権利証を紛失しても売却は可能!対処法や手続きの費用を徹底解説

「今住んでるマンションを売るのに権利証が必要だと言われたけど、見つからない……どうすればいいんだろう?」

「権利証をなくしちゃったけど、再交付はできないのかな……?」

不動産をいざ売却しようとしたときに、権利証が見つからないと「ちゃんと売却できるかな…?」と不安になってしまいますよね。

権利証を紛失してしまった場合、まず頭に浮かぶのは「再交付はできるのか?」ということでしょう。

結論からお伝えすると、権利証の再交付はできません。

しかし不動産の売却を諦める必要はありません。

権利証を紛失してしまったとしても、適切な対処法を実践することで不動産の売却は可能です。

そこでこの記事では権利証を紛失した場合にとるべき対処法3つを詳しく解説していきます。

最後まで目を通すことで、権利証を紛失したときの正しい対処法がわかり、スムーズに不動産売却を進められるようになります。

ぜひ参考にしてください。

目次

1.権利証を紛失した場合は再交付ができない

権利証を紛失してしまった場合、まず考えるのは「再交付はできるのか?」という点でしょう。

結論からいうと権利証の再交付はできません。

もし不動産の売却などの手続きで必要となったとしても、権利証にはそもそも再交付の制度がないのです。

しかし権利証はあくまで不動産の所有者本人であるかを判断する本人確認書類として交付されるものであり、なくしたからといって所有権そのものがなくなるわけではありません。

所有権に関する情報は法務局に保管されており、権利証が手元にないとしても不動産を売却する権限は所有者にあります。

2.所有権の情報は記録されているため権利証は再交付されない

所有権の情報は記録されているため権利証は再交付されない

不動産を取得した際には、所有者の名前や住所などの情報を法務局へ提出し、「登記」の申請を行います。権利証は、登記が完了すると法務局から交付されます。

登記を行うと所有者の名前や住所、土地の情報などが「登記簿」に載り一般公開され、権利関係が誰にでもわかるようになります。権利証は登記の手続きの際に必要になります。

仮に権利証を紛失してしまったとしても、不動産の所有者の情報は登記によって記録に残るため、権利証の再交付は行われません。

そして権利証の再交付ができないということは、権利証なしでも各種手続きが可能ということでもあります。

具体的に権利証がどんな手続きで必要になるのか詳しく知りたい方は、権利証について解説したこちらの記事を参考にしてください。

3.権利証を紛失した場合でも不動産売却の手続きは可能

上記で説明した通り、不動産の売却をしたいのに権利証を紛失してしまった場合、再交付はできません。

しかし権利証を紛失してしまっても、別の方法で登記名義人本人であることを証明できれば、不動産の売却は可能です。

権利証を紛失した場合の代替方法は3種類あり、どれか1つの方法をとって本人確認が行えれば、不動産売却の手続きを問題なく進めることができます。

ただどの方法も手間やお金がかかるので、権利証を紛失していると想定よりも売却に時間がかかったり支出が増えたりする場合がほとんどです。

そのため不動産の売却を考えている際は、早めに権利証があるかを確認し、紛失している場合は速やかに代替の本人確認方法をとって、できるだけスムーズに売却を進めましょう。

4.権利証を紛失した場合の対処法3つ

権利証を紛失したときの代替となる本人確認方法には以下の3つがあります。

権利証を紛失した場合の対処法3つ

この3つのうちどれか1つの方法で本人確認を行うことで、権利証を紛失した場合でも不動産売却を進められるようになります。

3つのうち、①の事前通知制度は切手代や返信用封筒の費用のみで対応できます。

②、③の方法はそれぞれ司法書士や公証人への報酬がかかります。

以下ではそれぞれの方法の内容や手順、費用などについて詳しく解説します。

4-1.事前通知制度を利用する

権利証を紛失したときの対処法1つ目は、事前通知です。

事前通知とは、法務局が登記義務者(不動産の売主や譲渡人など登記によって形式上不利益を受ける者)に対して、登記申請があった旨を書面で通知し、その真偽について一定期間内に返答があることをもって本人確認を行う制度です。

例えば不動産売買の場合、売買契約が成立すると不動産の名義を買主へ変更するために登記申請を行います。

この登記申請を権利証がないまま進めると、法務局から不動産の名義人である売主に対して「あなた名義の不動産で登記申請が行われていますが、この申請は真実ですか?」と問う書面が郵便で送られてきます。

【事前通知の書面の例】

事前通知制度を利用する

売主がこの書面に署名・捺印し、法務局へ持参もしくは返送することで、登記名義人本人であることが確認されたことになり、登記の手続きが進められるようになります。

4-1-1.事前通知の手順

事前通知の手順

事前通知を利用する場合には、まず登記に必要な書類を買主・売主ともに全て揃えて司法書士に提出し、司法書士が取りまとめて登記申請を行います。

その後、法務局から売主へ事前通知の書面が届くため、署名・捺印をして持参もしくは返送します。

返送した書面が法務局で受理されると、権利証なしで不動産の登記が可能となります。

4-1-2.必要なもの

事前通知で必要なものは以下の通りです。

  • 写真付きの本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
  • 印鑑(登記申請書または委任状の印と同じもの)
  • 返信用封筒(返送する場合)
  • 切手代

法務局からの事前通知の書面を郵便で受け取る際には、顔写真の付いた本人確認書類が必要となるのであらかじめ用意しておきましょう。

そして書面に捺印する際は、登記申請書もしくは委任状と同じ印鑑を使用する必要があります。

事前通知の書面を返送する場合は、返送用の封筒を自分で用意しなければならないので購入しておきましょう。

4-1-3.費用

事前通知を利用する場合、費用は無料です。

他2つの方法とは違い、無料で済むことが事前通知の大きなメリットでもあります。

4-1-4.事前通知の注意点

事前通知の注意点

法務局からの事前通知の書面は、本人限定受取郵便で送られてきます。

本人限定受取郵便とは、受け取りの際に本人確認書類の提示が必要な郵便物のことです。

事前通知の書面は、本人限定受取郵便の特定事項伝達型で送付されてきます。

特定事項伝達型の郵便物は、受け取りの際に現氏名・現住所が記載された顔写真付きの本人確認書類を提示しないと受け取りができません。

詳しくは郵便局Webサイト「本人限定受取」で確認してみてください。

そして事前通知の書面は、法務局から発送されて2週間以内に持参・返送を行わないと、登記申請が無効となるので注意しましょう。

4-2.資格者代理人による本人確認情報の提供

権利証を紛失したときの対処法2つ目は、資格者代理人による本人確認情報の提供です。

具体的には不動産の売却で登記の手続きを依頼している司法書士が代理人となり、適切な本人確認情報を法務局へ提供します。

提供された情報が受理されると本人確認が済んだことになり、権利証の提出なしで登記の手続きが進められるようになります。

4-2-1.資格者代理人による本人確認情報の提供の手順

資格者代理人による本人確認情報の提供の手順

資格者代理人による本人確認情報の提供を行うには、まず不動産の売買で登記申請を依頼している司法書士に本人確認情報の提供を行ってもらうよう依頼します。

一般的には売却をお願いしている不動産会社から司法書士が紹介されることが多いので、その司法書士に資格者代理人として本人確認をしてもらいましょう。

本人確認は、必要な書類を提示しながら、司法書士と面談して行います。

売主が登記名義人本人であると確認が取れると、司法書士が本人に間違いがない旨を文書にし、その文書を本人確認情報として登記申請書と一緒に法務局へ提出します。

これが受理されると、売主が登記名義人本人であるとみなされ、権利証なしで登記申請が進められるようになります。

4-2-2.必要なもの

資格者代理人による本人確認情報の提供では、司法書士へ本人確認書類を提示する必要があります。

この制度で有効な本人確認書類は以下の通りです。

本人確認書類の種類は、1号・2号・3号の中からどれか1つ、基準を満たす本人確認書類を準備できれば問題ありません。

◎1号(顔写真付きの本人確認書類)のうちいずれか1点以上

  • 運転免許証
  • マイナンバーカード
  • パスポート
  • 在留カード
  • 特別永住者証明書
  • 運転経歴証明書

◎2号(写真のない本人確認書類)のうちいずれか2点以上

  • 被保険者証(国民健康保険、健康保険、介護保険など)
  • 組合員証(国家公務員共済組合、地方公務員共済組合)
  • 国民年金手帳
  • 母子健康手帳
  • 身体障害者手帳
  • 精神障害者保健福祉手帳
  • 児童扶養手当証書
  • 特別児童扶養手当証書
  • 健康保険日雇特例被保険者手帳
  • 私立学校教職員共済制度の加入者証

など

◎3号(官公庁交付された書類またはそれに準ずるもの)のうち1点以上 + 2号(写真のない本人確認書類)のうち1点以上

  • 印鑑証明書
  • 住民票の写し

など

(※いずれの本人確認書類も、現氏名・現住所が記載されていて有効期限内であるものに限る。

本人確認書類として効力が高いのは、顔写真が付いているものになります。

上記のうち1点の提示と不動産の所有者であることを確認するための資料が必要になります。

できるだけ顔写真のある本人確認書類を準備して、たくさんの書類を準備する手間を省きましょう。

4-2-3.費用

資格者代理人による本人確認情報の提供は、司法書士に代理人を依頼して文書の作成を行ってもらうため、司法書士への報酬が発生します。

司法書士への報酬の相場は5万〜10万円ほどです。

決して安くない料金がかかりますが、3つの代替方法の中で最も時間がかからず、確実に本人確認を行える方法といえます。

4-2-4.資格者代理人による本人確認情報の提供の注意点

資格者代理人による本人確認情報の提供の注意点

資格者代理人による本人確認情報の提供は、資格を有する者なら誰にでも依頼できるわけではありません。

依頼できるのは、不動産売却で登記申請を行ってくれる司法書士のみです。

そのため「知り合いに司法書士がいて本人確認情報の提供を安くやってもらえるからそちらに頼もう」ということはできません。

権利証を紛失して、不動産売却時に資格者代理人による本人確認情報の提供を行う場合は、不動産会社から紹介される司法書士に依頼するのが一般的です。

またこの制度で本人確認を行う場合、メールなどで書類を提出し、電話で確認を行うだけでは本人の確認が取れたことになりません。

司法書士と直接面談して登記名義人本人であることを確認してもらう必要があります。

4-3.公証人による本人確認

公証人による本人確認とは、法律や権利に関する書類を作成する公証人に本人確認を行ってもらう制度のことです。

公証人とは、法律や権利に関する書類(公正証書)を作成したり、定款や私署証書に認証を与えたりする権限をもつ実質的な公務員のことです。

公証人は法務省が管轄する公証役場で業務を行っており、この公証役場に出向いて公証人に本人確認を行ってもらうことで、権利証なしに登記の手続きができるようになります。

4-3-1.公証人による本人確認の手順

公証人による本人確認の手順

公証人による本人確認を利用するには、まず売却で登記申請を依頼している司法書士に委任状を作成してもらいましょう。

その後予約を取って委任状と必要書類を持って公証役場へ行き、公証人の目の前で委任状へ署名・捺印し、公証人に認証文をつけてもらいます。

公証人に認証文をつけてもらうことで本人確認がされたことになり、登記申請時にその委任状を一緒に提出することで、権利証なしで名義変更が可能となります。

4-3-2.必要なもの

公証人による本人確認で必要なものは以下の通りです。

  • 委任状
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
  • 印鑑証明書
  • 実印

など

この制度でどんな書類が必要となるかは登記の状況などにより異なるため、上記はあくまで参考です。

何が必要となるかは登記申請を担当する司法書士に教えてもらい、準備してから公証役場へ向かいましょう。

4-3-3.費用

公証人による本人確認では、公証人へ手数料を支払う必要があります。

手数料は地方によって差がありますが、およそ3,500円程度です。

また司法書士に作成してもらう委任状は、そもそも不動産売買の登記申請で必要となる書類です。

売買における司法書士への報酬は、所有権移転登記については買主負担、抵当権抹消登記は売主負担となります。

5.不動産売買では資格者代理人による本人確認情報の提供が一般的

上記で紹介した3つのうちいずれかの本人確認方法を行えば、権利証を紛失しても不動産の売却が可能です。

事前通知は無料、公証人による本人確認は数千円で行えるため、どちらかの方法を使おうと考えるかもしれません。

しかし不動産売買ではほとんどの場合、資格者代理人による本人確認情報の提供が使われます。

公証人による本人確認は、予約をとってわざわざ公証役場まで行くのに手間と時間がかかるため、利用されることはほとんどありません。

また事前通知も不動産売買には不向きと言えます。

不動産売買では基本的に、売主は不動産の所有権と引き換えに代金を受け取り、買主は代金と引き換えに不動産の所有権を登記により移転してもらいます。

しかし事前通知の場合、登記申請のあとに売主が通知の書面を返送しない限り、所有権は買主に移りません。

もし売主が故意に書面を返送しなかった場合、登記申請は無効となります。

すると買主は代金を支払ったにもかかわらず、登記が完了せず所有権が移らないという事態に陥ってしまうわけです。

売主と買主が親族や親しい間柄なら、買主が事前通知の利用を許可することもあり得ます。

しかし不動産の売買では売主と買主が他人同士であることがほとんどのため、事前通知の利用を買主に認めてもらえない場合が大半です。

これらのことから、権利証を紛失した場合、不動産売買では資格者代理人による本人確認情報の提供が行われることが一般的です。

6.実印もしくは印鑑登録証(印鑑登録カード)を紛失すると不動産売却ができないので注意

権利証を紛失してしまった場合は、別の本人確認方法を取れば不動産売却は可能です。

しかし、もし権利証と一緒に実印もしくは印鑑登録証(印鑑登録カード)まで紛失してしまった場合は、登記が行えず不動産の売却ができなくなってしまいます。

実印と印鑑登録証は権利証と一緒に保管されることが多く、まとめて紛失してしまう事例も少なくありません。

もし権利証と実印もしくは印鑑登録証、または3つ全てを紛失してしまった場合は、以下の手順で新たに実印を登録して印鑑登録証を取得しましょう。

実印もしくは印鑑登録証(印鑑登録カード)を紛失すると不動産売却ができないので注意

まずは住んでいる市区町村の役所に行き、印鑑登録亡失届(印鑑登録証を紛失した場合)もしくは印鑑登録廃止届(実印を紛失した場合)を提出します。

これらを提出した後、そのまま役所で新たに実印を登録し、印鑑登録証を交付してもらいます。

実印の登録については市区町村によって規定や必要な書類が異なる場合があるため、役所に行く前に該当する市区町村のホームページを確認しておきましょう。

実印を登録して印鑑登録証を取得すれば、売却の手続きを引き続き進められます。

7.まとめ

不動産の権利証を紛失してしまった場合、再交付はできませんが他の方法で本人確認を行えば、不動産の売却は可能です。

代替の本人確認方法には

  • 事前通知
  • 資格者代理人による本人確認情報の提供
  • 公証人による本人確認

の3種類がありますが、不動産売買の場合は資格者代理人による本人確認情報の提供を行うのが一般的です。

しかし、もし権利証と一緒に実印や印鑑登録証まで紛失していると、不動産の売却ができなくなってしまいます。

その場合は新たに実印を登録して印鑑登録証を取得交付することで、売却の手続きが進められます。

以上のことを知っておくと、権利証を紛失したときにどのように行動すればいいのかがわかり、売却の手続きをスムーズに進められるようになります。

ぜひ参考にしてください。

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  • スムナラ編集部の編集長。常に物件購入者の方の役立つ情報をお届けできるよう日々努力している。

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