網入りガラスとは?仕組みや特徴、メリット・デメリットや「強化ガラス」「合わせガラス」との違いを解説

網入りガラスとは、ガラスの内部に金属製の網(ワイヤーメッシュ)が埋め込まれた特殊なガラスである。火災時の延焼防止や防犯性能の向上を目的として開発され、マンションや住宅の窓に広く採用されている安全ガラスの一種だ。

本記事では、網入りガラスの仕組みや特徴、メリット・デメリットや「強化ガラス」「合わせガラス」との違いを解説する。

目次

網入りガラスとは

網入りガラスとは、製造過程でガラスの中央部分に細かい金属網を挟み込んで作られる建築用ガラスである。この金属網により、ガラスが割れても破片が飛び散りにくく、開口部を塞ぎ続ける特性を持つ。

建築基準法では、防火地域や準防火地域の建物において、延焼のおそれのある部分の開口部に設置が義務付けられているケースが多い。一般的な透明ガラスと比較して厚みがあり、表面に網目模様が見えるのが特徴だ。

網入りガラスの特徴・メリット・デメリット

メリットデメリット
火災時の延焼を防止できる
破片の飛散を抑制できる
防犯性能を向上できる
視界が制限されてしまう
採光量が低下してしまう
熱割れが発生しやすい

網入りガラスはどんなマンションに使われている?

網入りガラスは主に防火地域や準防火地域に建てられたマンションで採用されている。都市部の密集地域では建築基準法により設置が義務付けられているケースが多く、特に中高層マンションでは標準仕様となっていることが多い。

また、エントランスや共用部分の窓、避難経路に面した開口部にも安全性確保の観点から採用される。築年数の古いマンションでは、リフォーム時に安全性向上を目的として導入されることもあるだろう。

網入りガラスと「強化ガラス」や「合わせガラス」の違い

網入りガラスに似た言葉で「強化ガラス」や「合わせガラス」がある。

「強化ガラス」とは、普通のガラスを約700度まで加熱してから急速冷却することで作られる高強度ガラスで、割れると粒状に砕けるため安全性が高い。網入りガラスは火災時の延焼防止が主目的だが、強化ガラスは衝撃耐性に特化している。コストは強化ガラスの方が高めだが、透明性と美観性では優れている。

一方で「合わせガラス」とは、2枚のガラスの間に特殊なフィルムを挟んで圧着した構造で、割れても破片が飛散せず防犯性能も高い。見た目は似ていても、目的や性能に違いが出やすい。どれも安全性を重視したガラスだが、防火性能を求めるなら網入り、強度重視なら強化、防犯性なら合わせガラスが適している。購入前に建物の立地や用途をよく確認しておきたい。

網入りガラスはこんな人におすすめ

網入りガラスは、安全性と経済性を両立させたい人に最適な選択肢である。特に防火地域や準防火地域でマンション購入を検討している人には、法的要件を満たしながらコストを抑えられるメリットがある。

小さな子どもがいる家庭では、万が一ガラスが割れても破片が飛び散りにくい安全性が魅力的だ。また、1階住戸角部屋など防犯面で不安がある人にとっても、基本的な侵入対策として有効な選択となるだろう。

網入りガラスに関するよくある質問

網入りガラスは普通のガラスより割れやすいのか?

網入りガラス自体の強度は普通のガラスとほぼ同等だが、熱割れが発生しやすい特性がある。金属網が熱を吸収するため、直射日光による温度変化で自然に割れることがある。ただし、割れても破片が飛び散りにくく、安全性は確保される。

網入りガラスの交換費用はどのくらいかかるのか?

一般的に1平方メートルあたり8,000円から15,000円程度が相場となっている。普通のガラスより若干高めだが、強化ガラスや合わせガラスと比較すると安価である。サイズや厚みによって価格は変動するため、複数業者から見積もりを取ることが重要だ。

網入りガラスは防音効果があるのか?

一般的な単板ガラスと同程度の防音性能しか持たない。金属網による音の遮断効果はほとんど期待できないため、防音対策が必要な場合は複層ガラスや防音ガラスを検討した方がよい。厚みがある分、わずかに音を遮る効果はあるものの、大きな違いは感じられないだろう。

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