを探せば、内装のきれいさや間取りを考慮せずに物件を選べるので、選択肢が増えます。さらに、新築物件の購入に比べてコストが抑えられる点もメリットです。リノベーションを行えば新築同様の見た目や設備を得られるうえに、新築マンションを購入するよりも費用を抑えられます。

デメリット

中古マンションのリノベーションにはメリットが多い反面、デメリットにも気をつけなければいけません。いくら築浅だったり室内がきれいでも、管理状態が悪いマンションは建物全体の劣化が進んでいる可能性があります。構造部分に改修が必要になる程の劣化があれば、大きな改修費を負担する必要があります。構造部分が劣化した物件を避けるためにも、中古マンション購入の際は管理状態をチェックすることが大切です。

また、リノベーションには工事期間がかかるため、購入後すぐに住めない点もデメリットです。工事期間が数週間以上に及ぶ場合、仮住まいの費用や引っ越しを繰り返す手間が発生してしまいます。

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このように、中古マンションをリノベーションする際は、想定外の出費や手間が発生する可能性を見込んだ上で準備しておくことが大切です。

リノベーションする中古マンションの選び方

リノベーションを成功させるためには、マンション選びが重要です。ここでは、リノベーションする中古マンションの選ぶコツを3つ紹介します。

管理体制

せっかくリノベーションをしても、安心して生活できなければ困ります。中古マンションの購入後に安心して生活していくためには、建物全体の管理がしっかり行われているかを重要事項調査報告書でチェックしましょう。管理組合がきちんと機能しているマンションでは、定期的な修繕計画が立てられ、必要に応じて外壁や共用設備などのメンテナンスが行われています。

重要事項調査報告書はマンションの管理状況や過去の工事履歴、将来の修繕予定が記載された書類です。重要事項調査報告書を見るには、仲介会社に依頼する必要があります。ただし、仲介会社によっては、マンションの管理状況よりも表面的な築年数や見た目を重視する会社もあり、重要事項調査報告書を取り寄せて確認していない場合があります。修繕履歴や修繕計画は、長く快適に暮らせるマンションを見極めるために必要な情報ですので、必ず確認してくれる丁寧な仲介会社を選びましょう。

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さらに、エントランスやエレベーターなどの共用部分の清掃状況や、掲示板の管理状態なども見ておきましょう。「共用部分がきれいに保たれているか」「掲示板に古いチラシが貼ったままになっていないか」を自分の目で確かめておくと安心です。

適正価格からかけ離れていないか

中古マンションは地域や築年数、広さによって相場がある程度定まっています。そのため、周辺エリアで同条件の物件と比較し、適正価格かをチェックしましょう。

相場よりも価格が高い物件は「住宅ローンが多く残っている」「住み替えるための資金を多く確保したい」などの売主都合が反映されている可能性があります。逆に相場より安い物件には、「借地権付マンション」や「投資用のオーナーチェンジ物件」など、何らかの理由が潜んでいることがほとんどです。

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中古マンションの購入で失敗を防ぐためには、ネットやチラシで売り出し中の物件を比較しながら、エリアの価格相場を掴んでおくと良いでしょう。相場より大きく前後する価格のマンションには理由があることがほとんどです。価格設定の背景について、仲介会社の担当者に確認するのがおすすめです。

希望するプランの実現は可能か

リノベーションで叶えたい間取りやデザインがあれば、そのプランが実現できるマンションかをチェックする必要があります。

例えば、壁自体で建物を支える「壁式構造」では、大きな間仕切りの撤去ができないケースがあります。一方、柱と梁が建物を支えている「ラーメン構造」であれば、間仕切りを撤去しやすいため、希望の間取りが作りやすくなります。

また、水回りの移動を検討する場合はパイプスペースの位置にも注目してください。排水はパイプスペースに向かって流れるよう勾配がつけられています。トイレやキッチンを大きく動かすと、勾配をつけるために床の高さや天井高に影響が出る可能性があります。

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リノベーションを行う中古マンションを選ぶ際は、リフォーム会社などの専門家と相談しながら構造を確認しましょう。物件ごとにマンションの管理規約が違うため、可能なリノベーションの範囲も異なります。特に、床のリノベーションには制限があることが多いです。

リノベーション費用と補助金

中古マンションのリノベーション費用は、工事内容や物件の規模によって大きく変わります。あらかじめ目安を知っておくと同時に、利用できる補助金や減税制度を把握しておけば、資金計画が立てやすくなるでしょう。

費用の目安

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リノベーション内容費用目安(60平米の場合)
水回りと内装のリノベーションのみ(間取りの変更なし)800万円前後
全面リノベーション(間取りの変更あり)1,200万円前後
素材やグレードにこだわった全面リノベーション(間取りの変更あり)1,500万円前後

間取りを変更せずに水回りと内装のリノベーションを行う場合は、60平米で800万円前後が目安です。それに加えて間取りの変更も加えるのであれば、1,200万円前後の予算ををおすすめします。さらに、素材やグレードにこだわったり、手厚い断熱工事を行ったりすると1,500万円以上かかるケースもあります。

また、中古物件の購入には仲介手数料や登記費用、引っ越し費用や入居後に納める税金を含めると、総額として物件価格の10%程を準備しておくと安心です。

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全体の予算から上記のリノベーション費用と諸費用を差し引いた金額が、物件購入に回せる予算です。部分リノベーションでも十分快適に過ごせる空間づくりは可能ですので、予算に応じて工事内容を取捨選択しながら、無理のないリノベーション計画を立てましょう。

補助金・減税措置

中古マンションのリノベーションには、国や自治体が実施する支援制度を活用できる場合があります。

例えば、リノベーション後に長期優良住宅の認定を受ける予定であれば「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助金がおすすめです。長期優良住宅に認定されていれば、住宅ローン控除や固定資産税などの特例措置が受けられるでしょう。

さらに、自治体ごとの助成が受けられるケースもあります。東京都の「東京都既存住宅省エネ改修促進事業」や、埼玉県の「家庭における省エネ・再エネ活用設備導入補助金」など、自治体によって補助の内容は違うので、確認してみましょう。

また、バリアフリーや介護に関するリノベーションを行えば、介護保険の支援制度により給付金や補助金を受けられることがあります。廊下や浴室などの手すりの設置や、段差解消のためのスロープ設置など、リノベーションでバリアフリー化を検討している方は自治体の窓口に相談してみましょう。

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このように、中古マンションのリノベーションにはさまざまな補助金や減税制度があります。ただし、具体的な要件や申請期間は制度ごとに異なるため、検討している工事内容に合った制度をあらかじめ調べておくことが必要です。

中古マンションをリノベーションする際の注意点

ここからは、中古マンションのリノベーションを成功させるための注意点を紹介します。

時期に余裕を持って住宅ローンを検討する

住宅ローンの事前審査から融資が完了するまでは、1カ月〜1カ月半程度かかることが一般的です。そのため、中古マンションをリノベーションする際は、時間にゆとりを持って住宅ローンを検討しましょう。

例えば、複数の金融機関が気になっていても、時間に余裕がなければじっくりと比較検討することができません。その結果、最適な金融機関が選べない可能性もあります。

納得のいく住宅ローンを組みたいのであれば、あらかじめ大まかな予算や借入条件を調べ、購入を検討し始めた段階から複数の金融機関をチェックしておいてください。特に、3月の繁忙期や連休が続く時期はさらに審査にかかる期間が伸びることも考えられるため、余裕を持って相談することをおすすめします。

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中古マンションの購入からリノベーションまでワンストップで行っている仲介会社もあるので、そういった会社を選べばスケジュールの心配はいりません。スケジュールに不安のある方はワンストップでサポートしてくれる会社を選ぶのがおすすめです。ちなみにスムナラではワンストップでサポートしているので、お気軽にご相談ください。

予算が限られている場合は優先順位に沿って決める

工事計画を進めるうちに見積もりが増えると、想定以上の予算が必要になることがあります。その際は、叶えたいことを優先度の高い順に整理すると良いでしょう。

譲れない部分にしっかり投資し、それ以外は思い切って切り捨てる方が、満足度が高くなる傾向があります。例えば、水回りの交換や老朽化が進んだ箇所の修繕を優先し、間取りの変更は諦めるというケースも出てきます。

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このように、予算が限られた中でリノベーションを検討する際は、事前に優先順位を明確にして軸をぶらさないことが大切です。

まとめ

今回は、中古マンションをリノベーションするメリット・デメリットや注意点について解説しました。

リノベーションするマンションを選ぶコツや、リノベーションの注意点を意識すれば、理想の住まいに近づけられます。さらに、費用の目安や補助金・減税措置を把握しておけば、リノベーションの資金計画が組みやすくなるでしょう。

今回解説した内容を参考に、満足度の高い中古マンションのリノベーションを実現しましょう!

この記事の制作体制
  • 元不動産営業のWEBライター。不動産会社で店長や営業部長として12年間勤務し、売買仲介・賃貸仲介・新築戸建販売・賃貸管理・売却査定等、あらゆる業務に精通。その後、不動産Webライターとして大手メディアや不動産会社のオウンドメディアで、住まいや不動産投資に関する記事を多く提供している。不動産業界経験者にしかわからないことを発信することで「実情がわかりにくい不動産業界をもっと身近に感じてもらいたい」をモットーに執筆活動を展開中。

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