抵当権抹消にかかる費用の相場は?6つのケース別にシミュレーション

住宅ローンを完済したり、住宅の売却を予定していたりする際、抵当権抹消の手続きを行う必要があります。そうした場合、

「抵当権の抹消って、一体どのくらい費用がかかるの?」

と疑問に思うこともあるのではないでしょうか。

結論からいうと、抵当権の抹消にかかる費用は、自分で行うか司法書士に依頼するかなどで異なります。

例えばごく標準的なケースだと、自分で行う場合の相場は約4,000円、司法書士に依頼する場合の相場は約2万円となります。

費用を節約したい場合、比較的手続きが簡単なケースについては、自分で手続きを行うとよいでしょう。

ただし、司法書士に依頼した方がいいケースもあります。

【司法書士に依頼した方がいいケース】

  • 不動産の売却と同時にローンを完済する場合
  • 古い抵当権を抹消する場合
  • 時間や手間をかけられない場合

上記の場合は、手続きにかけられる時間が限られていたり、手続き自体がとても難しかったりするため、司法書士に依頼した方が、手続きをスムーズに進められるからです。

そこでこの記事では、抵当権抹消手続きについて、自分で行う場合と司法書士に依頼する場合にかかる費用やどちらに依頼すべきかについてを紹介します。

▼この記事で分かること

  • 自分で手続きを行う場合の抵当権抹消の費用
  • 司法書士に依頼する場合の抵当権抹消の費用
  • 抵当権の抹消を自分で行えるケース
  • 抵当権の抹消を司法書士に依頼した方がいいケース

最後まで読むことで、ご自身の状況における抵当権抹消にかかる費用を把握し、自分で手続きすべきか司法書士に依頼すべきかを判断することができます。手続きをスムーズに進めるためにも、ぜひ最後まで目を通してみてください。

目次

1.抵当権抹消にかかる費用の相場

抵当権の抹消にかかる費用の相場を紹介します。抵当権抹消の手続きを行う際は、下記の2パターンがあります。

  • 自分で抵当権を抹消する場合にかかる費用
  • 司法書士に依頼する場合にかかる費用

それぞれの場合における費用を見てみましょう。

1-1.自分で抵当権を抹消する場合にかかる費用

ここでは、自分で抵当権の抹消を行う場合の費用について紹介します。

抵当権抹消手続きについて、所有者の住所・氏名変更がある場合や、相続した不動産について手続きを行う場合については、別途、事前の登記手続きが必要となり、費用が発生します。

このため、自分で抵当権抹消手続きを行う場合の費用を、下記3ケースに分けて紹介します。

  • 住所・氏名変更や相続による事前手続きが不要な場合(標準ケース)
  • 住所・氏名変更による事前手続きが必要な場合
  • 相続による事前手続きが必要な場合

自分に該当するケースについて、下記で確認してください。

1-1-1.住所・氏名変更や相続による事前手続きが不要な場合(標準ケース)

まず、住所・氏名変更や相続による事前手続きが必要でない「標準的なケース」においてかかる費用は、下記の通りとなります。

【自分で抵当権抹消手続きを行う場合の費用:標準的なケース】

自分で抵当権抹消手続きを行う場合の費用

【登録免許税】

登録免許税は、不動産1件ごと(土地1筆ごと、建物1件ごと)に1,000円かかります。

【事前調査費用】

事前調査費用は、登記簿の最新の内容を確認するためのものです。法務局の窓口で請求する場合は不動産1件あたり600円がかかります。法務局のホームページからオンラインで請求し、郵送で受け取る場合の費用は不動産1件あたり500円です。

【登記完了確認費用】

抵当権抹消の申請をすませた後に、登記完了証が発行されますが、登記上、抵当権がきちんと抹消されたかどうかを確認するために登記事項証明書を取り寄せた方がよいでしょう。登記完了確認費用とは、その際に発生する費用です。

法務局の窓口で請求する場合は不動産1件あたり600円がかかります。法務局のホームページからオンラインで請求し、郵送で受け取る場合の費用は不動産1件あたり500円です。

【交通費・郵送料】

抵当権抹消手続きのために法務局へ行く際には往復の交通費がかかります。法務局に行かずに郵送で手続きを行う場合には、郵送料がかかります。

以上が、標準的なケースにおいてかかる費用です。

1-1-2.住所・氏名変更による事前手続きが必要な場合

引越しや結婚などで、所有者の住所や氏名が、登記簿上の情報から変わっている場合は、事前手続きが必要です。抵当権抹消手続きの前に、住所・氏名変更の登記申請を行います。事前手続きを行う分の追加費用が発生します。

【住所・氏名変更手続きにかかる費用】

住所・氏名変更手続きにかかる費用

抵当権抹消手続きの前に行う「住所・氏名変更の登記手続き」にかかる費用は下記の通りです。

住所変更の場合は、住所が変更になったことを証明するために、住民票あるいは戸籍の附票の写しを取り寄せる必要があります。

登記簿に記載の住所から、何度も転居を繰り返している場合は「戸籍の附票」を準備します。登記簿に記載の住所から1回だけ転居している場合は「住民票」でOKです。

氏名変更の場合は、「戸籍謄(抄)本」と「住民票または戸籍の附票の写し」の両方が必要となります。

【抵当権抹消手続きにかかる費用】

住所・氏名変更の手続きを行った後に、抵当権抹消手続きを行います。その際にかかる費用は下記の通りです。

抵当権抹消手続きにかかる費用

抵当権抹消の費用については、「1-1-1.住所・氏名変更や相続による事前手続きが不要な場合(標準ケース)」と同様となります。

1-1-3.相続による事前手続きが必要な場合

不動産の所有者が亡くなって、相続する不動産についての抵当権を抹消したい場合などは、事前に相続登記が必要となることがあります。

まずは、ローンが完済されているかどうかを確認して、相続登記の必要性を判断します。

相続による事前手続きが必要な場合

下記で詳しく見ていきましょう。

【被相続人が亡くなる前にローンが完済されている場合】

被相続人が亡くなる前に、ローンを完済していた場合は、抵当権は相続前に消滅しています。この場合は、相続登記を行わなくとも、相続人の1人が抵当権抹消手続きを行うことができます。

相続登記が不要な場合は、抵当権抹消手続きのみを行うため、かかる費用は下記の通りです。

【抵当権抹消手続きにかかる費用】

抵当権抹消手続きにかかる費用

抵当権抹消の費用については、「1-1-1.住所・氏名変更や相続による事前手続きが不要な場合(標準ケース)」と同様となります。

【被相続人が亡くなった後にローンが完済された場合】

不動産を相続した後に、相続人がローンを完済した場合は、相続登記の手続きを行ってから、抵当権抹消手続きを行います。

下記の通り、相続登記と抵当権抹消手続きの費用がかかります。

<相続登記にかかる費用>

相続登記にかかる費用

相続登記においては、戸籍謄本など被相続人・相続人の関係が分かる書類が必要となるので、そのための書類請求費用が発生します。

相続登記の手続きを終えた後は、抵当権抹消手続きを行うため、下記の通りの費用が発生します。

<抵当権抹消手続きにかかる費用>

抵当権抹消手続きにかかる費用

抵当権抹消の費用については、「1-1-1.住所・氏名変更や相続による事前手続きが不要な場合(標準ケース)」と同様となります。

1-2.司法書士に依頼する場合にかかる費用

司法書士に依頼する場合にかかる費用についても下記3ケースに分けて紹介します。

  • 住所・氏名変更や相続による事前手続きが不要な場合(標準ケース)
  • 住所・氏名変更による事前手続きが必要な場合
  • 相続による事前手続きが必要な場合

詳しくは次の通りです。

1-2-1.住所変更・相続による事前手続きが不要な場合(標準ケース)

まず、住所・氏名変更や相続による事前手続きが必要でない「標準的なケース」においてかかる費用は、下記の通りとなります。

【司法書士に依頼する場合の費用:標準的なケース】

司法書士に依頼する場合の費用:標準的なケース

司法書士に依頼する場合には、司法書士への報酬と実費がかかります。1つずつ下記に解説します。

【司法書士への報酬(手数料)】

司法書士に依頼する場合は、司法書士への報酬の支払いが発生します。抵当権抹消手続きの場合、司法書士への報酬の相場は、約1万5,000円となります。

ただし、地域によって多少前後するため、下記の報酬相場表を参照してください。

【抵当権抹消登記についての司法書士の報酬】

抵当権抹消登記についての司法書士の報酬

出典:日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果(2018年(平成30年)1月実施)」

※上記の金額は、土地1筆及び建物1棟の抵当権抹消登記手続の代理業務を受任し,登記原因証明情報(解除証書等)の作成及び登記申請の代理をした場合。報酬額は条件により変わります

【登録免許税】

登録免許税は、不動産1件ごと(土地1筆ごと、建物1件ごと)に1,000円かかります。

【事前調査費用】

事前調査費用は、登記簿の最新の内容を確認するためのものです。法務局の窓口で請求する場合は不動産1件あたり600円がかかります。法務局のホームページからオンラインで請求し、郵送で受け取る場合の費用は不動産1件あたり500円です。

【登記完了確認費用】

抵当権抹消の申請を済ませた後、登記完了証が発行されますが、登記簿上の情報がきちんと修正されたかどうかを確認するために登記事項証明書を発行します。登記完了確認費用とはその際に発生する費用です。

法務局の窓口で請求する場合は不動産1件あたり600円がかかります。法務局のホームページからオンラインで請求し、郵送で受け取る場合の費用は不動産1件あたり500円です。

【交通費・郵送料】

司法書士が抵当権抹消手続きを行うために支払った交通費や郵送料などです。

1-2-2.住所・氏名変更による事前手続きが必要な場合

引越しや結婚などで、所有者の住所や氏名が、登記簿に記載の情報から変わっている場合は、抵当権抹消手続きの前に、住所・氏名変更の登記申請が必要となります。住所・氏名変更の登記手続きを行う場合はその分の追加費用が必要です。

【住所・氏名変更手続きにかかる費用】

抵当権抹消手続きの前に行う「住所・氏名変更の登記手続き」にかかる費用は下記の通りです。

住所・氏名変更手続きにかかる費用

住所・氏名変更の登記手続きについての司法書士への報酬は、登記手続き1件当たり約1万5,000円が相場です。住所だけの変更の場合も司法書士への報酬の相場は約1万5,000円となります。

実費については、住所・氏名変更手続きの際には、変更になったことを証明するための住民票あるいは戸籍の附票の写し(氏名変更の場合は戸籍謄本も)を取り寄せる費用が発生します。

【抵当権抹消手続きにかかる費用】

抵当権抹消手続きにかかる費用

住所・氏名変更の手続きを行った後に、抵当権抹消手続きを行います。その際にかかる費用は下記の通りです。

抵当権抹消手続きにかかる費用は、「1-2-1.住所変更・相続による事前手続きが不要な場合(標準ケース)」と同様です。

1-2-3.相続による事前手続きが必要な場合

不動産の所有者が亡くなって相続する不動産についての抵当権を抹消したい場合などは、、抵当権抹消手続きの前に相続登記が必要となるケースがあります。

自分で手続きする場合と同様、まずはローンが完済されているかどうかを確認して、相続登記の必要性を判断します。相続登記が必要かどうかで費用が異なるためです。

相続による事前手続きが必要な場合

それぞれのケースについて下記に詳しく見ていきましょう。

1-2-3-1.被相続人が亡くなる前にローンが完済されている場合

被相続人が亡くなる前に、ローンを完済していた場合は、抵当権は相続前に消滅しています。この場合、相続登記を行わなくとも、相続人の1人が抵当権抹消手続きを行うことができます。

抵当権抹消手続きのみを司法書士に依頼することになるため、かかる費用は下記の通りです。

【抵当権抹消手続きにかかる費用】

抵当権抹消手続きにかかる費用

この抵当権抹消の費用については、「1-2-1.住所・氏名変更や相続による事前手続きが不要な場合(標準ケース)」と同様です。

【 被相続人が亡くなった後にローンが完済された場合】

不動産を相続した後に、相続人がローンを完済した場合は、相続登記の手続きを行ってから、抵当権抹消手続きを行います。

下記の通り、相続登記と抵当権抹消の登記の2つについて司法書士に依頼することになります。

<相続登記にかかる費用>

相続登記における司法書士への報酬の相場は、6万円前後です。相続登記についての報酬は、不動産の数や固定資産税評価額によって金額が大きく変化するケースがあるため、相見積もりをとって検討するようにしましょう。

実費については、相続登記の場合は、戸籍謄本など被相続人・相続人の関係が分かる書類が必要となるので、そのための書類請求費用が発生します。

相続登記の手続きを終えた後は、抵当権抹消手続きを行うため、下記の通りの費用が発生します。

<抵当権抹消手続きにかかる費用>

抵当権抹消手続きにかかる費用

抵当権抹消の費用については、「1-2-1.住所変更・相続による事前手続きが不要な場合(標準ケース)」と同様となります。

2.【ケース別】自分で抵当権を抹消する場合の費用シミュレーション

自分で抵当権の抹消を行う場合について、ケース別にシミュレーションを紹介します。自分で手続きを行う場合の参考にしてください。

2-1.住所・氏名変更や相続による事前手続きが不要な標準ケースは約4,000円

「1-1-1. 住所・氏名変更や相続による事前手続きが不要な場合(標準ケース)」でお伝えした費用をふまえると、住所・氏名変更の登記や相続登記が不要な「標準的なケース」については、例えば下記のような費用となります。

<抵当権抹消に必要な費用>

  • 登録免許税:2(土地1筆、建物1件) × 1,000円 = 2,000円
  • 事前調査費用:500円
  • 登記完了確認費用:500円
  • 交通費・郵送料:740円
  • 合計:3,740円

標準的なケースでは、およそ4,000円程度で手続きをすることができます。

2-2.住所・氏名変更による事前手続きが必要なケースは約8,000円

「1-1-2.住所・氏名変更による事前手続きが必要な場合」でお伝えした費用をふまえると、住所・氏名変更による事前手続きが必要なケースでは、例えば下記のようになります。

<住所・氏名変更に必要な費用>

  • 登録免許税:2(土地1筆、建物1件) × 1,000円 = 2,000円
  • 事前調査費用:500円
  • 住所・氏名確認費用:800円
  • 申請完了確認費用:500円
  • 交通費・郵送料:740円
  • 小計:4,540円

<抵当権抹消に必要な費用>

  • 登録免許税:2(土地1筆、建物1件) × 1,000円 = 2,000円
  • 事前調査費用:500円
  • 申請完了確認費用:500円
  • 交通費・郵送料:740円
  • 小計:3,740円

「住所・氏名変更に必要な費用4,540円」+「抵当権抹消に必要な費用3,740円」=合計8,280円

住所・氏名変更による事前手続きが必要なケースでは、約8,000円程度となります。

2-3.相続による事前手続きが必要なケースは不動産の評価額次第

「1-1-3.相続による事前手続きが必要な場合」でお伝えした費用をふまえると、相続不動産について、自分で抵当権抹消を行った場合の費用のシミュレーションは次の通りです。

2-3-1.被相続人が亡くなる前にローンが完済されている場合は約4,000円

被相続人が亡くなる前にローンが完済されている場合は、事前の登記手続きは不要で、抵当権抹消手続きを行えます。そのため、費用は下記の通りとなります。

<抵当権抹消に必要な費用>

  • 登録免許税:2(土地1筆、建物1件) × 1,000円 = 2,000円
  • 事前調査費用:500円
  • 申請完了確認費用:500円
  • 交通費・郵送料:740円
  • 合計:3,740円

被相続人が亡くなる前にローンが完済されている場合の手続き費用は、約4,000円です。

2-3-2.被相続人が亡くなった後にローンが完済された場合

不動産を相続した後に、相続人がローンを完済した場合は、相続登記の手続きを行ってから、抵当権抹消手続きを行います。

<相続登記に必要な費用>

  • 登録免許税:固定資産税評価額 3,500万円 × 0.4% = 14万円
  • 事前調査費用:500円
  • 相続確認費用:5,750円

亡くなった人の戸籍謄本700円

亡くなった人の住民票除票400円

相続人全員の戸籍謄本450円×5人

不動産の相続人の住民票400円

相続人全員の印鑑証明書400円×5人

  • 申請完了確認費用:500円
  • 交通費・郵送料:3,000円
  • 小計:14-万9,750円

<抵当権抹消に必要な費用>

  • 登録免許税:2(土地1筆、建物1件) × 1,000円 = 2,000円
  • 事前調査費用:500円
  • 申請完了確認費用:500円
  • 交通費・郵送料:740円
  • 小計:3,740円

「相続登記に必要な費用14万9,750円」+「抵当権抹消に必要な費用3,740円」=合計15万3,490円

被相続人が亡くなった後にローンが完済された場合の手続きにかかる費用は約15万円となります。ただし、このケースの場合、固定資産税評価額に大きく左右されることに注意してください。

3.【ケース別】司法書士に依頼する場合の費用シミュレーション

司法書士に依頼する場合の費用のシミュレーションを紹介します。司法書士に依頼する場合の参考にしてください。

3-1.住所・氏名変更や相続による事前手続きが不要な標準ケースは約2万円

「1-2-1.住所・氏名変更や相続による事前手続きが不要な場合(標準ケース)」でお伝えした費用をふまえると、住所・氏名変更の登記や相続登記が不要な「標準的なケース」については、例えば下記のようなシミュレーションとなります。

<抵当権抹消に必要な費用>

  • 司法書士への報酬:1万5,000円
  • 登録免許税:2(土地1筆、建物1件) × 1,000円 = 2,000円
  • 事前調査費用:1,200600円
  • 申請完了確認費用:600円
  • 交通費・郵送料:1,500円
  • 合計:2万300円

標準的なケースでは、およそ2万円で手続きをすることができます。

3-2.住所・氏名変更による事前手続きが必要なケースは約4万円

「1-2-2.住所・氏名変更による事前手続きが必要な場合」でお伝えした費用をふまえると、住所・氏名変更による事前手続きが必要なケースでは、例えば下記のようなシミュレーションとなります。

<住所・氏名変更に必要な費用>

  • 司法書士への報酬:1万5,000円
  • 登録免許税:2(土地1筆、建物1件) × 1,000円 = 2,000円
  • 事前調査費用:1,200円
  • 住所・氏名確認費用:800円
  • 申請完了確認費用:600円
  • 交通費・郵送料:1,500円
  • 小計:2万1,100円

<抵当権抹消に必要な費用>

  • 司法書士への報酬:1万5,000円
  • 登録免許税:2(土地1筆、建物1件) × 1,000円 = 2,000円
  • 事前調査費用:1,200円
  • 申請完了確認費用:600円
  • 交通費・郵送料:1,500円
  • 小計:2万300円

「住所・氏名変更に必要な費用2万1,100円」+「抵当権抹消に必要な費用2万300円」=合計4万1,400円

住所・氏名変更による事前手続きが必要なケースでは、約4万円程度となります。

3-3.相続による事前手続きが必要なケースは不動産の評価額次第

「1-2-3.相続による事前手続きが必要な場合」でお伝えした費用をふまえると、相続による事前手続きが必要なケースでは例えば、下記のようなシミュレーションとなります。

3-3-1.被相続人が亡くなる前にローンが完済されている場合は約2万円

被相続人が亡くなる前にローンが完済されている場合は、事前の登記手続きは不要で、抵当権抹消手続きを行えます。そのため、費用は下記の通りとなります。

<抵当権抹消に必要な費用>

  • 司法書士への報酬:1万5,000円
  • 登録免許税:2(土地1筆、建物1件) × 1,000円 = 2,000円
  • 事前調査費用:600円
  • 申請完了確認費用:600円
  • 交通費・郵送料:1,500円
  • 合計:1万9,700円

被相続人が亡くなる前にローンが完済されている場合の手続き費用は、約2万円です。

3-3-2.被相続人が亡くなった後にローンが完済された場合

不動産を相続した後に、相続人がローンを完済した場合は、相続登記の手続きを行ってから、抵当権抹消手続きを行います。手続きを司法書士に依頼した場合のシミュレーションは次の通りです。

<相続登記に必要な費用>

  • 司法書士への報酬:6万円
  • 登録免許税:固定資産税評価額 3,500万円 × 0.4% = 14万円
  • 事前調査費用:1,200円
  • 相続確認費用:亡くなった人の戸籍謄本700円+亡くなった人の住民票除票400円+相続人全員の戸籍謄本450円×5人+不動産の相続人の住民票400円+相続人全員の印鑑証明書400円×5人=5,750円
  • 申請完了確認費用:600円
  • 交通費・郵送料:3,000円
  • 小計:21万550円

<抵当権抹消に必要な費用>

  • 司法書士への報酬:1万5,000円
  • 登録免許税:2(土地1筆、建物1件) × 1,000円 = 2,000円
  • 事前調査費用:1,200円
  • 申請完了確認費用:600円
  • 交通費・郵送料:1,500円
  • 小計:2万300円

「相続登記に必要な費用21万550円」+「抵当権抹消に必要な費用2万300円」=合計23万850円

被相続人が亡くなった後にローンが完済された場合の手続きにかかる費用は約23万円となります。ただし、このケースの場合、固定資産税評価額に大きく左右されることに注意してください。

4.自分で手続きしたい場合は住宅ローン完済直後がおすすめ

抵当権抹消の手続きについて、比較的自分で対応しやすいタイミングがあります。それは、住宅ローンを完済し、金融機関から抵当権抹消の手続きに必要な書類一式が送られてくる時期です。

この時期は、抵当権抹消の手続きに必要な書類が手元にほぼ揃っている状態です。書類を集める手間が省けます。

また、手続きを行う際には、別途、抵当権抹消のための「登記申請書」を作成しなければなりませんが、金融機関から送られてきた書類を参考にすれば比較的簡単に作成できます。

申請書を完成させた後は、金融機関からの書類とともに法務局に提出すれば、手続きを完了させることができます。

比較的スムーズに手続きを進めやすいため、住宅ローンを完済し、金融機関から必要書類が送られてきた場合には、自分で手続きを行うことをおすすめします。

なお、「抵当権抹消」についての手続き方法など、より詳しくは、抵当権抹消について書かれたこちらの記事をご確認ください。

5.司法書士に依頼したほうがいい3つのケース

前章でお伝えしたように、必要書類が揃えやすいときなど、手続きが比較的簡単な場合は、自分で手続きを行うとよいでしょう。

しかし、手続きが煩雑な場合や、手続きを急ぐ場合は司法書士に依頼した方がよいと言えます。特に次のケースについては、司法書士に依頼した方がよいでしょう。

  • 不動産の売却と同時にローンを完済する場合
  • 古い抵当権を抹消する場合
  • 時間や手間をかけられない場合

それぞれについて依頼した方がいい理由を解説するので確認してみてください。

5-1.不動産の売却と同時にローンを完済する場合

不動産の売却と同時に住宅ローンを完済する場合は、抵当権抹消の手続きを司法書士に依頼した方がよいでしょう。

不動産の売却代金を住宅ローンの返済にあてる場合、マンションの引き渡し日に買い手と売り手は下記のような手続きを速やかに行わなければなりません。

  • 買い手にマンションの購入代金の残りを支払ってもらう
  • 買い手の支払いを受けて、売り手は住宅ローンを完済する
  • 売り手が、抵当権抹消の登記手続きを行う
  • 買い手が、所有権移転の登記手続きを行う
  • 買い手が、買い手への住宅ローンの担保に抵当権設定の登記を行う

不動産の引き渡し日に抵当権抹消の手続きを正確に速やかに行わなければならないため、通常は売り手も買い手も登記手続きを司法書士に依頼します。特に買い手に住宅ローンを貸し出す銀行からの強い要望で司法書士に依頼するケースが多く見られます。

手続きに手間取ったり、間違えたりすることが認められないため、不動産の売却と同時に住宅ローンを完済するような場合には、司法書士に依頼することをおすすめします。

5-2.古い抵当権を抹消する場合

相続した不動産などで、過去に設定した古い抵当権が残っている場合なども、司法書士に依頼した方がよいでしょう。

古い抵当権の場合は、抵当権者と連絡を取ったり、必要書類を揃えたりすることが難しいケースが少なくありません。抵当権者が倒産していたり、合併していたり、行方不明になっていたりして手続きが煩雑になることが多いためです。専門家である司法書士に依頼することをおすすめします。

5-3.時間や手間をかけられない場合

時間や手間をかけられない場合も司法書士に依頼することをおすすめします。

抵当権抹消の手続きは、多少難しい場合でも、よく調べれば自分で対応できないわけではありません。しかし、調査や書類の手配にも時間がかかり、手続きや書類にミスがあると書類提出後の法務局とのやり取りにも時間がかかります。

専門家に依頼すると早く正確に手続きを進めてもらえるため、時間や手間をかけられない場合は司法書士に依頼するようにしましょう。

6.まとめ

抵当権抹消の費用について紹介しました。

抵当権抹消の手続きを自分で行う場合には、実費だけで安くすみます。例えば、住所変更などの事前手続きが必要ない場合は、およそ4,000円くらいで手続き可能です。その場合の費用の内訳は下記の通りです。

【自分で抵当権抹消の手続きを行うケース(標準ケース)】

自分で抵当権抹消の手続きを行うケース(標準ケース)

同じケースで、司法書士に依頼した場合は、司法書士への報酬分だけ費用が高くなります。

司法書士に依頼した場合

自分で手続きを行うと実費だけで安くすみますが、司法書士に依頼すると、手続きがスムーズに進み、かつ正確に行ってもらえます。

事前手続きがなく、また必要書類が揃えやすいときなど、手続きが比較的簡単な場合は、自分で手続きを行うとよいでしょう。煩雑になる場合は、司法書士に依頼することをおすすめします。これらの情報をぜひ抵当権抹消の手続きをスムーズに進めるために役立ててください。

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この記事を書いた人

スムナラ編集部の編集長。常に物件購入者の方の役立つ情報をお届けできるよう日々努力している。

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