中古マンションは住宅ローンが組めないって本当?ローンが通りにくい物件と制限を解説

中古マンションを購入しようと思っても「住宅ローンが組めないかもしれない」と不安を抱えていませんか?

確かに中古マンションでも住宅ローンは組めますが、新築と比べて審査が厳しくなる傾向があります。特に、旧耐震基準の物件、借地権付き物件、再建築不可物件はなおさら融資が受けにくいといわれています。

中古マンションの購入時に、多くの方が「希望額の融資が受けられない」「返済期間が短くなる」といった問題に直面しています。実際築20年のマンションでは返済期間が27年に制限されるケースもあります。

住宅ローンに通るかどうかは仲介会社が各金融機関の傾向と対策を知っているかどうかにも左右されます。良い仲介会社を見極めることも、中古マンション購入成功の鍵です。

そこで今回は、中古マンションで住宅ローンを組む際に知っておきたい基礎知識や、ローンが通りにくい物件について詳しく解説します。

執筆者プロフィール
杉山 明熙
宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士

元不動産営業のWEBライター。不動産会社で店長や営業部長として12年間勤務し、売買仲介・賃貸仲介・新築戸建販売・賃貸管理・売却査定等、あらゆる業務に精通。その後、不動産Webライターとして大手メディアや不動産会社のオウンドメディアで、住まいや不動産投資に関する記事を多く提供している。不動産業界経験者にしかわからないことを発信することで「実情がわかりにくい不動産業界をもっと身近に感じてもらいたい」をモットーに執筆活動を展開中。

本記事の内容は2025年5月25日時点の情報に基づいており、不動産市場の状況や関連法規、税制などは将来変更される可能性があります。最新の情報については、公式の情報源をご確認ください。

目次

中古マンションだと住宅ローンが組めないのか?

結論として、中古マンションでも住宅ローンは組めます。現時点で将来の返済能力が証明できれば、問題なく住宅ローンの審査を通過できるでしょう。

ただし、中古マンションは新築マンションより物件の担保価値が低く評価されがちで、審査が厳しくなる傾向にあります。担保価値は、住宅ローンを組む不動産を売却した際に得られる物件の評価額です。

中には、住宅ローン審査が通らなかった方もいるかもしれません。しかし、住宅ローンのノウハウを学び戦略を立てることで、住宅ローンが通らなかった方や個人事業主でも審査に通ることが可能です。

中古マンションの購入を検討する際は、事前に金融機関や信頼できる不動産仲介会社に相談し、融資が受けられるかどうかを確認しましょう。住宅ローンを組めるかは、将来の返済能力を証明できるかにかかっています。金融機関の傾向を理解し、返済能力を証明する資料をどう用意するかなどは、仲介会社によって対応が異なります。

杉山

住宅ローンを通すためには何をすべきなのか、万が一、今通らなくても将来的に準備できることはないかなど、丁寧に相談に乗ってくれる仲介会社を選びましょう。

中古マンション購入時に住宅ローンに含めることができる費用

中古マンションを購入する際は、物件価格以外にもさまざまな諸費用が発生します。ここでは、諸費用の種類と、それらの費用が住宅ローンに組み込めるかどうかについて詳しく解説します。

中古マンション購入時に必要な諸費用

中古マンション購入時の諸費用は、物件価格の8〜10%が目安です。例えば、3,000万円のマンションを購入する際は、150~240万円の諸費用がかかります。諸費用の金額に幅があるのは、ケースによって住宅ローンの関連費用や税金などに違いが出るためです。

中古マンションにかかる主な諸費用は、以下の通りです。

  • 仲介手数料:物件価格の3%+6万円+消費税(上限)
  • 手付金:売買契約時に支払い、物件価格の5~10%程度に充当されます。)
  • リフォーム・リノベーション費用:購入と同時に行うリフォームやリノベーションの工事費用
  • 印紙税:契約書に貼付する印紙
  • 登記費用:所有権移転や抵当権設定の登録免許税と司法書士報酬
  • 住宅ローン関連費用:金融機関に支払う事務手数料や保証料
  • 火災保険料:保険会社に支払う保険料
  • 固定資産税・都市計画税の精算金:売主との日割り清算分
  • 不動産取得税:購入後に課される地方税(固定資産税評価額×3%)
  • 引越し費用:引越し業者へ支払う代金や新居の家具・家電費用

上記の中には、住宅ローンに組み込める費用もあります。住宅ローンに組み込める費用と組み込めない費用について一般的な事例を紹介します。

杉山

厳密には金融機関によって違いますので、資金計画は経験豊富な仲介会社と相談しながら進めると安心です。

住宅ローンに含めることができる費用

住宅ローンには、物件価格だけでなく一部の諸費用も組み込めます。詳細は金融機関によって違いますが、組み込めることが多いのは、主に以下のような費用です。

  • 仲介手数料
  • リフォーム・リノベーション費用
  • 印紙税
  • 登記費用
  • 住宅ローン関連費用
  • 火災保険料

住宅ローンに諸費用を組み込めば、現金の持ち出しが少なくてすみます。ただし、その分借入総額が増える点に注意が必要です。

住宅ローンに含めることができない費用

一方で、住宅ローンに含めることができない費用もあります。主に以下のような費用は、原則として住宅ローンに含めることができず、現金での支払いが必要になります。

  • 手付金
  • 不動産取得税
  • 固定資産税・都市計画税の精算金
  • 引越し費用

物件の購入には、物件価格以外にもさまざまな費用がかかるため、「ローンでどこまでカバーできるのか」と「どこまで自己資金が必要なのか」を整理しておくことが大切です。

杉山

予算を立てる際には、こうした費用もあわせて見積もっておけば、あとから慌てることなくスムーズに手続きを進めることができるでしょう。

ローンが通りにくい中古マンションの特徴

住宅ローンの審査は「どんな物件なのか」も大きく影響し、住宅ローンの審査に通りにくい物件には特徴があります。ここでは、ローン審査に通りにくいとされる物件の特徴を詳しく解説します。

旧耐震基準で建てられている

旧耐震基準で建てられた中古マンションは住宅ローンの審査に通りにくい傾向があります。

旧耐震基準は、1981年5月31日以前に建てられた建物に適用され、震度5強程度の揺れに耐えられることを想定しています。

これに対して現在の新耐震基準は、震度6強〜7程度でも倒壊しないことが求められており、耐震性能は大きな差があります。このため、金融機関が評価する担保評価が低く見積もられやすく、ローン審査にも影響しがちです。

ただし、一定の耐震性を証明する「耐震基準適合証明書」を取得できれば、旧耐震基準の物件でもローンが組める可能性があります。

杉山

購入を考えている物件が、旧耐震基準で建てられているのであれば、耐震基準適合証明書の発行が可能かどうかを、早い段階で不動産会社の担当者に確認すると安心でしょう。

借地権が付いている

借地権付きの中古マンションも住宅ローンの審査が厳しくなりやすい物件です。

借地権とは、他人の土地を借りて建物を建てる権利のことで、マンションを購入しても土地の所有権は得られません。つまり、土地の所有権が第三者にあるため担保価値が低く評価され、住宅ローンが通りにくくなるのです。

借地権には主に以下の2種類があります。

普通借地権:更新が可能
定期借地権:契約満了後は更地にして返還する必要がある

特に定期借地権付きのマンションは、契約期間が限られているため、より審査が厳しくなります。例えば、残存期間が20年しかない定期借地権付き物件では、35年ローンなどの長期融資は受けられない可能性が高いです。

杉山

借地権付きのマンションを検討する場合は、借地契約の内容を確認し、複数の金融機関へ事前に相談しておきましょう。

再建築不可である

ローンが通りにくい中古マンションには、再建築不可物件もあります。再建築不可のマンションは、火災や地震で建物が消失してしまうと、同じ場所に新たなマンションは建て直せません。このため、金融機関の審査が厳しくなります。

再建築不可になる主な理由は、建築基準法の接道義務を満たしていないことです。これは、敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないというルールで、例えば幅3mの私道にしか面していない物件は、接道義務を満たさないため再建築不可と判断されます。

住宅ローンの審査を通過の有無だけでなく、こうした物件は将来的な資産価値や住み替え時の売却にも影響が出る可能性があります。

杉山

中古マンションの購入を検討する際は、再建築可能かどうかを不動産会社の担当者に必ず確認しましょう。

中古マンション購入時の住宅ローンの制限

中古マンションを購入する際の住宅ローンには、新築物件とは異なる制限が設けられています。ここからは、中古マンションの購入時に注意すべき住宅ローンの制限について解説します。

審査基準

中古マンションの住宅ローン審査は、新築よりも厳しくなる傾向があります。これは金融機関は物件の担保価値を重視するからです。築年数が経過した物件は担保評価がさがりやすく、審査のハードルが上がります。特に旧耐震基準の物件では、耐震性能の面から審査が厳しくなりやすいでしょう。

杉山

ただし、金融機関によって審査基準は異なります。審査基準は銀行ごとに大きく異なるため、条件が厳しいと感じた場合でも、別の金融機関では通る可能性があります。

スムナラでは、銀行ごとの特色や審査基準を把握し、それぞれのお客様にとって最適な住宅ローン戦略をご提案しています。「中古マンションだとローンが組みにくいのでは?」と不安を感じた際は、まずはお気軽にお問い合わせください。

借入金額

中古マンションの住宅ローンでは、借入金額に制限がかかるケースがあります。これは、物件の担保評価額が新築よりも低く見積もられやすく、担保評価額がさがるためです。

中古マンションの場合、物件の担保評価額は購入価格の8割程度のこともあります。築20年で物件価格3,000万円のマンションを購入する場合、担保評価額は8割の2,400万円からスタートします。そのうえ築年数による評価減が加味されると、借入可能額はさらに下がるかもしれません。結果、想定しているより多くの現金が必要になり、差額分が必要になるケースもあります。

特に法定耐用年数である築47年に近いマンションでは、建物価値がほとんど評価されず、土地価格のみを担保として融資額が決定される場合もあります。中古マンションの購入では「いくら借りられるか」だけでなく、「どこまで自己資金が必要か」まで見越して資金計画を立てておくことが必要です。

杉山

購入前には、金融機関や不動産会社に早めに相談し、借入可能額の目安を確認しておきましょう。

返済期間

中古マンションの住宅ローンでは返済期間にも制限がかかる場合があります。一般的な住宅ローンの最長返済期間は35年ですが、中古物件になると築年数に応じて短縮されることがあり注意が必要です。返済期間が短くなると、月々の住宅ローンの返済額が高くなる可能性もあり、資金計画に大きな影響を与えるかもしれません。

返済期間は、厳密には「法定耐用年数 – 築年数」の計算式で決まり、鉄筋コンクリート造のマンションの法定耐用年数は47年です。例えば、築20年の物件の返済期間の上限は「47年 − 20年 = 27年」となります。しかし、実際は必ずしも耐用年数ベースでは判断されません。

金融機関ごとに独自の審査基準が設けられており、借り手の年収や年齢、物件の資産価値、さらにはリノベーションの有無や将来的な流通性などが考慮され、返済期間が決定されます。

また、築年数がかなり古い物件や、資産価値の低いエリアの場合は、金融機関がリスクを見て返済期間を短めに設定するケースもあります。

杉山

ポイントは「一律ではない」ということです。住宅ローンを組む際は、1つの金融機関の条件だけで判断せず、複数の銀行やフラット35のような制度も含めて比較検討し、仲介担当に相談することが大切です。

まとめ

今回は、中古マンションを購入する際の住宅ローンについて解説しました。中古マンションでも住宅ローンは組めますが、物件の担保価値が新築よりも低く評価されやすく、審査が厳しくなる傾向にあります。特に、旧耐震基準で建てられた物件や、借地権付きのマンション、再建築不可の物件などは、金融機関の評価が下がりやすく注意が必要です。また、中古マンションは築年数に応じて借入金額や返済期間に制限がかかることもあり、資金計画は新築以上に工夫が求められます。

こうした、中古マンション特有の住宅ローン審査のハードルをクリアするには、物件の見極めとローン戦略の両面において信頼できる不動産会社のサポートを受けると安心に繋がります。実際に住宅ローンの組みやすさや購入後の満足度は、仲介業者によって大きく左右されるのが現実です。

スムナラは、中古マンションに関する豊富な取り扱い実績もあり、金融機関ごとの審査基準や物件の評価ポイントを熟知しています。住宅ローンの審査に不安がある方も、どうぞお気軽にご相談ください。物件選びから資金計画まで、あなたに合った方法で、無理のない中古マンション購入をトータルでサポートいたします。

安心して長く住める
中古マンションをお探しの方

相物件選びと何回でも無料相談を行う、スムナラの相談窓口・お問い合わせはこちら。

リノベーションをお考えの方

リノベーションを行う事例や相談窓口のHPはこちら。

この記事の制作体制
  • 元不動産営業のWEBライター。不動産会社で店長や営業部長として12年間勤務し、売買仲介・賃貸仲介・新築戸建販売・賃貸管理・売却査定等、あらゆる業務に精通。その後、不動産Webライターとして大手メディアや不動産会社のオウンドメディアで、住まいや不動産投資に関する記事を多く提供している。不動産業界経験者にしかわからないことを発信することで「実情がわかりにくい不動産業界をもっと身近に感じてもらいたい」をモットーに執筆活動を展開中。

目次