「相続登記ってそもそもどんなもの?」
「相続登記って絶対にやらなくちゃいけないの?」
「相続登記に期限はある? 具体的な手続きってどうすればいいの?」
など、あなたは今、相続登記に関して色々な疑問を持っていませんか?
相続登記とは不動産の所有者が亡くなった際に、相続人へ名義変更を行う手続きのことを指します。
相続が発生した際には色々な手続きをしなければなりませんが、特に相続登記については、「そもそも絶対に行わないといけないの?」「いつまでに行うべきなの?」など、戸惑う人も多いかもしれません。
しかし、相続登記を行わないで放置しておくと将来的に大きなデメリットが生じるため、なるべく早く手続きに着手するに越したことはないでしょう。
本記事では、
- 相続登記における基礎知識
- 相続登記の必要性
- 相続登記の手続きを行う際のポイント
- 相続登記の手続きの具体的な流れ
- 相続登記の費用
について、相続登記の基礎知識から具体的な申請方法まで詳しく解説していきます。
「知らなかったから後々不動産絡みで争いごとに発展した」「知らなかったから過料の対象になった」といったことが起こらないよう、本記事を確認してくださいね。
1.相続登記における基礎知識
相続登記の必要性や具体的な申請方法の解説に入る前に、「相続登記とは何か?」「誰がすべきか?」「相続登記はいつまでに行うべきか?」など、相続登記の基礎的な知識について押さえておきましょう。
すでに理解しているという人は、本章を飛ばし、「2.相続登記の必要性」からご確認くださいね。
1-1.相続登記とは、不動産の名義変更手続きのこと
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった際に行う、不動産の名義変更手続きのことです。
具体的には、不動産の名義を「亡くなった方・被相続人A」から「相続人B」へ変更するため、法務局に申請書や必要書類を提出します。
手続きは相続人が自分で行うことも可能ですが、多くの人は司法書士などの専門家に依頼しています。
1-2.相続登記の期限
相続登記は、2024年3月末までの現行制度では特に期限がありません。
相続が発生した際は、不動産の相続以外にも多くの手続きを行わなければならないこともあり、「相続登記はいつまでにやらなくちゃいけないんだろう?」と不安を抱えてしまう人も多いかもしれません。
しかし、相続登記の期限は特に設定されていないため、焦る必要はなく、各種相続手続きが落ち着いてから不動産の名義変更手続きを行う形でも大丈夫でしょう。
ただ、不動産を売却したい場合には、不動産の名義を亡くなった方から相続人に変更した後でなければ手続きを進められないので、早めに相続登記に取り掛かった方がいいです。
また、何年も相続登記をせずに放置すると、後々の手続きが複雑になったり、2024年からの新しい制度では所有権の取得をしたことを知った日から3年以内という期限が設けられ、登記をしないと罰則が課される可能性があるなど、不利益を被る可能性が高いことも押さえておきましょう。
これら相続登記の必要性については、次章で詳しく解説していきます。
2.相続登記の必要性
「相続登記の手続きが面倒くさい」「やらなくていいならやりたくない」という人もいるかもしれませんが、下記の理由から、相続登記の手続きを行うことは必須と言えます。
- 不動産を処分するためには相続登記が必要
- 相続登記をしないと後々手続きが複雑になる
- 2024年から相続登記を忘れると罰則が課される可能性がある
詳しく解説していきます。
2-1.不動産を処分するためには相続登記が必要
まず、不動産を処分する予定があるのであれば、相続登記が必要になります。
相続登記をしていない場合、不動産の所有権が亡くなった方という状況になっているので、亡くなった方から直接「買取人C」へ所有権を移転することは、当然ながらできないからです。
相続登記手続きを行い、相続人への名義変更が完了してから買取人への所有権移転登記を行うというステップが必須になります。
せっかく不動産を買いたいという人が現れたのに相続登記をしておらず、各種確認に時間がかかったせいで売買のチャンスを逃してしまうということもあるでしょう。
不動産売買のチャンスを逃さないためにも、なるべく早く相続登記をしておくことをおすすめします。
2-2.相続登記をしないと後々手続きが複雑になる
相続登記の手続きを早めに行わないと、後々手続きが複雑になることがあります。
しばらく相続登記の手続きを放置していたために孫や遠い親戚が相続人になってしまったり、相続人間で後々争いが生じたりするなど、長い期間放置すればするほど手続きは大変になる傾向があります。
例えば、相続が発生した時には「配偶者と子供A、子供B」のみが相続人だったのに、手続きを放置している間に子供A、子供Bが亡くなり、「子供A、子供Bのそれぞれの配偶者CDとそれぞれの子供EFGHI」が相続人になって、相続人の数が倍以上に増えるなどということは、よくあることです。
このように、相続登記を放置することで、誰が相続人なのかが分かりにくくなったり、相続人が増えてトラブルにつながりやすくなったりするなど、リスクが生じることが多いのです。
これらのことから、なるべく早く相続登記の手続きを済ませてしまった方が、後々の手続きの煩雑さやトラブルを避けられるでしょう。
2-3.2024年から相続登記を忘れると罰則が課されたりする
相続登記を放置することで、今後、罰則が課されるようになる予定です。
具体的には、相続の開始と不動産の所有権取得について知った日から3年以内に相続登記を行わなければ、10万円以下の過料を払わなければならないというものです。
所有者が不明な土地が急増していることを問題視した政府が立てた対策として、2024年4月1日から施行されます。
これは、改正法施行後に発生した相続だけでなく、改正法施行前に発生した相続も対象になります。
以上のことから、相続登記を放置していると、いざという時に不動産が処分出来なくなったり、手続きが複雑になったり、罰則が課されたりするなど、多くのデメリットがあるため、なるべく早く手続きを行うことをおすすめします。
3.相続登記の手続きを進める前に押さえておくべき3つのポイント
「実際、相続登記の手続きってどう進めていけばいいの?」と悩んでいる人に向けて、まずは、相続登記の手続きを進める前に押さえておくべき点について解説していきます。
- 法務局へ申請が必要
- 相続の原因を確認しておく
- 相続登記に必要な書類を揃えるのに時間がかかると覚えておく
上記のポイントを押さえておくと、具体的な申請手続きの流れを理解しやすくなるので、必ず確認しておきましょう。
なお、相続登記自体は「6.手続きが複雑になる場合には専門家へ依頼することを検討しよう」で解説する通り、司法書士に依頼することも可能なので、自分では手に負えないという人は専門家へ依頼することも検討してみてくださいね。
3-1.法務局へ申請が必要
まず、「相続登記を行うためには、そもそもどこに何を提出すればいいの?」という点についてですが、相続登記を行うためには、所有権移転登記申請書と戸籍謄本などの各種書類を法務局へ提出することになります。
また、所有権移転登記申請書には、国への税金である登録免許税分の収入印紙を貼付することが必要です。
相続登記の詳しい手続き方法については、「4.相続登記を行う際の具体的な手続きの流れを解説」で紹介していますが、作成した書類は相続する不動産の所在地を管轄する法務局に提出することになります。
具体的な申請書の様式や必要書類は相続の原因などによって異なりますが、一般的には下記のような書類をまとめて提出する形になります。
【必ず必要な書類】
- 所有権移転登記申請書
- 被相続人の住民票(除票)の写し
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人(不動産を相続する人)の住民票の写し
- 固定資産評価証明書
【場合によって必要な書類】
- 被相続人の戸籍の附票の除票(除附票)の写し
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺言書
3-2.相続の原因を確認しておく
相続登記の手続きに入る前に、相続の原因を確認しておきましょう。なぜなら、相続の原因によって手続き方法や必要書類が変わるからです。
主な相続の原因は下記の3つになります。
- 遺産分割協議
遺産分割協議を原因とする相続は、相続人全員での話し合いで、相続する人を決めることを指します。
例えば、被相続人の妻と子供が相続人に該当する場合に、妻と子供の話し合いで、不動産を単独で子供に相続させるような場合があげられます。
この場合、遺産分割協議がなされたことを証明するため、遺産分割協議書を提出する必要があります。
さらに、遺産分割協議書には相続人全員の署名と押印が必須で、別途、印鑑証明書を提出しなければなりません。
- 遺言書
被相続人の遺言書を原因として、相続が発生するパターンもあるでしょう。
遺言書が存在していれば、遺言書の通りに相続登記を行うのが原則です。
遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言が存在しますが、自筆証書遺言の場合には、家庭裁判所での検認手続きが必要なので注意してください。
ただ、遺言書があったとしても、相続人全員による遺産分割協議で全員の合意が取れれば、別の相続人を選ぶことも可能です。
- 法定相続
法定相続分どおりに、相続を行う場合もあります。
法定相続とは、民法に規定された通りの割合に従って相続を行うことです。遺言書が存在せず、遺産分割協議にて意見がまとまらなかった場合に、最後に選択されることが多いです。
例えば、被相続人の妻と子供のみが相続人であった場合、法定相続分は二分の一ずつと決まっているため、不動産を二分の一ずつ共有で相続する形になります。
法定相続の例としては、下記を参考にしてみてください。
- 子供がいる場合
配偶者1/2、子供1/2
- 子供がいない場合
配偶者2/3、直系尊属(父母や祖父母)1/3
- 子供も直系尊属(父母や祖父母)もいない場合
配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
法定相続の場合、多くは共有で不動産を所有することになります。
ただ、共有の場合には、不動産を売却する際などに全員の同意が必要だったり、次の相続が複雑になったりするなどデメリットが多いです。
手続き面や不動産の管理という点を考えると、法定相続よりも遺産分割協議によって、1人の相続人が不動産を相続するのが好ましいでしょう。
3-3.相続登記に必要な書類を揃えるのに時間がかかると覚えておく
相続登記の手続きでは、必要な書類を揃えるのが大変であるという点を事前に押さえておきましょう。
例えば、父が亡くなり、子供Aが不動産を相続するというシンプルな相続であっても、相続人を確定するために、父親の出生から亡くなるまでの戸籍謄本が必要になります。
戸籍は、法改正や転居、結婚など色々な理由によって新しく作られるので、通常は複数の戸籍謄本を集めなくてはなりません。
現在の住所が東京だとして、北海道や大阪など各地を転々としていた場合には、昔の本籍地の役所に問い合わせをして戸籍謄本を取り寄せる必要があるでしょう。
また、叔父叔母の所有していた不動産を引き継いだり、祖父から孫へ不動産を引き継いだりするなど特殊な場合には、必要書類が膨大な量になることが予測されます。
逆に言うと、すでに戸籍謄本など全ての書類が揃っているのであれば、相続登記の手続きはそんなに大変ではありません。
すでに手元に必要書類があるかないかで、司法書士などの専門家に手続きを依頼するか、自分で手続きを行うかを判断しても良いでしょう。
4.相続登記を行う際の具体的な手続きの流れを解説
「相続登記の手続きを自分でやってみようかな?」と考えている人に向けて、相続登記を行う際の具体的な手続きの流れを解説します。
STEP1:相続不動産の特定
STEP2:戸籍や住民票など必要書類を集める
STEP3:遺産分割協議書の作成
STEP4:所有権移転登記申請書を作成する
STEP5:収入印紙を添付
STEP6:所有権移転登記申請書と必要書類を法務局へ提出
4-1.相続不動産の特定
相続登記の最初のステップとして、相続不動産の特定を行いましょう。
「相続する不動産のことは知っている」と思った人も多いかもしれませんが、ここでは、他に相続するべき不動産がないかや、相続不動産の情報の確認をしておく必要があります。
被相続人が所有していた不動産の中で相続手続きを怠っていたものが後々見つかると、トラブルにつながりかねません。
そのため、固定資産税納税通知書や不動産登記事項証明書(登記簿謄本)などから被相続人所有の不動産を全て特定し、情報を確認していきましょう。
注意点としては、建物と土地は別の不動産として登記されていることと、ひとつの土地に見えても数筆に分かれていることもあるという点です。
不動産ごとに登記簿に記載されるため、上記の場合には、複数の登記簿謄本を取り寄せる必要があります。
そして、登記簿謄本を見れば、不動産の状況、例えば「単独所有であること」や「抵当権が抹消されていること」などが分かります。
共有不動産であったり、抵当権が設定されていたりすると特殊な手続きが必要になるため、不動産情報を必ず確認しておきましょう。
【相続不動産を特定するために参考にすべきもの】
- 固定資産税納税通知書
- 不動産登記事項証明書(登記簿謄本)
- 登記済証(権利証)
- 名寄帳
4-2.戸籍謄本や住民票の写しなどの必要書類を集める
相続不動産を特定したら、次に、戸籍謄本や住民票の写しなど、相続登記の手続きに必要な書類を集めていきましょう。
一般的には下記の書類が必要になります。
- 被相続人の住民票(除票)
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍
- 被相続人の戸籍の除票(場合によって)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人(不動産を相続する人)の住民票
- 固定資産評価証明書
一番最初に、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を集めましょう。これを集めることで、相続人を特定することができます。
非嫡出子や養子など他の相続人が存在することを家族が知らないまま、次のステップの遺産分割協議などを行っても全て無効になるため、しっかり確認しておく必要があります。
戸籍謄本を集めるのは手間がかかることが多く、法制度や本籍地が変わるごとに新しい戸籍が作られているので、最新の戸籍から遡っていく形で、全ての戸籍謄本を取り寄せていきます。
まず最新の戸籍謄本を取り寄せ、以前の本籍地を確認し、以前の本籍地の役所で戸籍謄本を取得する、ということを繰り返していきましょう。
また、ここで被相続人の戸籍の附票(または除附票)の写しも取得しておくことをおすすめします。
戸籍の附票の写しとは、被相続人のこれまでの住所が記載してある証明書のことで、これは、登記簿謄本上の被相続人と戸籍謄本上の被相続人が同一人物であることを確かめるために必要な書類になります。
その他、相続人全員の戸籍謄本などは、それぞれ手分けして集めていくと良いでしょう。
4-3.遺産分割協議書の作成
相続人が特定できたら、相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議とは、被相続人の財産をどのように分割するかを相続人全員で話し合うことです。
例えば、被相続人の配偶者と子供Aのみが相続人で、子供Aが1人で不動産を相続することになった場合、配偶者と子供Aで遺産分割協議を行ったことを証明する書類を提出する必要があります。
相続登記の手続きを行う際に、子供Aが相続権のある人に黙って勝手に相続したのではないことを証明しなければならないのです。
遺産分割協議書には下記のような項目を記載し、相続人全員で署名・押印をします。また、印鑑が本人のものであることを証明するため、相続人全員の印鑑証明書を添付する必要があります。
【遺産分割協議書の項目】
- 被相続人の氏名、本籍、死亡日など
- 相続の内容
- 相続人全員の署名と実印での押印
- 不動産情報
遺産分割協議書のフォーマットについては、法務局のホームページの「20)所有権移転登記申請書(相続・遺産分割)」の記載例でも確認できるので、ぜひ参考にしてみてください。
もし、遺言書を残していた場合には、基本的には遺言書に従うべきであるため、遺産分割協議書の代わりに遺言書を添付することになります。
ただ、たとえ遺言書があっても、相続人間で合意があれば、遺産分割協議で不動産を相続する人物を決定することも可能です。
4-4.所有権移転登記申請書を作成する
必要書類が出揃ったところで、登記手続きを行うための申請書である「所有権移転登記申請書」を作成していきましょう。
用紙は法務局のホームページからダウンロードできますし、近くの法務局でもらうことも可能です。
法務局のホームページでは下記のように相続の原因ごとにフォーマットを用意しているので、該当のフォーマットをダウンロードし、記載例を参考にしながら作成していきましょう。
- 遺言書による相続登記
17)所有権移転登記申請書(相続・公正証書遺言)
18)所有権移転登記申請書(相続・自筆証書遺言)
- 法定相続による相続登記
19)所有権移転登記申請書(相続・法定相続)
- 遺産分割協議による相続登記
20)所有権移転登記申請書(相続・遺産分割)
21)所有権移転登記申請書(相続・遺産分割)(数次相続)
フォーマットに従い、記載例を参考に項目を埋めていけば、特段難しいところはありません。
分からないことがあれば、近くの法務局の窓口に出向いて相談するか、もしくは電話やメールにて問い合わせをしてみましょう。
【参考】
- 不動産登記の申請書様式について|法務局
- 申請又は申請書作成の相談(管轄の法務局へ)
4-5.収入印紙を貼付
所有権移転登記申請書の記載が終わり、必要書類を添付したら、最後に登録免許税分の収入印紙を申請書に貼り付けましょう。
登録免許税とは、登記する際に国に納める税金のことで、相続登記の場合の金額は「固定資産税評価額×0.4%」で算出されます。
固定資産税評価額は固定資産税の課税明細書で確認することができますが、できれば「固定資産評価証明書」を取得した方が確実な証明になるのでおすすめです。
「固定資産評価証明書」は、不動産の所在地の市区町村役場で取得できます。なお、収入印紙は郵便局などで購入可能です。
登録免許税を納付する際の注意点としては、下記の通りです。
- 最新の評価額で計算する
- 課税価格は1,000円未満切り捨て
- 登録免許税は100円未満切り捨て
- 収入印紙に消印はしない
4-6.所有権移転登記申請書と必要書類を法務局へ提出
最後に、所有権移転登記申請書と必要書類を法務局に提出して、手続きは終了です。
不動産所在地の管轄法務局に提出することになりますが、管轄法務局が分からない場合には、法務局「管轄のご案内」で調べましょう。
提出方法としては、窓口に持参、もしくは郵送で提出する形になります。
オンラインでの提出も可能ですが、ソフトのインストールや電子証明書の取得などが必要になるので、少し難しく感じる人もいるかもしれません。
オンラインでの提出について、詳しくは、法務省のホームページに書かれているので、検討している人は確認してみてください。
5.相続登記の費用はいくらかかるのか?
「相続登記は手続きにいくらかかるの?」「司法書士に依頼したら費用はいくらになる?」など、疑問に思っている人も多いでしょう。そこで、相続登記を行う際にかかる下記費用について詳しく解説していきます。
- 相続登記には登録免許税が必要
- 書類取得にかかる費用
- 専門家へ依頼する場合には5万円から10万円程度の報酬が必要
5-1.相続登記には登録免許税が必要
上述した通り、相続登記には登録免許税が必要となり、これは、相続登記に伴って発生する国への税金のことです。
登録免許税を計算した上で、金額分の収入印紙を法務局へ提出する申請書に貼付して納付する形が一般的です。
相続登記の場合の税額は、下記のように計算されます。
登録免許税=固定資産税評価額×0.4%
固定資産税評価額は「固定資産評価証明書」で確認することができ、例えば、不動産の評価額が1,000万円の場合には、4万円の登録免許税を納付することになります。不動産が複数ある場合には、全ての不動産の評価額を合算して計算します。
収入印紙は郵便局などで購入可能です。
登録免許税を納付する際には、下記の点に注意してくださいね。
- 最新の評価額で計算する
- 課税価格は1,000円未満切り捨て
- 登録免許税は100円未満切り捨て
- 収入印紙に消印はしない
5-2.書類取得にかかる費用
相続登記の際に必ずかかる費用として、書類取得のための費用もあげられます。
相続登記を行う場合には、戸籍謄本や住民票の写しなど、申請に必要な各種書類を準備しなければなりません。
主な書類を取得するためにかかる費用の目安は下記の通りです。
- 登記簿謄本(1通600円)
- 戸籍謄本(1通450円)
- 住民票の写し(1通300円)
- 印鑑証明書(1通300円)
- 固定資産評価証明書(1通300円)
※自治体によって異なることがあります。
人によって集める戸籍謄本や住民票の写しの枚数は変わりますが、一般的には、5,000円以内に収まることがほとんどでしょう。
また、住民票の写しや戸籍謄本などは、返却を求めることが可能なので、他の相続手続きにも使うことができます。
5-3.専門家へ依頼する場合には5万円から10万円程度の報酬が必要
相続登記を司法書士などに依頼する場合には、さらに費用がかかります。
前述した、登録免許税と各種証明書類の取得費用は、いわば実費になります。専門家に依頼する場合には、ここまで紹介した実費に加えて、5万円から10万円の費用がかかります。
遺産分割協議や戸籍収集まで依頼するのか、相続人が何人いるのか、どのような相続形態なのかによっても変わってくるので、あくまで目安の金額と捉えておきましょう。
6.手続きが複雑になる場合には専門家へ依頼することを検討しよう
相続登記の手続きが複雑になるようであれば、専門家へ依頼することをおすすめします。
上述した通り、司法書士などの専門家へ依頼する際には、実費と別に5万円から10万円の費用がかかるため、「もったいない」と感じる人も多いかもしれません。
もちろん、相続人が少なかったり、不動産に特殊な事情がなかったりするなど、複雑な手続きを要さない場合には、自分で手続きを行うことを検討しても良いでしょう。
ただ、下記のようなパターンの場合には、手続きが複雑になることが予想されるため、最初から専門家に相談した方が、後悔しない結果に落ち着くことが多いです。
- 兄弟や甥姪が相続人の場合
- 数次相続や代襲相続の場合
- 特殊な手続きを要する場合
- 相続人同士が不仲である場合
- 忙しくて手続きにかけられる時間がない場合
7.まとめ
本記事では、
- 相続登記における基礎知識
- 相続登記の必要性
- 相続登記の手続きを行う際のポイント
- 相続登記の手続きの具体的な流れ
- 相続登記の費用
について解説しました。
相続登記は、不動産の所有者が亡くなった際に行う、不動産の名義変更手続きのことで、現状の制度では特に期限はありません。ただ、下記の3つの理由により、なるべく早く手続きを行うことをおすすめします。
- 不動産を処分するためには相続登記が必要
- 相続登記をしないと後々手続きが複雑になる
- 2024年から相続登記を忘れると罰則が課される可能性がある
また、相続登記の手続きを進める前に押さえておくべき3つのポイントは下記の通りです。
- 法務局へ申請が必要
- 相続の原因を確認しておく
- 相続登記に必要な書類を揃えるのに時間がかかると覚えておく
相続登記を行うための手続きの流れは下記の通りです。
STEP1:相続不動産の特定
STEP2:戸籍や住民票など必要書類を集める
STEP3:遺産分割協議書の作成
STEP4:所有権移転登記申請書を作成する
STEP5:収入印紙を添付
STEP6:所有権移転登記申請書と必須書類を法務局へ提出
本記事を読むことで、相続登記について理解を深めていただけたなら幸いです。
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