マンションの修繕積立金とは? 相場・値上がりの理由・確認方法までを解説

毎月の管理費とともに支払う「修繕積立金」は、マンションの購入前に必ず確認しておくべき費用です。

マンションを購入する場合は、専有部分にばかり目が行きがちですが、修繕積立金は、マンション全体の管理体制、修繕状態、積立金の金額から滞納状況まで、マンションの管理に関する内容が把握できるものなのです。これらは建物全体の資産価値や寿命に関わる重要な情報です。つまり、管理状態が良い物件こそが安心して住み続けられる中古マンションで、修繕積立金はそれを測る重要な指標の1つなので、必ず事前にチェックしておきましょう。

修繕積立金は購入前に比べて値上げされることもあります。具体的な使い道や適正金額が気になる方も多いでしょう。

本記事では、修繕積立金の仕組みや相場、値上がりの理由、積立状況の確認方法、確認すべきポイントについて解説します。将来的な負担を避けるために、正しい知識を身につけて、後悔のないマンション選びをしましょう。

執筆者プロフィール
森田 一成
宅地建物取引士

15年間の住宅・不動産専門新聞社の経験、不動産投資セミナーの企画・運営、不動産団体広報誌の企画・取材・原稿執筆などを経て、Webメディア制作・編集、不動産関連のセミナー企画などを行っている株式会社アース・リーグを設立し代表を務める。

本記事の内容は2025年1月16日時点の情報に基づいており、不動産市場の状況や関連法規、税制などは将来変更される可能性があります。最新の情報については、公式の情報源をご確認ください。

目次

マンション修繕積立金とは?

マンションの維持管理は、日常的な清掃や設備の点検・修理だけではありません。一定の周期で大規模な修繕工事が必要になります。

修繕積立金の基本的な仕組み

修繕積立金は、マンション(区分所有建物)の共用部分を修繕するために、管理組合が各所有者から徴収するお金です。

マンションは、多くの住民が共同で利用する建物です。エントランスやエレベーター、給排水設備などの共用部分は、すべての住民が恩恵を受けています。そのため、それら共用の設備が劣化した場合には、住民が費用を出しあって修繕費を負担する仕組みになっています。

修繕積立金は、日常的な管理費とは明確に区別されています。

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管理費は清掃や警備、日常的なメンテナンスに使われるのに対し、修繕積立金は長期的な修繕計画にもとづいて積み立てられ、必要なタイミングで大規模修繕に使用されます。

修繕積立金と管理費の違い

項目内容
管理費清掃や設備維持など、日常的な管理に使用される資金
修繕積立金外壁の修繕や設備の交換など、大規模修繕のために積み立てる資金

修繕積立金の使い道

修繕積立金は、マンションの長期的な維持・保全のために使われます。主な使い道は、以下のような用途があります。

  • 外壁や屋根の修繕、防水工事
  • シーリング工事
  • 鉄部塗装工事
  • エレベーターの修理
  • 給排水設備の更新工事
  • 共用部分の改修工事

修繕積立金の使い道は、管理組合が策定する「長期修繕計画」に基づいて決定されます。

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一般的に、マンションの竣工時に管理組合が30〜40年間の修繕計画を立て、定期的に見直しながら、適切に修繕を進めます。

修繕積立金の相場

修繕積立金の相場は、マンションの規模や築年数、立地条件などによって異なります。しかし、実際の負担額はマンションによって大きく違います。

相場は月1万3,000円程度

国土交通省の調査では、マンション1戸あたりの修繕積立金の全国平均額は13,054円です。この額は駐車場使用料等からの充当額を含みません。

国交省の調査では平均積立金額は3.58倍に

修繕積立金は、一般的に築年数の経過にともない増額されます。国土交通省の調査によると、新築時と比較した最終計画年の平均積立金額は3.58倍です。

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つまり、新築時に5,000円だった修繕積立金が、30年後には18,000円以上になるケースも珍しくありません。

修繕積立金が不足しているマンションは3割以上

修繕積立金が、計画どおりに積み立てられているマンションばかりではありません。国土交通省の調査の結果、計画上の積立額に比較して実際の積立額が不足しているマンションは、全体の36.6%にのぼりました。

積立が計画どおりに進まない以外にも、物価の上昇などで修繕積立金が不足することもあります。修繕積立金が不足すると、マンションに以下のような問題が発生する可能性があります。

  • 修繕計画どおりに工事を実施できないので、建物の老朽化が進行
  • 一時金の徴収や修繕工事のための借り入れが必要になるので、住民の負担が増える
  • 計画外の対応が必要になるので、方針を巡って住民間のトラブルが発生

マンションの規模による違い

修繕積立金の額は、マンションの規模によっても違います。大規模なマンションの修繕費用はそれなりに高額ですが、戸数が多いとスケールメリットが生まれるためにエレベーターや給水設備などの費用負担は楽になります。したがって、戸数が少ない小規模マンションの方が、修繕積立金は高額になる傾向があります。

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大規模マンションの場合、その他にも修繕工事を一括発注し費用を抑えるなど、スケールメリットを活かしたコスト抑制も可能です。

専有面積の広さによる違い

修繕積立金は、マンションの専有面積(住戸)の広さによって違います。基本的には、修繕積立金は専有面積に比例します。

国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」によると、専有面積1平方mあたりの修繕積立金の目安は階数20階未満の低層マンションの場合、平均で以下のとおりです。

  • 建築延床面積 5,000m2未満:335円/m2・月
  • 5,000m2以上~10,000m2未満:252円/m2・月
  • 10,000m2以上~20,000m2未満:は271円/m2・月
  • 20,000㎡以上は255円/m2・月
森田

なお、20階以上の高層マンションでは、修繕積立金の目安は338円/m2・月とされています。

相場より明らかに安い場合は注意

修繕積立金は相場よりも安い方が月々の負担が減ってよいと考える人もいるかもしれません。しかし、相場よりも明らかに低い金額が設定されている場合は、マンションの管理が行き届かず価値が下がったり、将来的に値上げされることもあるため、注意した方がよいでしょう。

参考:国土交通省 令和5年度マンション総合調査結果からみたマンションの居住と管理の現状
参考:今後のマンション政策のあり方に関する検討会とりまとめ
参考:国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン

修繕積立金が値上がりする理由

修繕積立金は、一般的に築年数に比例して、値上がりします。この理由を知っておきましょう。

新築時の修繕積立金が低く設定されている

新築マンションの場合、販売時の価格を魅力的にするために修繕積立金が低めに設定されることがあります。これは、月々の支払いを抑え、購入希望者の心理的な負担を減らし、売れやすくするための戦略の一つです。

この場合、低めの修繕積立金は長く続く訳ではありません。大規模修繕ができるように修繕積立金は増額されます。例えば、新築時に5,000円だった修繕積立金が、5年後には10,000円、10年後には15,000円、20年後には25,000円となる場合もあります。

新築マンションを購入する際には現在の修繕積立金の金額だけでなく、将来の増額予定を確認することが大切です。

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購入前に管理組合の長期修繕計画をチェックしておけば、今後の修繕費の見込みや積立額の推移を把握できますから、予期せぬ負担増であわてる事態を避けられます。

段階増額積立方式が採用されている

修繕積立金の積立方式には、「均等積立方式」と「段階増額積立方式」の2種類があります。

積立方式特徴
均等積立方式最初から一定額を積み立てる方式
段階増額積立方式初期は低く設定し、徐々に増額される方式

均等積立方式は、毎月一定額を積み立てるため、将来負担が急増しません。しかし、計画段階での修繕費の見積もりが甘いと、想定外に修繕コストが増加した場合には、対応できなくなる可能性があります。多くのマンションで段階積立方式が採用されています。

段階増額積立方式は、新築時には修繕積立金を低く設定し、築年数の経過にともない徐々に修繕積立金を増額する方法です。この方式は、新築時の購入者の負担は軽減できますが、後々負担が大きくなります。

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マンションを購入する前に、段階増額積立方式が採用されているのを知っておけば、将来の負担増にそなえて資金計画が立てられるでしょう。

建築資材や人件費の上昇

修繕積立金の値上がりには、マンション自体の経年劣化だけでなく、建築資材の高騰や人件費の上昇といった外部要因もあります。

近年、鉄筋・コンクリート・塗料などの建築資材が、大幅に値上がりしています。これは、世界的な需要の増加や、原材料の供給不足などが影響しているためです。日本では円安による輸入部材の高騰もおきています。

また、若手の人材確保が難しい建築業界では職人は高齢化しつつあります。修繕工事を実施する建設労働者の賃金は上昇傾向で、それが修繕費用の増加の一因でもあります。

森田

このようなコストの増加で、実際にかかる費用が管理組合が当初計画していた修繕費を上回りやすい状況になっています。これも、修繕積立金が増額される一因です。

長期修繕計画が見直された

多くのマンションでは、5年を目安に長期修繕計画を見直します。

修繕積立金は、マンション竣工時に策定された長期修繕計画にもとづいて積み立てられます。しかし、築年数が経過すると、当初の計画では対応しきれない修繕が必要になることもあります。例えば、外壁の劣化が予想より早く進行したり、エレベーターの寿命が想定より短かったりした場合には追加の修繕費用が必要です。結果、積立金が増額されることになります。

近年では省エネ化やバリアフリー対応など、時代の変化にともなう新たな改修ニーズも増えています。改修が増えれば修繕費は余計に必要になるでしょう。

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長期修繕計画は、管理組合が主体となって策定・見直しを行っています。マンションを購入する際には、管理組合が適切な修繕計画を立てているかどうかを確認しましょう。

修繕積立金の積立額とマンションの管理状況の確認方法

以上のように、マンションの購入には修繕積立金の積立状況と管理体制を確認しなければなりません。ここでは、修繕積立金の適正額の見極め方と管理組合の運営状況を確認するポイントについて解説します。

修繕積立金の適正額を見極める

マンション購入を検討する際、確認すべきなのが修繕積立金の適正額です。現在の修繕積立金が適正な範囲にあるかどうかを判断するためには、国土交通省のガイドラインや同規模・同条件のマンションとの比較を参考にすると良いでしょう。

国土交通省が発表している「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」では、マンションの規模や構造ごとに適正な修繕積立金の目安が示されています。

購入したいマンションの長期修繕計画の、以下の点を確認しましょう。

  • 現在の修繕積立金で将来的な修繕工事をまかなえるか
  • 過去の修繕履歴と計画されている工事内容が適切か
  • 積立金の増額が予定されているか、または過去にどの程度増額されてきたか

修繕積立金が低く設定されている場合、将来に急激な増額や一時金の徴収が行われる可能性があります。

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適正な修繕積立金が確保されているかを慎重にチェックしましょう。

管理組合の運営状況をチェックする

マンションの維持管理は、住民(区分所有者)が組織する管理組合によって行われます。快適なマンション生活を送るためには、管理組合が適切に機能しているかどうかを、確認した方がいいでしょう。管理組合の運営状況を知るためには、総会の議事録や修繕積立金の収支報告書の確認が必要です。

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また、修繕積立金が適切に管理されているマンションでも、住民の中に未納者が多いと資金不足に陥るかもしれません。事前に未納状況を確認しておきましょう。

重要事項調査報告書をチェックする

中古マンションの購入を考えている方は、重要事項調査報告書を十分チェックしましょう。

重要事項調査報告書は、マンションの管理体制、修繕などの状態、全体の積立金の金額(修繕積立金の残高)、滞納状況まで、マンションの管理に関することが記載された「マンション管理の説明書」のようなものです。将来的な物件の資産価値や建物の寿命にも関わる内容が記載されています。

築年数や見た目など表面的な建物の年齢だけでなく、管理状況(マンション自体の健康寿命)を把握するためには、重要事項調査報告書の情報が役立ちます。重要事項調査報告書は、管理規約だけではわからない情報や、マンション全体の状態を判断することができるため、トラブルを防ぐためにも事前に確認しておくことが大切です。

森田

例えば売買しようとしている部屋だけ見ると問題が無さそうでも、マンション全体の情報を見ると、問題を抱えているケースもあります。

不動産仲介会社にサポートしてもらう

重要事項調査報告書の見方については、不動産仲介会社に聞いてみるとよいでしょう。ただし、なかには不動産仲介会社が重要事項調査報告書を確認していないケースもあります。購入後のトラブルを避けるためにも、建物全体の価値の見方のノウハウを持った仲介会社を選ぶようにしましょう。

ちなみに、スムナラでは、各物件を紹介するページから重要事項説明書をダウンロードできるようにしています。

マンションの中には重要事項調査報告書がない物件もあります。そういった物件はなるべくなら避けた方が無難ですが、それでも購入したい場合は不動産仲介会社を通して調査することをおすすめします。マンションの管理会社に調査を依頼するか、管理会社が入っていない場合は管理組合の理事長にヒアリングをする方法があります。なお、重要事項調査報告書がない物件の多くは管理会社が入っていないものが大半です。

また、理事長に修繕積立金と修繕計画と履歴などについてヒアリングするだけでなく、マンションの外観調査もした方がよいでしょう。例えば、外壁のヒビ、共用部廊下に傾き、共有部分の荒れやポストの書類の溜まり具合などの住人のマナーもチェックポイントです。残念ながら多くの不動産仲介会社はこのような調査はサポート対象外としていますが、スムナラでは、このような調査にも協力してお手伝いしていますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

以上、マンションの修繕積立金の仕組み、値上がりする事情、適正額の見極め方を解説しました。内容をまとめると、以下のとおりです。

修繕積立金とはマンションの共用部分を維持・修繕するための積立金です。

  • 国土交通省のデータによると、マンション1戸あたりの修繕積立金の平均額は月1万3,000円程度です。
  • 修繕積立金の金額は、マンションの規模や専有面積によって異なります。
  • 多くの場合、段階増額積立方式が採用されており、築年数が経過するにつれて積立金が増額されます。
  • 国土交通省の統計などを参考に、各マンションに適した修繕積立金の額を見極める必要があります。
  • 購入前には、管理組合の運営状況も必ずチェックしましょう。

マンション購入に際しては、専有部分のスペックに目を奪われがちですが、将来的な安心と快適な暮らしのためには、管理状況、特に修繕積立金に注目した判断が不可欠です。後悔のないマンション選びのためにも、事前のリサーチをしっかりと行い、慎重な判断を心がけましょう。

森田

不安な方は、マンションの管理状況の見方を丁寧に紹介してくれる仲介会社を選ぶのがおすすめです。

スムナラでは、マンションの管理状況(建物全体の健康寿命)を把握するノウハウを持っていますので、物件全体の価値や重要事項調査報告書の見方などお気軽にお問合せ下さい。マンション選びに失敗したくない方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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