ペアローンとは?メリット・デメリット、収入合算との違いを解説

「共働きだったら、住宅ローンは夫婦で組んだ方がいい?」

「ペアローンと収入合算って何が違うの?」

共働きなど2人で住宅を購入しようとする場合、このような悩みを持つ人も多いのではないでしょうか。

住宅ローンの借入方法には、単独ローン・ペアローン・収入合算という選択肢があります。ペアローンと収入合算にはデメリットやリスクが伴うため、単独ローンで借入額が足りる場合、まずは単独ローンを検討するのがおすすめです。

この記事では、ペアローンについて知りたい、検討したい方向けに、住宅ローンの借入方法の種類と、それぞれの特徴・注意点について詳しく解説します。それぞれの違いを理解し、自分たちに合った最適な方法を見つけましょう。

執筆者プロフィール
松元 健太郎
宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士

不動産会社で実務を経験後、不動産ライターとして独立。不動産賃貸・管理の経験を活かし、自身でもアパート・マンション等の不動産賃貸経営を行う。不動産売却(相続、共有持分、任意売却、買取、空き家etc)、不動産投資、不動産賃貸、不動産管理など、幅広い分野の執筆、監修をしている。

本記事の内容は2025年1月16日時点の情報に基づいており、不動産市場の状況や関連法規、税制などは将来変更される可能性があります。最新の情報については、公式の情報源をご確認ください。

目次

ペアローンとは?収入合算との違い

住宅を購入する際に利用できる資金の借入方法には、単独ローン・ペアローン・収入合算があります。共働き世帯で住宅を購入する際、夫婦やパートナーと協力して資金を用意すると負担が少なくなり、多くの人が利用しています。

2人で住宅ローンを組む選択肢には「ペアローン」と「収入合算」の2つがあります。一見似ているように思えますが、それぞれ仕組みや適用条件、将来的なリスクが違います。どちらのローンを選ぶかは、今後の家計を左右する重要なポイントです。

本章では、ペアローンと収入合算について、基本的な仕組みや違いを解説します。自分たちに最適な住宅ローンを選ぶために、まずは違いをしっかり理解しておきましょう。

ペアローン

ペアローンは、夫婦や親子など2人の名義で1つの住宅を購入し、それぞれが個別に住宅ローンを契約する仕組みです。簡単にいうと、1つの物件に対して2口のローンを組みます。そして、それぞれが主たる債務者と、互いのローンの連帯保証人になる形を取ります。

一般的に、住宅の所有権は、ローンの借入割合に応じて持ち分が決まります。例えば、夫が6割、妻が4割の住宅ローンを借り入れた場合、登記上の持ち分も夫が6割、妻が4割になるのが基本です。

ペアローンを利用するためには、基本的に夫婦または親子のいずれもが、以下の条件を満たす必要があります。

  • 夫婦ともに安定した収入があること
  • 金融機関の審査基準をクリアすること
  • 各金融機関が定める条件を満たしていること

ペアローンでは特に「夫婦ともに収入が安定してローン完済まで働き続けることができること」が重要です。ペアローンが利用できる条件は、金融機関によって細かい部分が異なります。

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そのためペアローンを利用したい時は、事前に利用したい金融機関の条件をしっかりと確認しておきましょう。

収入合算

ペアローンと並ぶ住宅ローンの選択肢として 「収入合算」 があります。これは、夫婦や親子など、夫婦の収入を合算して借入可能額を増やす方法で、契約者(主債務者)は1人で、もう一方は 連帯債務者 または 連帯保証人 となります。

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収入合算は団体信用生命保険(団信)の適用範囲によって2つに分けられ、どちらかを選ぶ必要があります。

ペアローンと収入合算の違い

夫婦や親子など、2人で住宅ローンを組む際、ペアローンと並んで検討されているのが「収入合算」です。収入合算とは、契約者(主債務者)の収入に配偶者や親の収入を加えて審査を受けることを指し、連帯債務型と連帯保証型の2つのタイプがあります。どちらも借入可能額の増額を可能にする制度です。。ペアローンと収入合算は、混同されることも多いので、わかりやすいように、違いを以下の表でまとめました。

スクロールできます
比較項目ペアローン収入合算(連帯債務型)収入合算(連帯保証型)
借入可能額それぞれの収入に基づく合算の収入に基づく合算の収入に基づく
ローン契約2口(各自が契約)1口(主債務者+連帯債務者)1口(主債務者+連帯保証人)
住宅ローン控除それぞれ適用それぞれ適用主債務者のみ適用
団体信用生命保険それぞれ加入主債務者のみ加入主債務者のみ加入
物件の名義共有名義(持分割合)共有名義(持分割合)主債務者の単独名義

ペアローンは2人ともそれぞれがローンを組むため、借入額を最大限に増やせます。しかし、手続きが増え、契約時に費用が2倍必要です。一方、収入合算はローン契約が1口で済むため手続きはシンプルです。他にも、ペアローンと収入合算には、団体信用生命保険の加入範囲や住宅ローン控除の適用範囲に違いがあります。

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どちらの方法が自分たちにとって最適かは、収入バランスや将来的なライフプランによって異なるため、事前にしっかり検討しましょう。

ペアローンのメリット・デメリット

ペアローンは、夫婦や親子で住宅ローンを組む際に借入額を増やせる便利な方法ですが、手続きの煩雑さやリスクもあります。ここでは、ペアローンの具体的なメリットとデメリットを詳しく説明し、どのような人に向いているのかを解説します。

ペアローンのメリット

ペアローンのメリットは、主に以下の3つです。

  1. 2人の収入を活かして借入額を増やせる
  2. それぞれが住宅ローン控除を受けられる
  3. それぞれが団体信用生命保険に加入できる

各項目を詳しく説明しましょう。

2人の収入を活かして借入額を増やせる

ペアローンを利用する最大のメリットが、借入可能額を増やせることです。住宅ローンの審査では、契約者の年収が基準となります。単独でローンを組む場合は、共働き世帯であっても1人分の収入しか考慮されません。しかし、ペアローンでは収入のあるそれぞれがローン契約者となります。このため、2人の収入を合算した金額で審査が行われ、より高額の融資が受けやすくなります。

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単独ローンでは手が届かなかった物件も選択肢に入るため、より希望に近い住まいを購入しやすいでしょう。

それぞれが住宅ローン控除を受けられる

ペアローンを利用すると、契約者それぞれが住宅ローン控除を受けられるため、節税効果が期待できます。住宅ローン控除とは、年末時点のローン残高に応じて所得税や住民税の一部が軽減される制度で、一定の条件を満たせば最長13年間(中古住宅の場合は10年間)適用されます。

単独ローンや収入合算(連帯保証型)では、住宅ローン控除を受けられるのは契約者のみです。ペアローンでは夫婦それぞれが対象となるため、世帯全体の税負担が軽減されます。

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控除額の上限は購入する住宅の種類や性能によって異なるので、事前にどの程度の控除が受けられるかシミュレーションし、返済計画を立てると良いでしょう。

それぞれが団体信用生命保険に加入できる

団体信用生命保険(団信)は、契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、生命保険会社がローン残高を支払い、残された家族の負担を軽減する保険です。

ペアローンでは、それぞれがローンを契約するので、それぞれが団信に加入できます。もしも、どちらかが亡くなった場合はその人のローンが免除されます。

一方、収入合算では主債務者のみが団信の対象です。たとえ収入を合算している人が亡くなっても、住宅ローンは免除されず、残債はそのまま残ります。万が一の場合に、残債が免除となるのは、ペアローンの大きなメリットです。

また、一部の金融機関にはペアローン連生団信という仕組みもあります。これはペアローンで住宅ローンを借りている夫婦などの連帯債務者のどちらかに万が一のことがあった場合、残りの住宅ローンを全額弁済する団体信用生命保険です。この場合、どちらか一方に万が一のことがあった場合には、条件を満たせば、もう一方のローン残債も含めて全額免除されます。

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いずれにしても、万が一の場合、どのような保障が適用されるかを契約の時に確認しておくことが大切です。

ペアローンのデメリット

ペアローンは借入可能額を増やせる反面、デメリットもあります。

ペアローンの主なデメリットは以下の4つです。

  1. 契約が2口になるので手続きが増え煩雑になる
  2. 離婚などの時にローンの扱いでトラブルになりやすい
  3. 片方に万が一のことがあっても残りのローンは消えない
  4. どちらかの収入が大きく減ると返済が厳しくなる

これらのリスクを踏まえたうえで、本当にペアローンが自分たちに合っているのかを慎重に判断することが必要です。このうち将来的なリスクを抱えるデメリットについて詳しく解説します。

離婚などの時にローンの扱いでトラブルになりやすい

ペアローンは2人が契約者となり、物件を共有名義で所有する仕組みです。離婚や別居になった場合には、ローンの扱いが大きな課題となります。ペアローンの契約がある場合、別に住むことになったとしても、誰がローンを支払うのか、物件をどうするのかなどを決める必要があります。実際に、話し合いがスムーズに進まず、解決まで時間がかかるケースも少なくありません。

別居の際にペアローンを解消する方法として、主に以下の2つが考えられますが、それぞれリスクをともなうでしょう。

  • 物件を売却してローンを完済する
  • どちらかが住み続け、単独ローンに借り換える

物件を売却する場合は、ローン残高より高く売れれば問題ありませんが、売却額が不足すると自己資金で補う必要があります。また、共有名義になっているので、一方の判断で勝手に売却できない点にも注意が必要です。

どちらかが住み続ける場合は、もう一方の持分を買い取ってローンを一本化する方法があります。ただし、この手続きには、金融機関の審査が必要です。条件を満たせず、ローンの借り換えに苦労することもあります。また、名義変更は「贈与」とみなされ、贈与税が発生する可能性もあります。

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離婚や別居のローン処理は、スムーズに進まないことが、頻繁にあります。将来的なリスクも考えたうえでペアローンを検討しましょう。

片方に万が一のことがあっても残りのローンは消えない

ペアローンでは、契約者それぞれが住宅ローンを組みます。万が一どちらかが亡くなった場合には、亡くなった側のローンは免除されますが、もう一方のローンはそのまま残ります。

通常、単独ローンや主債務者のみが団体信用生命保険(団信)に加入する収入合算の場合、契約者が死亡すると団信によって残債が完済されます。しかし、ペアローンの場合、団信が適用されるのは各自のローンに対してのみで、残された人のローンは免除されません。

例えば、夫婦でペアローンを組み、夫が亡くなった場合、夫のローン残高は団信で完済されますが、妻のローンは引き続き返済し続けなければなりません。

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収入状況によっては、返済が大きな負担になるでしょう。

どちらかの収入が大きく減ると返済が厳しくなる

ペアローンは、資金を提供する2人それぞれがローン契約をします。そのため、どちらか一方の収入が減ると返済が厳しくなる可能性があります。特に借入額が大きい場合、以下のような状況で働けなくなると収入が減り、支払いに困るかもしれません。

  • 退職や転職
  • 長期間の療養を必要とする病気やケガ
  • 出産や育児

ペアローンでは、どちらかが支払い不能になっても、もう一方が連帯保証人なので、相手の残りのローンを支払う義務があります。さらに、収入がゼロになると住宅ローン控除の適用外となり、節税メリットも得られません。

返済が厳しくなった場合、ペアローンを単独ローンへ借り換える選択肢もあります。これには、新たな審査が必要で、場合によっては贈与税がかかる可能性もあります。

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ペアローンを利用する際は、将来的な収入の変化も考慮し、無理のない返済計画を立てることが必要です。

ペアローンはこんな人におすすめ

ペアローンがおすすめなのは、契約者2名とも収入が安定しており、ローン完済まで働き続けることができ、どちらも団体信用生命保険に加入したい、夫婦どちらも住宅ローン控除を受けたい、という希望と条件を満たしている世帯です。

ただし、ペアローンにはどちらかが働けなくなったり収入が減ったりすると、ローンの返済が苦しくなるというリスクもあります。

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どちらか1名の住宅ローンで借入額が足りる場合は、単独ローンの選択がおすすめです。

収入合算のメリット・デメリット

「収入合算」は、夫婦や親子などの収入を合算して借入可能額を増やす方法です。契約者(主債務者)は1人でもう一方は連帯債務者または 連帯保証人となります。

ここでは、収入合算を利用するメリットとデメリットについて詳しく解説します。ペアローンと比較しながら、自分たちに合った住宅ローンがどちらなのかを考えましょう。

収入合算のメリット

収入合算は、夫婦や親子の収入を合算する方法です。主なメリットを解説します。

契約する住宅ローンが1本にまとめられる

収入合算を利用すると、住宅ローンが1口にまとめられます。契約時の手続きがシンプルでわかりやすくなり、事務手数料や諸費用も1口分で済みます。ペアローンは2口のローンを組む必要があるので、どうしても手続きが複雑になりがちです。つまり、諸費用を抑えながら借入可能額を増やしたい場合には、収入合算が適しています。

また、収入合算では主債務者のみが団体信用生命保険(団信)に加入します。主債務者に万が一のことがあっても、残債がすべて完済され、家族にローン返済の負担が残りません。

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家計を支える人数が少なくなり収入が減っても、安心して住み続けることができる点も、収入合算の大きなメリットです。

借入可能額を増やせる

収入合算を利用すると、単独では借入額が足りない場合でも、世帯収入を合算して希望の金額を借りやすくなります。

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このように、手続きがシンプルで費用負担を抑えられるうえに、希望額の融資を受けやすくなることが、収入合算の大きなメリットでしょう。

収入合算のデメリット

収入合算は借入額を増やせるメリットがある一方で、住宅ローン控除や団体信用生命保険(団信)の適用範囲が限られるというデメリットもあります。

収入合算の場合、住宅ローン控除が利用できるのは、主債務者のみです。収入合算していても他の債務者には適用されないので、借入額が控除上限を超えると一部が対象外になり、ペアローンより税金が高くなる可能性があります。

さらに、団信に加入できるのは主債務者のみとなるということは、収入合算者に万が一のことがあってもローン残高はそのまま残ることを意味します。特に共働き世帯では、収入合算者の収入が途絶えると、家計が立ちいかなくなる場合もあるでしょう。主債務者にかかる返済の負担額が大きくなり、生活にも影響を及ぼすかもしれません。

松元

もしものために、収入合算者の保証として生命保険を活用する、無理のない借入計画を立てるなどが大切です。

共働き世帯の住宅ローンは、どれを選ぶべき?

住宅を購入する際に利用できる資金の借入方法には、単独ローン・ペアローン・収入合算があります。それぞれメリットとデメリットがあるので、どれにするかは、借入する世帯の収入状況や将来のライフプランによって選びます。

一般的に「単独ローン」は、どちらか一方の収入で十分にローンが返済できる場合や、借入金額が少なく収入が減っても支障がない場合に向いています。

一方「ペアローン」や「収入合算」は、夫婦それぞれに安定した収入があり、借入金を増やして住宅選びの選択肢を広げたい場合には便利です。

松元

どの方法を選ぶべきなのか迷う場合は、金融機関や専門家に相談するのがおすすめです。そのうえで、現在の収入や将来の計画に合った住宅ローンを選びましょう。

まとめ

今回は、共働き世帯で検討されることの多いペアローンと収入合算について解説しました。ペアローンや収入合算の違い、それぞれのメリット・デメリットを比較でき、借り入れの選択肢をより具体的にイメージしやすくなったのではないでしょうか。

住宅ローン選びは、自分たちの収入状況や将来のライフプランに合った方法を選択しましょう。できるだけ無理のないローンを選べば、より安心してマイホームを購入できるのではないでしょうか。

住宅ローンは、多くの人にとって人生最大の投資であり、家計の大きな部分を占めます。長期にわたる契約になるうえ、万が一のことがあれば暮らしに困ることにもなりかねません。もし迷った時は、金融機関や専門家に相談してください。慎重に考えて、自分たちに最適な住宅ローンを見つけましょう。

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