「そろそろ不動産を資産整理したほうがいいのだろうか?」
「不動産を資産整理するには何からすればいいのだろう?」
不動産を資産整理について考える時、自分は資産整理をすべきなのか、もしするなら何から手を付ければいいかと悩みますね。資産整理は大きく3つの目的に分けられ、以下のような人におすすめです。
また、資産整理をすると決めたら誰に相談し、何から始めたらいいかと悩むでしょう。
不動産を資産整理するには、
- 税理士や弁護士に相談する
- 不動産会社の仲介で売却する
- 財産リストを作成する
- 任意売却専門の不動産会社で売却する
- 売却後も住み続けられる”リースバック”を利用する
- ”オーナーチェンジ”で不動産を買い取ってもらう
など多くの選択肢があります。
ただし、注意しなければならないのは目的によって選ぶ方法が異なるということです。選ぶ方法を間違えてしまうと、不動産の資産整理に失敗しかねません。
そこで、ここでは不動産の資産整理の方法について以下のことについて詳しく解説します。
- 相続、負債整理、投資の目的で不動産を資産整理する際のそれぞれのメリット・デメリット
- 相続目的で不動産を資産整理する具体的な方法
- 負債整理目的で不動産を資産整理する具体的な方法
- 投資目的で不動産を資産整理する具体的な方法
最後まで読めば資産整理すべきかどうか判断でき、ご自分に合った不動産の資産整理の方法が分かりますよ。資産整理で後悔しないためにも、この先を読み進めてください。
1. 不動産の資産整理とは
不動産の資産整理とは、以下のようなことを指します。
- 所有する家や土地をリスト化して整理する
- 売却して現金に変える
不動産の資産整理とは、所有する土地や建物についての情報を整理してリスト化しておくことや、不動産会社に依頼して売却し、現金化して不動産から動産(すぐにでも動かせる財産)にすることです。
もう少し詳しく説明しますね。
1-1. 所有する家や土地をリスト化して整理する
所有する不動産をリスト化して一覧にすることで、資産情報を整理することができます。例えば「所在地」「所有面積」「価格」などを把握することが可能になります。
1-2.売却して現金に変える
不動産を売却して現金に変えることで、資産を整理することができます。現金化することで、例えば、相続する際に1円単位まで分配することができる、売却代金で負債を返済しマイナスの財産をなくしておくといったことが可能になります。
2. 不動産を資産整理する目的
不動産を資産整理しようと思うのには個々の事情がありますが、大きくは、
- 相続対策のため
- 負債整理のため
- 投資のため
の3つに分けられます。
それぞれの目的の詳細について、以下で解説します。
2-1. 相続目的|相続に備えるため
相続目的の資産整理は、子どもの将来を考えて相続税の負担を減らしてあげたい、子ども同士で揉めるのを回避したいといった場合によく行われます。
土地や建物などを複数持っていると、莫大な相続税がかかることがあります。将来子どもに相続する際、相続した子どもは高額な相続税を支払わなければなりません。
そればかりでなく、不動産は所有した時点から固定資産税がかかります。住んでいる土地や家に関しては問題ありませんが、住んでいない家やマンションなどに関しても相続した人は余計な税金を支払い続けることになります。
誰も相続したがらないような放置された不動産はトラブルのもとにもなるため、早々に現金化するという選択をする人もいます。
加えて、遺産相続の時に不動産のままだと、どの不動産を誰が相続するかで揉めてしまう可能性もあります。そのようなことを防ぐために、不動産を現金化して資産整理しておくのは賢明といえます。
2-2. 負債整理目的|負債を整理するため
負債整理の資金を作るために家などの不動産を売却するという目的で資産整理をすることもあります。住宅ローンなどの返済や自己破産などで財産を失った場合によく行われます。
住宅ローンが返済できず不動産を売却する際は、任意売却か強制競売のいずれかになります。任意売却ならば通常の相場と同等の価格で売却することが可能です。
ただし、強制競売となると相場の6〜8割程度の売却価格になるため、ローンを完済できない場合もあるので注意が必要です。
2-3. 投資目的|投資のため
投資目的のためにも資産整理は行われます。景気が回復して不動産の価値が上がったのを見計らって高い金額で売却するのが目的です。
場合によっては大きな利益を得ることができるため、日頃から景気の変動などをチェックしておくことが重要になります。
3. 相続目的で不動産を資産整理するのがおすすめな人
2章では不動産を資産整理する際の代表的な目的とその詳細について詳しく説明しました。本章では相続目的で資産整理するメリット・デメリットを踏まえて、おすすめな人をお伝えします。
相続目的で資産整理するメリット・デメリットは以下です。
メリットとデメリットに分けて詳しく解説します。
3-1. メリット
メリットは、以下のようなものです。
ひとつずつ説明していきます。
3-1-1. 不動産を現金化することで分けやすくなる
不動産を現金化すると、遺産を相続する際に分けやすくなります。
土地や家などはお金と違って分割して分け合うことができません。しかし、売却して現金化すれば1円単位まできっちりと分けることが可能です。
例えば、不動産を整理しなかったことで、相続時に以下のようなトラブルが起きる可能性があります。
- 1つの建物をめぐって誰が相続するのかで揉める
- 遠方に所有する山や畑は処分するのか、だれが管理するかで揉める
- 誰も相続したがらない建物を、誰が税金を払いながら管理するかで揉める
誰でも価値の高い不動産は所有したいのが本音です。子どもが複数いる場合は、どの土地や家を相続するかで揉める可能性がありますね。自分の子ども同士がそのような争いをするのはできれば避けたいものです。
不動産は所有すると同時に、固定資産税を毎年支払う義務が生じます。遠方に放置してある土地や建物などの不要な不動産をそのままにしておくと、誰が相続・管理して税金を払うのかで揉めることにもなりかねません。
不動産を現金化して遺産相続の場合もスムーズに分け合うことができるのは、大きなメリットといえます。
3-1-2. 税金対策になる
不動産を売却して現金化することは、相続税などの税金対策になります。
2-1. 相続目的|相続に備えるためでもお伝えしたように、複数の不動産を持っていて誰も相続したがらないような家や土地がある場合、誰が相続するかで揉める上に、相続した人は毎年固定資産税を払わなければなりません。もちろん、相続する際には相続税を支払う義務も生じます。
地方の土地や家などでも思わぬ莫大な相続税がかかる可能性もあります。不要な土地や家に莫大な相続税や固定資産税を支払うのはもったいないですよね。
税金対策として不動産を資産整理すれば、余計な相続税や固定資産税を発生させないで済みます。
3-1-3. 維持費がなくなる
誰も住んでいない家や古くなったマンションを所有している場合、家の修繕費やマンションの管理費などの維持費がかかります。
特に、家は人が住んでいないと老朽化が激しいです。何年、何十年も掃除や手入れをしない上、水が溜まったままの排水管は腐食するので、水回りの老朽化が進みます。
いつかは買い手がつくかもしれないと中途半端に残しておくと、実際に入居する際には修繕費だけでは済まなくなり大規模なリフォームや建て直しが必要になり、大きな出費が生じる可能性が高いです。
マンションにしても住んでいるなら問題ありませんが、住んでいないマンションや利回りのよくないマンションに毎月管理費や修繕積立費などを支払うのは得策ではありません。
不動産を売却して資産整理すると、そのような維持費がなくなり余計な出費を抑えることができます。
3-2. デメリット
相続目的で不動産を資産整理するのは様々なメリットがありますが、デメリットもあることを知っておきましょう。
1つずつ説明します。
3-2-1. 売却を相談する相手先によって得手不得手がある
不動産を売却をする際は、相談する相手先によって得手不得手があることを知っておきましょう。
不動産を売却するには、通常は仲介不動産会社に依頼すると思いますが、仲介不動産会社は家や土地の売却に詳しくても相続税などの税金対策には詳しくありません。
一方、税理士や司法書士は税金や相続関連の法律には詳しくても、家を売却する方法に対しては専門外です。
このように、相談する先によって専門分野が異なるため、相談先を選ぶ際には注意しなければならないのがデメリットといえます。
3-2-2. 住んでいる家の場合、引っ越しが必要になる
もしも現在住んでいる家を資産整理する場合は、引っ越す必要があります。
子どもに一切の面倒をかけたくないと考える場合、自分が元気なうちにすべての不動産を資産整理しておきたいですね。そういった場合、自分が住んでいる家についても資産整理することができます。
ただ、不動産を売却すると所有者が別の人になるため、住み続けることができません。そのため、居住している家を売却して資産整理する場合は、引っ越しが必要になることも考慮に入れておきましょう。
なお、売却しても住み続けられる方法としてはリースバックというものがあります。リースバックについては6-2-2. 売却後も住み続けたい場合はリースバックを利用するで詳しく説明します。
3-2-3. 相続すると相続税や固定資産税を支払う義務が生じる
不動産を相続するには相続税がかかります。加えて、不動産を相続した時点から固定資産税の支払い義務が生じます。
相続した本人が希望する場合は問題ありませんが、もしも希望しない不動産を相続した場合は相続税や固定資産税を支払うことに納得がいかないでしょう。
不動産を資産整理せずにそのままにしておくと、相続した子どもに税金という経済的な負担がかかる可能性が考えられます。
3-2-4. 相続した不動産を売却する際に売却費用や手間がかかる
相続した不動産を売却する際には、売却費用や手間がかかることも忘れてはなりません。
「相続して売却すればお金が入ってくるのでは?」と思うかもしれませんね。しかし、売却費用が丸ごと入ってくるわけではありません。売却するには不動産会社に仲介を依頼するので、仲介手数料が発生するからです。
仲介手数料は売却する不動産によって異なりますが、相場は以下のようになっています。
例えば、4000万円の建物を相続して売却した場合、仲介手数料は138万6,000円です。
加えて、不動産はすぐに売却できるとは限りません。建物の場合、売却期間の平均は3ヶ月です。しかし、立地などの条件によってはなかなか売れず、半年〜1年程度かかってしまうこともあります。そうした場合は売れるまでの間の管理費用や固定資産税も払い続けなければならないのです。もちろん、その間定期的に仲介不動産会社と連絡も取り続けなければなりません。
このような売却費用や手間は、相続した人にとっては負担となるでしょう。
3-3. 相続目的で不動産を資産整理するのがおすすめなのはこんな人!
上記のようなことから、相続目的で不動産を資産整理するのがおすすめなのは、以下のような人です。
メリット・デメリットを振り返りながら詳しく説明しますね。
3-3-1. 不動産を複数持っている人
複数の不動産を持っている人は、資産整理をするのがおすすめです。
複数の不動産を所有している場合、将来誰も相続したがらない不動産が問題になったり、どの不動産を誰が相続するかで子ども同士が揉めたり、困ったりする可能性が高くなります。
そのようなことを防ぐためにも、資産をリスト化したり売却して現金化しておくのが良いでしょう。
3-3-2. 持病などがあるため元気なうちに相続対策をしておきたい人
持病など健康に不安がある人は、元気なうちに相続対策として資産整理をしておくのがおすすめです。
病気で入院などをして自分が思うように動けなくなると、誰かに依頼して資産整理を行わなければなりません。万が一、認知症などになれば自分で判断できなくなる可能性もあります。
しかし、所有する不動産がどこにどのくらいあり価値はどのくらいなのかなどを本人以外の人が調べるのは至難の業です。
相続は分かっているものしか行えないため、後から所有していることが発覚するとトラブルになる恐れがあります。実際、以下のような事例があります。
- 遺産分割が終わってから新たな不動産が見つかり、相続権のある子ども同士で揉める
- 新たな財産を売却して分配するに当たり、査定費用や売却費用、手間が生じる
上記のようなトラブルが起こるのを防ぐためにも、元気なうちに資産整理をしておくと良いでしょう。
3-3-3. 子どもに余計な税金を払わせたくない人
子どもに余計な税金を払わせたくない人は、相続対策の資産整理をすべきです。
3-2-3. 相続すると相続税や固定資産税を支払う義務が生じるでもお伝えしたように、子どもが希望しない不動産を相続してしまった場合、税金という新たな経済的負担が生まれます。
遺産相続を金銭で行えば、相続したお金の使い道は自由です。子どもに余計な税金の負担をかけたくない場合は、資産整理で不動産を売却・現金化するなどしておきましょう。
3-3-4. 子ども同士で相続争いをさせたくない人
子ども同士で相続争いをさせたくない人は、早めに資産整理をしておくのがおすすめです。
土地や建物などの不動産は等分に割ることができません。しかし、売却して現金化しておけば等分に分割することが可能です。
自分が残した不動産のことで子ども達が争うのは悲しいですよね。子ども達の関係を悪くしないためにも、資産整理は必要です。
3-3-5. 元気なうちに、放置された不動産を処分して現金化しておきたい人
放置された不動産を自分が元気なうちに処分しておきたい人は、資産整理するのがおすすめです。年を取ると病気などで体が動かなくなって自分で行えなくなる、認知症になって自分で判断できなくなるなどのリスクが高まるからです。
3-1-2. 税金対策になるで説明したように、誰も相続したがらないような放置された不動産は誰が処分するか揉める可能性があります。
不動産を処分するには仲介手数料などの売却費用や時間や手間がかかります。子どもにそうした面倒や負担をかけないためには、元気なうちに放置された不動産を売却して現金化しておくのが良いでしょう。
4.負債整理目的で不動産を資産整理するのがおすすめな人
次は、負債整理が目的で不動産を資産整理するメリット・デメリットとおすすめな人を解説します。
負債整理目的で不動産を資産整理するメリット・デメリットは以下です。
住宅は様々な資産の中でも大きな額の部類に入る資産です。自己破産してローンが使えなくなった人や住宅ローンの返済が困難な人は、家を売却してまとまったお金を得て返済資金に充てることができます。
その他、何らかの理由で早急に資金を調達したい人は、負債整理目的で不動産を資産整理するのがおすすめです。
以下でメリット・デメリットから詳しく説明します。
4-1. メリット
負債整理目的で不動産を資産整理するメリットとしては、以下のものがあります。
1つずつ説明しますね。
4-1-1. 売却代金で負債を支払える
家や不動産の価値はその時の相場に左右されるため思い通りの金額で売却できない可能性もありますが、大きな額には違いありません。ローンの返済額を大きく減少できたり資金繰りの主な助けになったりするでしょう。
不動産は大きな資産なので、売却すれば負債を大きく軽減できるのがメリットです。
4-1-2. 任意売却なら一般的な相場で売却できる
2-2. 負債整理目的|負債を整理するためでも説明しましたが、強制競売と違って任意売却の場合は通常の相場とほぼ同じ価格で家を売却することが可能です。
任意売却の場合は、売却後も引っ越し期日や返済期間などを相談できるなどのメリットがあります。
4-2. デメリット
一方、デメリットは以下のようなものです。
こちらも1つずつ説明します。
4-2-1. 強制競売の場合はローンを完済できないこともある
強制競売とは住宅ローンの返済が困難な場合に、抵当権を持つ債権者が家を売却して残債の清算に充てるものです。
しかし、強制競売は2-2. 負債整理目的|負債を整理するためでも説明したとおり、相場の6〜8割程度で売却されることが一般的なのでローンを完済できない場合もあるため注意しましょう。
4-2-2. 自宅を強制競売する場合は引っ越しが必要になる
家を強制競売にかけられた場合、新たな所有者が決まれば家を明け渡さなければなりません。そのため引っ越しを余儀なくされることを念頭に置く必要があります。
強制競売は任意売却と違ってかなり厳しく、一括での支払いを迫られるので財産をすべて失う可能性が高いです。
強制競売にかけられる場合は、手元に財産が残らない上に引っ越し費用などの出費が必要になるため、十分な注意が必要です。
4-3. 負債整理目的で不動産を資産整理するのがおすすめなのはこんな人
メリットやデメリットを踏まえると、負債整理目的で不動産を資産整理するのがおすすめなのは、以下のような人です。
家の売買には、通常売却を開始してから成約するまで3ヶ月程度かかるとされています。駅から近い、築年数が浅いなど条件が良ければ3ヶ月より早く決まる場合もありますが、半年〜1年以上かかっても売却できない可能性も考えられます。
そのため、資金を調達するには早めに行動するのがおすすめです。
5.投資目的で不動産を資産整理するのがおすすめな人
ここでは、投資目的で不動産を資産整理するメリット・デメリットやおすすめな人をお伝えします。
メリット・デメリットは以下です。
こちらもひとつずつ解説していきます。
5-1. メリット
不動産を投資目的で資産整理するメリットは以下のようなものです。
ひとつずつ説明します。
5-1-1. 売却した不動産が財産になる
不動産を複数所有していれば、売却するだけで即財産となります。
投資目的の不動産売却は不動産の価値が高値になっている時に行うのが理想です。例えば、
- 路線価が上がっている時
- 近隣に商業施設が出来た時
- リノベーション直後
- 入居率が100%の時(マンション)
などのタイミングがベストです。
路線価とは線路や道路に面する宅地の1㎡あたりの価格のことです。路線価は国税庁の公式サイトで確認することができるので、日頃からチェックしておくと良いでしょう。
5-1-2. 売却して得たお金を自由に使える
投資目的の資産整理の場合、不動産を売却して得たお金を自由に使えます。売却して得たお金は何に使っても自由なので、次の投資資金のために役立てることも可能でしょう。
投資目的の不動産整理は、元金よりも増やすことが目的です。増えたお金を自由に使えるのは大きなメリットといえるでしょう。
5-2. デメリット
不動産を売却すれば財産となるのは違いありません。しかし、投資目的の不動産の資産整理のデメリットとしては以下のようなものがあります。
デメリットについて1つずつ説明します。
5-2-1. 売却時期を間違えると売れない可能性がある
不動産は売却時期を間違えると売れ残ってしまう可能性があります。
不動産の売買が多く行われる時期は、人事異動や転校などで引っ越しが多い1〜3月です。年明けと同時に年度末までが売り時となるため、この時期を狙って売却すると良いでしょう。
5-2-2. 売却時期を間違えると損をしてしまう
売却時期にはもうひとつ注意すべき時期があります。それは景気です。不動産の価値は景気に左右されるため、不動産の相場が下がっている時に売却してもなかなか売れない可能性が高いです。
相場が下がっている時に無理に売ろうとすると、価格を下げることになるので注意が必要です。
5-3. 投資目的で不動産を資産整理するのがおすすめなのはこんな人
上記のようなことを踏まえると、投資目的で不動産を資産整理するのがおすすめなのは、以下のような人です。
メリット・デメリットを振り返りながら説明していきます。
5-3-1. 不動産投資の出口として不動産を売却したい
不動産投資の出口として不動産売却をしたい人は資産整理をおすすめします。
投資の出口で不動産を売却する場合、どう売却するかは所有する不動産の条件や状況によって異なります。
- 収益物件のまま売却する → 収益性で計算※した方が高く売れる場合
- 更地にして売却する → 建物に問題があり買い手がつかない場合
- 自己居住用として売却する → 売却した後自分が住みたい場合
※収益性の計算方法
更地にして売却する場合は、戸建てや一棟物のマンション・アパートなどであることが前提です。
投資の出口として売却するなら、どう売却したら高く売ることができるのかを考慮に入れて売却しましょう。
5-3-2. 投資目的で所有しているマンションを売却したい
投資目的でマンションを売却したい場合は資産整理するのがおすすめです。
特に、建物が老朽化するなどで買い手がつかない場合や修繕に費用がかかりすぎる場合は、売却して現金化するのが良いでしょう。
5-3-3. 投資目的で所有している不動産の減価償却費の計上が終わった
投資目的で所有している建物などの不動産の減価償却費の計上が終わったら、その時点で資産整理をするのがおすすめです。
参考:経理COMPASS 減価償却費とは|「そもそも減価償却って何?」から図入りで分かりやすく
建物は経年するごとに老朽化しますね。これを法律で耐用年数といい、耐用年数は資産により定められています。
耐用年数が定められている資産は、固定資産税を一気に計上することができません。固定資産税は耐用年数の期間中の数年に分けて支払っていきますが、建物資産の場合は耐用年数で割った同額を支払う定額制です。
減価償却費を支払っている間は税金が安くなるので、節税対策として行っている人も多いでしょう。しかし、減価償却費の計上が終了した建物は課税所得が一気に増えます(課税所得税率は建物によって異なります)。
住宅の場合の減価償却費の計上期間は、以下のようになっています。
例えば築10年の木造住宅を所有すると、12年後には減価償却費の計上が終了します。そのため、投資目的で所有している不動産建物は、タイミングを見計らって売却するのがおすすめです。
6.不動産を資産整理する方法
3章から5章までは、相続目的・負債整理目的・投資目的のそれぞれのおすすめな人をメリット・デメリットを踏まえながら説明してきました。ご自分が資産整理すべきかどうかを判断できたのではないでしょうか。
本章ではいよいよ実際に不動産を資産整理する方法についてお伝えします。これまでと同様、目的別に詳しく解説していきます。
6-1. 相続目的の場合
相続目的で不動産を資産整理する場合、以下の4つの方法があります。
- 税理士や司法書士、弁護士に相談する
- 不動産会社の仲介で売却する
- 売却後も住み続けられる”リースバック”を利用する
- 財産リストを作成する
ひとつずつ説明します。
6-1-1. 税理士や司法書士、弁護士などの士業に相談する
相続目的で資産整理をする場合は税金関係や諸手続きなど、難しいことがたくさんあります。1人で行うのは難しいため、専門家に相談するのが一般的です。
具体的には税理士や司法書士、弁護士が挙げられます。それぞれの専門家に依頼するのがおすすめなのは、以下のような場合です。
1つずつ解説していきます。
▼相続税や納税などに詳しくない場合 → 税理士に相談する
相続税や納税などの税金関係に詳しくない場合は、税理士に相談します。
税理士は税に関する専門家です。本人に代わり預金通帳のチェックや資金移動表の作成、準確定申告など煩雑な税務処理を行ってくれます。
加えて、もしも税務対象となった際には税務を行った税理士だけが呼び出されるため、本人が対応する必要がないのは気持ちの上でとてもラクです。
▼相続に関する諸手続きが必要な場合 → 司法書士に相談する
不動産を相続したい場合は、司法書士に相談します。そのため不動産相続をするほとんどの人が相談することになるでしょう。
不動産を相続する際の抵当権抹消登記や相続登記などの手続きは、自分で行うこともできます。しかし、複数の提出書類を揃えたり、法務省に出向いたりしなければならずとても大変です。そのため、司法書士に依頼して代行してもらうのが一般的です。
なお、抵当権抹消には以下の費用がかかるので注意しましょう。
抵当権抹消費用:5,000円程度
司法書士の報酬:20,000円程度
▼不動産に関するトラブルが生じそうな場合 → 弁護士
不動産に関するトラブルが生じそうな場合は、弁護士に相談します。弁護士は、不動産に関するトラブル全般についての専門家です。
例えば、
- 不動産の分割トラブル
- 相続人との交渉代行
- 不動産相続で裁判になった(なりそうな)時
などです。
上記のように、税理士、司法書士、弁護士にはそれぞれ異なった役割があります。必要に応じて依頼し、使い分けるのがおすすめです。
加えて、それぞれの分野で不動産相続に強い税理士・弁護士・司法書士がいますので、選ぶ際には「不動産相続に強い○○(士業名)」と探すと良いでしょう。
なお、相続目的で不動産を売却する場合、相続には期限が定められていますので注意しましょう。
6-1-2. 不動産会社の仲介で売却する
6-1-1でお伝えしたような専門家への相談が必要ない場合は、不動産会社に依頼をして不動産を売却します。
不動産を売却するためには、不動産会社に依頼して仲介して販売活動をして貰うのが一般的です。個人で行えないこともありませんが、個人で行うと情報や伝手がないためなかなか売れない・事務処理を自分でする必要があるなどとても大変なので、依頼するのがおすすめです。
不動産会社の選び方については、不動産仲介業者の選び方について書かれているこちらの記事でより詳しく知ることができます。
相続目的で不動産を資産整理する場合は、税理士、司法書士、弁護士に相談すると同時に不動産会社にも相談して売却を進めます。
6-1-3. 売却後も住み続けられる“リースバック”を利用する
居住している家を資産整理したい場合は、「リースバック」がおすすめです。
リースバックとは家の売却後にその家を賃貸物件として借り、賃料を支払って住み続けられるしくみです。リースバック契約後は、家の所有権はリースバック業者に移ります。
リースバックを利用すれば、相続目的で家を売却した後もその家に住み続けることが可能なので、引っ越しが不要になります。
加えて、再売買契約を締結すれば家を買い戻せる場合もあります。一旦は家を売ってお金にしても、子どもがその家を所有したいと希望することもあるでしょう。
ただし、リースバックでの売却価格は通常の相場よりも60〜90%程度となるので注意しましょう。
6-1-4. 財産リストを作成する
複数の不動産を所有している場合は、財産リストを作成するのがおすすめです。
どこにどのような不動産を持っているかを一覧にすれば、相続する際の分割トラブルや相続協議書への記載漏れなどを防ぐことができて便利です。
財産リストに不動産を記載する内容は、
などです。
記載例)
6-2. 負債整理目的の場合
一方、負債整理目的で不動産を資産整理する場合は、不動産を売却したお金で資金繰りに充てるため、以下のような方法で行うのが一般的です。
- 任意売却専門の不動産会社で売却する
- リースバックを利用する
1つずつ説明します。
6-2-1. 任意売却専門の不動産会社で売却する
住宅ローンの支払いが困難になった場合は債権者である銀行と相談し、任意売却を行います。
任意売却は通常の不動産仲介と同じ要領で行いますが、できれば任意売却専門の不動産会社に依頼するのがおすすめです。任意売却専門の不動産会社なら、税理士や司法書士とのやり取りにも慣れているからです。
負債整理目的で任意売却をする際には、任意売却専門の不動産会社を選びましょう。詳しくは、任意売却を扱う不動産会社選びに関するこちらの記事で知ることができます。
6-2-2. 売却後も住み続けたい場合はリースバックを利用する
6-1-3. 売却後も住み続けられる“リースバック”を利用するでも説明したリースバックは、負債整理目的での不動産売却にも利用することができます。
その理由は、リースバックには以下のような特徴があるからです。
- 一括で買取されるためまとまった資産を手にすることができる
- 周囲に知られずに済む
- 固定資産税を払わなくて済む
- 更新や再契約を行って住み続けることが可能
リースバックを利用すればまとまったお金が入るので住宅ローンの返済に充てられる上、固定資産税の支払いもなくすことができます。
6-3. 投資目的の場合
投資目的で不動産を売却する場合は、以下の2つの方法があります。
- 不動産会社の仲介で売却する
- ”オーナーチェンジ”で不動産を買い取ってもらう
それぞれについて以下で詳しく解説します。
6-3-1. 不動産会社の仲介で売却する
不動産を売却する際は、不動産会社の仲介で行うのが一般的です。不動産会社に依頼すれば、銀行との煩雑な諸手続きを代行し、売り手に代わって販売活動を行ってくれるからです。
ただし、不動産会社によっては査定額が100万円以上も異なることがあります。査定額が高ければ、売却価格も高めに設定されます。そのため、不動産会社は複数に依頼して査定しましょう。
具体的には、大手不動産会社3社、売りたい不動産がある地元の中小不動産会社3社程度に依頼するのがおすすめです。
特に、投資用の不動産売却を扱っている不動産会社なら、景気の動向なども考慮しながら売り時を提案してくれるでしょう。
投資目的の不動産を資産整理する際は、複数の不動産会社の中から実績があり、かつ高く売却してくれそうな会社を選びましょう。
6-3-2.“オーナーチェンジ”で不動産を買い取ってもらう
投資用の不動産を資産整理するなら、オーナーチェンジもおすすめです。オーナーチェンジとは、入居者がいる状態で不動産を売却し、所有者を変えることをいいます。
オーナーチェンジの対象となるのは賃貸物件になっている不動産で、ワンルームマンションなどでよく行われます。
賃貸物件のため投資家同士で行われるのが一般的で、具体的には不動産会社が買取を行い、次の投資家に売却します。
オーナーチェンジは不動産会社が買取を行うため、以下のようなメリットがあります。
- 早期売却が可能
- 買取なので仲介手数料がかからない
このようなメリットがあるため、
- 今すぐお金に変えたい
- 物件の利回りがよくない
- 賃料の滞納者がいる
- 物件の状態が悪く、修繕費に莫大な費用がかかる
というような不動産を売却したい人に向いています。
ただし、オーナーチェンジは相場よりも売却価格が割安になることが多いです。購入金額や不動産の価値とのバランスを考慮しながらの選択となるので注意しましょう。
7. 不動産の資産整理をするときに押さえるべきポイント
これまで目的別のメリット・デメリットや方法をお伝えしていましたが、不動産を資産整理する際には以下のポイントを押さえておくことが重要です。
- 目的を明確にする
- 税理士・司法書士・弁護士、仲介不動産会社の役割を把握する
もう一度簡単にさらっておきましょう。
7-1. 目的を明確にする
不動産を資産整理する際には、まず目的を明確にしておきましょう。なぜなら、目的によって資産整理の方法ややることが大きく異なってくるからです。資産整理すべき人を目的別に示すと、以下のようになります。
まずは目的を明確にし、目的に合った対策や方法をとって資産整理を成功させましょう。
7-2. 税理士・司法書士・弁護士、仲介不動産会社の役割を把握する
資産整理には様々な手続きや事務処理などが必要になりますが、相談する先を間違えるとスムーズに資産整理をすることができません。
税理士・司法書士・弁護士・仲介不動産会社のそれぞれの役割を把握し、適切なところに相談して資産整理を進めましょう。
8. まとめ
不動産の資産整理をするには、何のために行うのかを明確にしてから方法を選択します。目的は、大きく相続対策のため、負債整理のため、投資のための3つのいずれかに分かれます。
3つの目的から見た場合、不動産の資産整理がおすすめなのは以下のような人です。
的によって、不動産を早急に売却したいか、売却までの期間に余裕があるかの違いがあります。
また、それぞれの目的での資産整理には、メリットとデメリットがあるため把握しておくことが大切です。
相続目的で不動産を資産整理する場合、不動産を現金化できるので、1円単位で明確に分け合うことが可能になり、相続をめぐるトラブルなどを避けられます。
負債整理目的で不動産を資産整理する場合、売却すればまとまったお金が手に入り、住宅ローンや借金などの返済に充てることができます。
投資目的で購入した不動産の場合、できるだけ高く売りたいと考えるなら、売却時期には十分に気をつける必要があります。
【相続目的で不動産を資産整理する方法】
- 税理士や司法書士、弁護士に相談する
- 不動産会社の仲介で売却する
- 売却後も住み続けられる”リースバック”を利用する
- 財産リストを作成する
税理士、司法書士、弁護士にはそれぞれ得手不得手があるため、その役割を把握した上で上手に活用しましょう。
【負債整理目的で不動産を資産整理する方法】
- 任意売却専門の不動産で売却する
- リースバックを利用する
リースバックは相続目的でも負債整理目的でも利用することが可能です。ただし、売却金額は通常の相場よりも低くなるため注意しましょう。
【投資目的で不動産を資産整理する方法】
- 不動産会社の仲介で売却する
- ”オーナーチェンジ”で不動産を買い取ってもらう
不動産会社によって査定額が100万円以上も異なる場合があるため、査定する際には複数の不動産会社に依頼するのがおすすめです。
オーナーチェンジは早期売却ができ仲介費用もかからないので、早く不動産を売却したい人におすすめです。ただし、通常の相場より割安になる可能性もあるため注意しましょう。
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