中古マンションを購入する時、意外と負担になるのがリフォーム費用です。住宅ローン減税やリフォーム促進税制を活用すれば税負担を抑えながら理想の住まいづくりができます。ただし、制度によって対象となる工事や適用条件、必要書類、申請方法などが異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
こうした減税制度は種類も要件も複雑で、リフォーム会社や不動産会社によって知識や対応の差が大きいのも実情です。制度を正しく理解していない担当者もいるため、本来受けられるはずの減税を見逃してしまうことも考えられます。だからこそ、住宅ローンやリフォームなどさまざまな相談ができる会社を選ぶと良いでしょう。
本記事では、マンションのリフォーム・リノベーションで利用できる減税制度や、手続きの流れ、必要書類について解説します。減税制度の利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士
大学卒業後、金融機関、生命保険会社での勤務を経て、不動産賃貸会社で20年以上勤務している。また、ライターとしても活動しており、特に不動産・相続・法律(離婚関係)・債務整理に関するテーマを得意とする。不動産や相続分野での実務経験を活かし、専門性と一般の方にも分かりやすい情報提供を心がけている。
本記事の内容は2026年9月4日時点の情報に基づいており、不動産市場の状況や関連法規、税制などは将来変更される可能性があります。最新の情報については、公式の情報源をご確認ください。
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マンションリフォーム・リノベーションの減税制度

マンションのリフォームやリノベーションで利用できる、主な減税制度は次の3つです。
| 制度 | 対象税目 | 対象者 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 住宅ローン減税 | 所得税(控除しきれない場合は住民税の一部) | 住宅ローンを利用する人 | 年末のローン残高に応じて税額控除を受けられる |
| リフォーム促進税制(所得税) | 所得税 | 対象となるリフォームを行う人 | 工事内容に応じて所得税の控除を受けられる |
| リフォーム促進税制(固定資産税) | 固定資産税 | 対象となるリフォームを行う人 | 工事内容に応じて固定資産税の軽減を受けられる |
- 本記事では、令和8年度税制改正後の制度内容をもとに解説しています。適用時期によって要件が異なる場合があります。
住宅ローン減税
住宅ローン減税は、中古マンションの購入やリフォーム・リノベーションで住宅ローンを利用する時に、一定の要件を満たせば受けられる制度です。年末時点の住宅ローン残高をもとに、借入限度額を上限として0.7%が所得税から控除されます。所得税から控除しきれない場合は、住民税の一部からも控除されます。
リフォームやリノベーションを行う場合、借入限度額は2,000万円、控除期間は最大10年間です。
なお、令和8年度税制改正では住宅ローン減税の適用期限が5年間延長され、令和12年12月31日までに入居した場合が対象となりました。
主な要件は、以下のとおりです。
- 返済期間10年以上の住宅ローンを利用している
- 自己居住用の住宅である
- 増改築等後の床面積が原則40㎡以上である(合計所得金額が1,000万円を超える場合は、床面積50㎡以上が必要)
- 増改築等後6カ月以内に居住を開始する
リフォーム促進税制(所得税)
リフォーム促進税制(所得税)は、一定の要件を満たすリフォームを行う際に所得税の控除を受けられる制度です。住宅ローン減税とは異なり、自己資金でリフォームを行う場合や、返済期間10年未満の住宅ローンを利用する場合でも使用できます。
控除額は、国土交通省が定める「標準的な工事費用相当額」をもとに計算されます。実際に支払った工事費とは違うので注意が必要です。
対象となるリフォームは、以下の6種類です。
| 対象リフォーム | 主な工事例 | 限度額 | 最大控除額(その他の工事を含む) |
|---|---|---|---|
| 耐震リフォーム | 耐震補強工事 | 250万円 | 最大62.5万円 |
| バリアフリーリフォーム | 手すりの設置、段差解消、浴室・トイレの改修 | 200万円 | 最大60万円 |
| 省エネリフォーム | 窓の断熱改修(ガラス・サッシ交換、内窓の新設・交換)、床・壁・天井の断熱改修、高効率給湯器の設置 | 250万円(350万円) | 最大62.5万円(67.5万円) |
| 同居対応リフォーム | キッチン・浴室・トイレ・玄関の増設 | 250万円 | 最大62.5万円 |
| 長期優良住宅化リフォーム | 耐震・省エネ改修と耐久性向上改修 | 耐震または省エネ+耐久性向上:250万円(350万円) 耐震+省エネ+耐久性向上:500万円(600万円) | 最大62.5万円(67.5万円) 最大75万円(80万円) |
| 子育て対応リフォーム | 対面キッチンへの交換、防犯性向上、収納設備の増設など | 250万円 | 最大62.5万円 |
- ( )内は、省エネ改修工事とあわせて太陽光発電設備を設置する場合の限度額・最大控除額です。
工事限度額の範囲内で標準的な工事費用相当額の10%が控除されます。限度額を超える部分や、あわせて行うリフォームについても、一定の範囲で5%の控除を受けられます。
宮永利用には、対象となるリフォーム工事であることや、自己居住用の住宅であること、床面積や工事費などの要件を満たす必要があります。
リフォーム促進税制(固定資産税)
リフォーム促進税制(固定資産税)は、一定の要件を満たすリフォームやリノベーションを行った時に、工事完了翌年度分の固定資産税の減額措置を受けられる制度です。
対象となるリフォームは以下の4種類で、工事内容によって軽減割合が異なります。
| 対象リフォーム | 主な工事例 | 軽減割合 |
|---|---|---|
| 耐震リフォーム | 耐震補強工事 | 2分の1 |
| バリアフリーリフォーム | 手すりの設置、段差解消、浴室・トイレの改修 | 3分の1 |
| 省エネリフォーム | 内窓の設置、断熱改修、高効率給湯器の設置 | 3分の1 |
| 長期優良住宅化リフォーム | 耐震・省エネ改修と耐久性向上改修 | 3分の2 |



利用には、住宅の築年数・床面積・工事費などの要件を満たす必要があります。
参考:国土交通省:「リフォーム業者の方」
参考:国税庁:「マイホームを増改築等したとき」
参考:国税庁:「No.1211-4 増改築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
参考:国土交通省:「住宅ローン減税」
参考:国土交通省:「リフォーム促進税制(所得税・固定資産税)について」
減税制度を利用する際の流れ・必要書類


減税制度を利用する際の流れや必要書類は制度によって異なります。ここでは、住宅ローン減税・リフォーム促進税制(所得税)と、リフォーム促進税制(固定資産税)に分けて説明します。
住宅ローン減税・リフォーム促進税制(所得税)の場合
住宅ローン減税やリフォーム促進税制(所得税)は、いずれも所得税から控除を受ける制度です。利用には確定申告が必要となります
基本的な流れは、以下のとおりです。
- 利用する減税制度の適用要件を満たしているか確認する
- 確定申告に必要な書類を準備する
- 確定申告書を作成し、必要書類とともに所轄の税務署へ提出する



なお、増改築にかかる住宅ローン減税とリフォーム促進税制(所得税)は原則として併用できません。ただし、耐震改修については、要件を満たすことで住宅耐震改修特別控除と住宅ローン減税を併用できます。
住宅ローン減税
確定申告で必要となる主な書類は、以下のとおりです。
| 必要書類 | 入手先 |
|---|---|
| 確定申告書 | 国税庁サイト(e-Tax)・税務署 |
| (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 | 国税庁サイト(e-Tax)・税務署 |
| 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 | 金融機関 |
| 家屋の登記事項証明書 | 法務局 |
| 工事請負契約書の写し | 自身で保管 |
| 増改築等工事証明書 | 建築士、指定確認検査機関など |
| 補助金等の額を証明する書類(補助金等を受けている場合) | 市区町村など |
- 「調書方式」に対応した金融機関から借り入れている場合などは、一部の提出書類が異なります。
- 一定の増築・改築・大規模な修繕または模様替えでは、増改築等工事証明書に代えて、建築確認済証または検査済証の写しを提出できる場合があります。
- 登記事項証明書は、計算明細書に不動産番号を記載することで添付を省略できる場合があります。
- 給与所得者の源泉徴収票は、確定申告書への添付・提示は不要ですが、申告書の作成時に必要です。



給与所得者の場合、住宅ローン減税の適用を受ける最初の年は確定申告が必要ですが、2年目以降は必要書類を勤務先へ提出すれば、年末調整による控除を受けられます。
リフォーム促進税制(所得税)
確定申告で必要となる主な書類は、以下のとおりです。
| 必要書類 | 入手先 |
|---|---|
| 確定申告書 | 国税庁サイト(e-Tax)・税務署 |
| 住宅耐震改修特別控除額・住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書など | 国税庁サイト(e-Tax)・税務署 |
| 増改築等工事証明書 | 建築士、指定確認検査機関など |
| 工事完了後の家屋の登記事項証明書 | 法務局 |
| 工事請負契約書の写し | 自身で保管 |
| 補助金等の額を証明する書類(補助金等を受けている場合) | 市区町村など |
- 耐震リフォームでは、増改築等工事証明書に代えて住宅耐震改修証明書を提出することもできます。
- 登記事項証明書は、計算明細書に不動産番号を記載することで添付を省略できる場合があります。
- 給与所得者の源泉徴収票は、確定申告書への添付・提示は不要ですが、申告書の作成時に必要です。
リフォームの種類や適用条件によっては、追加書類が必要です。例えば、バリアフリーリフォームでは適用条件に応じて介護保険の被保険者証の写しなど、長期優良住宅化リフォームでは長期優良住宅認定通知書の写しを提出します。



通常の確定申告期間は、原則として翌年2月16日から3月15日までです。還付申告に該当する場合は、翌年1月1日から5年間申告できます。
リフォーム促進税制(固定資産税)の場合
リフォーム促進税制(固定資産税)は、固定資産税の減額措置を受けられる制度です。 利用するには、工事完了後にリフォームした住宅が所在する市区町村へ申告が必要になります。
基本的な流れは、以下のとおりです。
- リフォーム工事が固定資産税の減額措置の適用要件を満たしているか確認する
- 申告に必要な書類を準備する
- 工事完了から3カ月以内に、必要書類をリフォームした住宅が所在する市区町村へ提出する
申告で必要となる主な書類は、以下のとおりです。
| 必要書類 | 入手先 |
|---|---|
| 固定資産税減額申告書 | リフォームした住宅が所在する市区町村 |
| 工事内容を確認できる書類・領収書など | リフォーム事業者など |
| 補助金等の額を証明する書類(補助金等を受けている場合) | 補助金等の実施機関など |
リフォームの種類によっては、追加書類が必要です。耐震リフォームの場合は、増改築等工事証明書・住宅耐震改修証明書・リフォーム後に交付された住宅性能評価書またはその写しのいずれかを提出します。
また、バリアフリーリフォームでは、納税義務者の住民票の写しや、適用対象者が居住していることを確認できる介護保険の被保険者証の写しなどが必要です。長期優良住宅化リフォームでは、長期優良住宅認定通知書の写しを提出します。



必要書類や申告方法はリフォームの種類や自治体によって異なる場合があります。申告前に市区町村へ確認しておきましょう。
参考:国税庁:「マイホームを増改築等したとき」
参考:国税庁:「No.1211-4 増改築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
参考:国土交通省:「住宅ローン減税」
参考:国土交通省:「リフォーム促進税制(所得税・固定資産税)について」
参考:国税庁:「No.1222 耐震改修工事をした場合(住宅耐震改修特別控除)」
参考:国税庁:「No.2030 還付申告」
減税制度を活用する際のポイント


マンションリフォームの減税制度を活用する際は、次の3つのポイントを押さえておきましょう。
- 対象となる工事や適用条件を確認する
- 申請期限を確認し、余裕を持って準備する
- マンションリフォームや減税制度に詳しい会社へ相談する
対象となる工事や適用条件を確認する
マンションリフォーム・リノベーションの減税制度は、それぞれ対象となる工事や要件が異なります。リフォーム前には、対象となる工事や適用条件を確認しておきましょう。



制度によっては補助金と併用できる場合もあるため、あわせて確認すると良いでしょう。
申告期限を確認し余裕を持って準備する
減税制度によって申告期限は異なります。書類の準備に時間がかかることもあり、期限に間に合わなければ減税を受けられなくなるため注意が必要です。
例えば、固定資産税の減額措置は、工事完了後3カ月以内に申告する必要がありますが、増改築等工事証明書などの書類は、取得までに時間がかかる場合もあります。



工事完了後に慌てないよう、必要書類の種類や入手方法も早めに確認しておきましょう。
マンションリフォームや減税制度に詳しい会社へ相談する
マンションリフォームで減税制度を活用する場合は、会社選びも大切です。
マンションリフォームでは、他の物件にはない独自の制約や手続きがあります。
例えば、管理規約によって工事内容に制限が設けられていたり、減税制度の利用に増改築等工事証明書などの書類が必要だったりと日常的に業務を行っていないとわかりにくい部分も多いものです。



減税制度やマンションのリフォームに詳しい会社へ相談すれば、対象となる工事や必要書類について確認しながら、リフォームを進めやすくなるでしょう。
参考:国税庁「マイホームを増改築等したとき」
参考:国税庁「No.1211-4 増改築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除」)
参考:国土交通省「住宅ローン減税」
参考:国土交通省「リフォーム促進税制(所得税・固定資産税)について」
まとめ


マンションのリフォーム・リノベーションでは、住宅ローン減税やリフォーム促進税制を活用すると、税負担を軽減できる可能性があります。減税制度を利用する際には、対象となる工事や適用条件を確認し、必要書類や申告期限を把握して準備する必要があります。
ただし、これらの制度は工事の種類や住宅の条件によって適用可否が細かく分かれます。担当者の知識しだいで、使える制度が使えないなど、差が出ることもあります。
中古マンションを購入してリフォームを検討している場合はもちろん、これから物件選びをする場合にも、リフォームや住宅ローン、減税制度まで相談できる不動産会社を選ぶことが大切です。
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