価格高騰時代の不安と中古マンションという選択肢について。
近年、伝えられるマンション価格高騰のニュース。「新築は高くて手が出ないけど、中古ならどうだろう?」「中古も高くなっている?」「中古で良いマンションを選ぶには?」という不安をお持ちの方は多いでしょう。
本記事では、中古マンション価格の最新の推移と高騰の原因を説明しながら、いい中古マンションの見極め方、価格に踊らされない”マンション選びの視点”を提案します。自身や家族のニーズに沿った最良の選択肢を、一緒に考えていきましょう。
中古マンション選びのサポートの質は、仲介会社によって大きな違いがあります。その理由も併せて解説するので、ぜひ最後までお読みください。

宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士
早稲田大卒。マスコミ広報宣伝・大手メーカーのWebディレクター・不動産仲介業を経て、ライター業・不動産投資に従事。宅建士の業務の他、物件写真撮影とレタッチ・販売賃貸図面作成・重説契約書作成まで対応していた。実務経験をもとに、不動産の購入・売却、住まいの知恵、暮らしの法令、税金・法律などの幅広いテーマの執筆を行う。法令に則しながら、時流や現状も踏まえた解説を心掛けている。
本記事の内容は2025年7月23日時点の情報に基づいており、不動産市場の状況や関連法規、税制などは将来変更される可能性があります。最新の情報については、公式の情報源をご確認ください。
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過去10年の中古マンション価格推移

過去10年にわたって上昇を継続してきた中古マンション価格ですが、ここへきて下落に転じたことも報じられています。今後はどのような推移が予想されるのでしょうか?
以下は、2024年・関東圏の新築・中古マンションにおける価格動向=不動産価格指数を示したものです。
2024年・関東地方マンション(区分所有)不動産価格指数の推移
月 | 不動産 価格指数 | 対前月比(%) | サンプル数 |
---|---|---|---|
1月 | 197.0 | 0.4 | 3,437 |
2月 | 198.4 | 0.7 | 3,823 |
3月 | 198.3 | ▲0.0 | 5,333 |
4月 | 199.5 | 0.6 | 4,445 |
5月 | 200.0 | 0.2 | 4,240 |
6月 | 201.6 | 0.8 | 4,158 |
7月 | 202.2 | 0.3 | 4,504 |
8月 | 207.3 | 2.5 | 3,883 |
9月 | 206.1 | ▲0.6 | 4,185 |
10月 | 205.4 | ▲0.4 | 3,870 |
11月 | 207.0 | 0.8 | 4,060 |
12月 | 207.7 | 0.4 | 4,308 |
出典:国土交通省「不動産価格指数(住宅)」
国土交通省で収集された取引事例に基づくと、関東圏のマンション価格はいまだに上昇傾向にあります。
不動産価格指数とは、2010年の価格を100としてあらわすものです。過去のデータをさかのぼって確認すると、この15年間ずっと右肩上がりで数値は200%前後に達しており、関東圏に関していえば、2025年に入っても上昇を続けています。
しかし、中古マンションに関して、東京都以外の首都圏3県、関西圏、東海圏では下落に転じている情報もあります。

これは支出と賃金上昇率のアンバランスや、利上げの影響などが背景にあると考えられます。
中古マンション価格はなぜ上がってきたのか?


ここまで上昇を続けてきた中古マンションの価格ですが、値上がりを継続した要因とは何でしょうか。おもに以下の点が挙げられます。
- 住宅需要の増加
- 低金利と金融緩和
- 建設コスト・土地価格の上昇
住宅需要の増加
次項に述べる低金利・金融緩和が続いた結果、物件の豊富な供給、住宅ローンの借りやすさから都市部を中心とした住宅需要が旺盛となりました。
また、2014年の消費税増税前の駆け込み需要、海外投資家による日本国内不動産需要などが市場を熱くさせてきた結果、新築・中古を問わない不動産価格の上昇に繋がったといえます。



さらに、国や自治体によって長期優良住宅、エコ性能、移住などを対象とした各種補助金・助成金も、新たな住宅需要を後押ししたといえるでしょう。
低金利と金融緩和
これまで続いてきた低金利・金融緩和政策も、不動産価格上昇の要因でした。
金融緩和により金利が下がると、住宅ローン金利も低いまま抑えられることで、不動産購入がしやすくなります。そして低金利は不動産投資家の資金を不動産市場に誘導し、投資物件需要を増加させた結果、不動産価格は上昇してきました。
しかしこの動きに歯止めがかかったのは周知のとおりです。2025年1月に、日本の政策金利(無担保コールレート)を上昇誘導することが決まり、政策金利が0.25%追加利上げされる結果となりました。
これにより、多くの金融機関で3月~5月の間に基準金利が0.25%引き上げとなっています。金利が0.25%上がったまま適用され続けると、どのような経済負担となるでしょうか?
3,000万円を借り入れる住宅ローン(35年ローン・変動金利・元利均等返済・ボーナス払いなし)の場合、返済月額は77,875円から81,235円まで増えます。そして金利上昇分の差額3,430円から単純計算すると、返済総額は1,440,600円増える計算となります。(すでに返済中の人は5年ルールで、月の返済額に反映されるのは5年先)
ただし、これが購入を待つ要因にはなりません。物件価格上昇と同様に、金利上昇も不動産購入のブレーキとなるものですが、金利は今後も上昇すると考えられるため、金融機関の競争も激化している今がお得、という考え方の方が強いでしょう。
金利の上昇が経済に与える影響は大きなものです。インフレ抑止などの意図も背景にある利上げですが、金利が上がることで、デベロッパーや投資家による新規物件の開発が抑えられ、新築マンションの供給戸数が減ることも予想されます。



その場合、今度は中古マンションの価格が上昇するということも考えられるのです。
建設コスト・土地価格の上昇
今後において、もっとも解決を見るのが難しいのが国内の建設コストでしょう。建設コストは建材と人件費の両方の高騰を受けて反映する形となっています。
土地価格の上昇は、今後鎮静化もあり得ますが、前述のように関東首都圏の土地の値下がりを期待することは、現状ではまだ難しいでしょう。
居住用の物件は投資物件と異なり、「安くなるのを待ってから買う」というのが困難です。



まして住宅のコストは建材・人件費の高騰の継続、金利の上昇など「早い方が得」な要素も多くあります。


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価格推移に踊らされず“本当にいい中古マンション”を見極めるポイント


これまで述べたように、関東圏の中古マンションは今後も値上がりの可能性が否定できないうえ、「相場が上がる・下がる」という要因で購入タイミングを計るのは困難です。
価格の上下に一喜一憂せず、物件自体の本質的な良し悪しに目を向けましょう。安定した資産価値を持ち、満足度の高い暮らしを提供してくれる物件選びは、あなた次第でどのようにでも可能です。
具体的に、中古マンションの資産価値を左右するポイントは以下です。
- 立地(エリアの将来性)
- 建物の質と管理状態
- 間取りや広さの適切さ
- 将来的なリノベーション性
プロのサポートを得て上記のポイントを総合的に判断することで、相場が変動しても資産価値のしっかりした「良い中古マンション」を選ぶことができます。(スムナラでは、上記の観点から独自基準を満たす優良中古マンションをご提案しています)
立地(エリアの将来性)
立地とは、そのマンションの周辺環境の利便性を指します。立地の良いマンションは安定した資産価値を維持できます。
駅からの距離や買い物、医療、金融などの施設の近さ、飲食店や公園の存在、また、家族のニーズとして学校や通勤の便、ターミナル駅へのアクセスなどもポイントとなります。
また、治安が良好であることも大切です。歓楽街か住宅街かなど、どのような人が多く住み、どんな施設が周辺に多いのかも治安に関係するでしょう。
現在の状況と並んで、今後周辺にどのような開発が予定されているかも、物件の立地を左右します。駅や複合施設、幹線道路、大規模分譲などの開発計画をチェックしてみましょう。



この他、立地に左右される要素としては景観=展望や、エリアのハザードマップを確認して、水害や震災などに強いかどうかも要素として見ておきます。
建物の質と管理状態
一般的にマンションの価格を左右する大きなポイントは築年数ですが、それにもまして大切なのが、管理修繕が計画的に行われてきたかでしょう。大規模修繕計画の実行は、建物の初期性能・資産価値を維持するうえで不可欠な要素です。
管理されず、必要な修繕も行われていないマンションは安価であっても、建物の性能はどうか、どのような居住者が多いかなど、気になる点が多々出てきます。また、そのようなマンションはどこかで修繕のテコ入れを行った場合、修繕のための多額の一時金徴収が行われる可能性もあります。



購入を検討する際には、専門的なサポートのもとで、後述する「重要事項調査報告書」のチェックを行うことが必須でしょう。
間取りや広さの適切さ
住戸の広さは家族のニーズに合致して適切か、ライフステージの変遷にも対応できる状態かというのは、確認すべき点となります。立地には満足していても全体の広さの不足、特にリビングが家族の集合場所として狭かったりする場合は、注意が必要でしょう。
また、基本的な間取りには時代に合わせた流行りがあり、例えば「予算内で古くて落ち着いた点が気に入っているが、玄関がリビングに直結になっているのがデメリット」というような場合、リノベには工夫が必要となるでしょう。



子ども部屋の増減、居室の使用目的などの間取り構成の変更に関しては、購入時に柔軟なリノベーションも可能となります。
将来的なリノベーション性
マンション、特にラーメン構造で梁や柱が強度を受け持つ建物の場合、間取り変更などはかなり自由なリノベーションが可能となります。また、家族のニーズに合わせて間取り変更しやすいマンションは、値下がりがしにくいともいえます。
ただし天井を横断している梁の位置は変更できないため、物件選びの際にリノベーションの希望と照らし合わせておく必要があります。



このような点から、広さや基本的な構造は希望に合致させつつ、リノベーションを行う前の物件を探し、ニーズに合わせてカスタマイズすることが、末永く愛用できる住まいを入手するコツであるといえます。


安心して中古マンションを選ぶための心得


中古マンション選びは、家族の要望のまとめに始まり、物件の目利き、資金計画、諸法令や税制、住み替えに至るまでさまざまなノウハウが必要となります。以下の点に注目してみてください。
- 市場データも参考にする
- 信頼できるパートナーと探す
- ローン計画は余裕を持つ
- 物件の履歴を確認する
市場データも参考にする
魅力的な候補物件が現れた際に、「ひとめぼれ」の決断はリスクが高く、後悔に繋がります。なぜなら、同じエリア内の物件で、リノベーションによってもっとお得に同様の住まいを実現できる可能性もあるからです。
市場における相場として適正な価格なのか、安いとすれば何か理由がないかを調べる必要があります。
まず立地条件や販売価格・成約価格の事例など条件の近い物件の相場を確認しましょう。成約価格は下記のレインズマーケットインフォメーションや、仲介会社への調査依頼で確認することができます。
レインズマーケットインフォメーション 公式リンク:
(公財)東日本不動産流通機構・(公社)中部圏不動産流通機構・(公社)近畿圏不動産流通機構・(公社)西日本不動産流通機構「REINS Market Information」
信頼できるパートナーと探す
顧客への対応が誠実で、質問に丁寧に答えてくれるか、物件探しへの提案が充実しているかを意識しましょう。
また、不動産仲介会社にはそれぞれ得意分野があり、「新築マンション分譲が得意」「土地探しを手広く行っている」「投資物件の扱いが多い」などそれぞれです。



したがって仲介会社の得意分野でない場合、中古マンションの良し悪しの見分け方やリノベ対応のノウハウは把握しきれないというケースも珍しくありません。
ローン計画は余裕を持つ
前述の金利上昇や物価高、雇用不安定などによって、約定したローン支払いがのちに負担となってくることもあります。
住宅費用だけでなく、これからのライフステージで必要となりうる大口の出費に備える必要があります。以下は平均的な大口出費の例です。
住宅購入費用 | 約3,719万円 |
---|---|
老後の生活費 | 月に約27万円 |
就職活動費 | 月に約8万円 |
結婚費用 | 約327万円 |
出産費用 | 約48万円 |
教育資金 | 約1,097万円 |
介護費用 | 月に約18万円 |
その他緊急資金 | 約60万円 |
出典:日本FP協会「主なライフイベントにかかる費用の目安」
新築マンションはその資産価値の高さと比例して、支払い負担も高額となります。余裕のある暮らしを目指す際に高額な住宅費負担がある場合、柔軟な対応が難しくなるでしょう。
物件の履歴を確認する
同じエリア・同じ価格帯のマンションでも、管理状況が大きく異なることがあります。区分所有法やマンション管理適正化法などの諸法令で、老朽化への対応を含む改善が図られてきているものの、対応は物件ごとに大きな差があるといわざるを得ません。
適正な管理がなされていない中古マンションは傷みが進行している他、新しい設備の導入なども立ち遅れ、資産価値や入居者の質の低下が進んでいることも。
中古マンションの販売に際して、一般的な仲介会社では「重要事項説明書」への記載情報の確認のみで終わっているケースが多々あります。
変化に強いマイホームで“余白ある人生”を


中古マンション価格推移と高騰の原因、いい中古マンションの見極め方、価格に踊らされない”マンション選びの視点”をご提案しました。
中古マンションの価格推移を知ることは大切ですが、一番大事なのは、家族にとって住まいとしての価値の高い物件を選ぶことです。短期的な市場の波よりも、本質的な価値に基づいて選んだマイホームは長い目で見て満足度が高く、後悔も少ないものとなるでしょう。
私たちスムナラは『家そのもの』ではなく、家を通して得られる『余白ある人生』という暮らしの豊かさを提供したいと考えています。本当の意味で安心できる資産選びを一緒に実現しませんか?