中古マンション購入で親から資金援助を受けると贈与税はかかる?非課税制度や注意点を解説

中古マンションの購入にあたり、親や祖父母から資金援助を受けるケースは少なくありません。しかし、資金援助は原則として「贈与」に該当し、一定額を超えると贈与税の課税対象となるため注意が必要です。

とはいえ、贈与に関しては税負担を軽減する制度が設けられており、適切に利用すれば贈与税を抑えることが可能です。

代表的な制度は、「①暦年課税」「②相続時精算課税」「③直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度」 の3つです。それぞれ制度内容や注意点が異なるため、違いを理解して活用することが大切です。

執筆者プロフィール
山﨑 裕佳子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士/CFP認定者/証券外務員保有

通関士として通関業務、メーカーにて海外営業事務、銀行にてテラーなど経験し、FPの道へ。2022年「FP事務所MIRAI」設立。「家計の見直しでMIRAIを変える」をモットーに、家計相談、金融記事執筆、書籍監修など、幅広く活動している。

本記事の内容は2026年8月20日時点の情報に基づいており、不動産市場の状況や関連法規、税制などは将来変更される可能性があります。最新の情報については、公式の情報源をご確認ください。

目次

暦年課税制度

暦年課税は、最も一般的な贈与税の制度です。

毎年1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与額の合計から、基礎控除110万円を差し引いた残額に対して贈与税が課税されます。

例えば、ある年に住宅購入資金として親や祖父母などから500万円の援助を受けた場合、110万円を超える390万円について贈与税が課税されます。

この制度のメリットは、毎年110万円までであれば非課税で贈与できることです。贈与額が110万円を超えた年は税務署へ贈与税の申告が必要ですが、非課税範囲内であれば税務署への申告は不要です。そのため、特に長期間にわたり少額ずつ資産を移転する場合には活用しやすい方法といえます。

また、110万円は受贈者側(もらう側)の合計金額です。例えば、対象期間の間に父から100万円、祖母から100万円の合計200万円をもらったら、90万円について申告が必要です。

一方、住宅取得では一度に多額の資金が必要になるため、暦年課税だけでは十分な節税効果が得られないケースもあるでしょう。

暦年課税の注意点

  • 年間110万円を超えると贈与税の申告が必要となる。(110万円以下なら申告不要)
  • 「毎年100万円ずつ10年間贈与する」といった契約をあらかじめ結んでいる場合は、「定期贈与」と判断され、一括贈与とみなされる可能性があるため注意が必要。時期や金額を変えて贈与を行うなどの対策が有効。
  • 相続開始前一定期間内の贈与については、相続税の計算上、相続財産に持ち戻して加算されるため、相続対策として利用する際には注意。(加算期間は下表のとおり)
相続開始日(被相続人が死亡した日)加算対象期間
~令和8年12月31日相続開始前3年以内
~令和9年1月1日~令和12年12月31日令和6年1月1日から死亡の日までの間
令和13年1月1日~相続開始前7年以内

出所:No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)|国税庁 筆者作成 

  • 暦年贈与については、現金でのやり取りではなく銀行振込にするなど記録を残しておくことが大切。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度は、一定額まで贈与税を抑えつつ、最大2,500万円までの資産移転に贈与税が猶予される制度です。一度にまとまった資金を移動できるため、住宅資金などある程度まとまった資金が必要な際には暦年課税よりも使い勝手が良いといえます。

原則として60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与が対象となりますが、住宅取得等資金の贈与については、一定の要件を満たせば贈与者の年齢が60歳未満であっても適用可能です。

2,500万円の贈与は贈与者ごとに選択可能で、かつ贈与は一括単年である必要はなく、複数年かけて行うこともできます。

2,500万円の特別控除内であれば贈与税は発生しませんが、この制度で贈与した財産は、贈与者が亡くなった際に相続財産へ持ち戻して相続税を計算します。ただし、2,500万円とは別枠の年間110万円の基礎控除枠内の贈与は相続財産に持ち戻す必要はありません。(相続税の対象外)

相続時精算課税制度は、「贈与税を免除する制度」ではなく、「相続時まで課税を繰り延べる制度」と捉えるのが適切ですが、住宅取得などでまとまった資金の贈与を受ける際には節税効果のある制度です。

なお、累計2,500万円を超える額の贈与には一律20%が課税されますが、相続税の計算の際に相続税との相殺や還付を受けられます。

相続時精算課税の注意点

  • 相続時精算課税制度を利用する場合は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要がある。
  • 贈与者ごと(父母、祖父母)ごとに選択(暦年贈与 or 相続時精算課税)できるが、一旦、相続時精算課税制度を選択すると、その贈与者からの贈与については暦年課税へ戻ることができない。
  • 土地や株式など現金以外の資産の贈与の場合、相続税へ加算される価額は贈与時の評価額。

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度

住宅資金の贈与に特化した非課税制度です。

父母や祖父母など直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合、一定額まで贈与税が非課税となります。

  • 省エネ等住宅:1,000万円まで
  • 一般住宅:500万円まで

この制度は、暦年課税・相続時精算課税のいずれとも組み合わせることが可能です。

例えば、省エネ住宅等を取得し、相続時精算課税を利用する場合には、

  • 住宅取得資金非課税枠:1,000万円
  • 相続時精算課税特別控除:2,500万円(*)
  • 年間基礎控除110万円

を組み合わせることができるため、最大3,660万円の大きな資金援助に対応可能です。

(*)相続時精算課税特別控除は相続税申告の際に加算する必要あり

適用要件

制度を利用するには、次のような要件があります。

  • 贈与者が父母・祖父母などの直系尊属であること
  • 受贈者(贈与を受ける人)が18歳以上であること
  • 所得要件を満たすこと(受贈者の合計所得金額は2,000万円以下)
  • 住宅の床面積など一定要件を満たすこと(50m2以上、ただし、合計所得金額が1,000万円以下の場合は40m2以上適用)
  • 贈与を受けた翌年3月15日までに住宅を取得し居住すること
  • 贈与税の申告書を期限内に提出すること

なお、贈与税がゼロになる場合でも、申告をしなければ特例は適用されないため注意が必要です。

住宅取得資金贈与の非課税制度の注意点

  • 現行制度では令和8年12月31日までの贈与が対象。
  • 住宅性能によって非課税限度額が異なるため、省エネ住宅として認定できる証明書類を事前に確認しておく必要あり。

どの制度を活用する?制度選択のポイント

住宅取得資金の援助では、「どの制度が最も有利か」は人により異なります。

多くのケースでは、住宅取得等資金の非課税制度を活用したうえで、必要に応じて暦年課税または相続時精算課税を組み合わせる方法が税負担を軽減しやすいでしょう。

手間がかからないのは暦年課税ですが、相続税の加算期間に注意が必要です。一方、相続時精算課税制度を使えば、毎年110万円の非課税枠は相続税に加算する必要がないという点では有利ですが、税務署への申告は必須かつ、暦年課税に戻ることは出来ない点に注意が必要です。

制度ごとに適用要件や申告手続きが異なるため、自分にとって何が有利かを精査したうえで選択するようにしましょう。

住宅取得は人生最大級の買い物であり、資金援助を受ける際には、住宅ローンだけでなく贈与税・相続税まで含めた総合的な資金計画を立てることが重要です。

参考資料

※本稿は2026年(令和8年)時点の法令・公表資料に基づいています。税制は改正される可能性があるため、制度利用にあたっては最新の法令・国税庁資料をご確認ください。

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この記事の制作体制
  • FP事務所MIRAI 代表。通関士として通関業務、メーカーにて海外営業事務、銀行にてテラーなど経験し、FPの道へ。2022年「FP事務所MIRAI」設立。「家計の見直しでMIRAIを変える」をモットーに、家計相談、金融記事執筆、書籍監修など、幅広く活動している。

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