「不動産のAI査定って、どれくらい正確なんだろう」
「所有不動産の売却価格を調べてみたいけれど、AI査定の信頼性ははどれくらいあるのだろう」
不動産価格の査定と言えば、従来は不動産会社の担当者が経験を基に労力をかけて行うものでした。それだけ属人的要素の多い作業と言えるのですが、AIによる査定となると、人的労力をかけた査定とどのように異なるのか、正確さや情報の信頼性など、気になるところですね。
実はAIによる不動産査定は、現段階でも十分に活用できる部分と、今後の展開に期待したい部分の両方があります。
具体的には以下のように、現段階で活用できる情報と、今後の発展を待つべき情報とに分かれているのです。
- 現段階で活用できる情報:都心部のマンション価格
- 今後の発展を待つべき情報:戸建て住宅、土地、都心部以外のマンション価格
そこでこの記事では、AIによる不動産査定について、その精度や活用方法について具体的に解説していきます。
記事の最後には、所有不動産の売却価格を手軽に知りたい方のため、AI査定と同じく自宅で気軽に売却価格を調べる方法についてもご紹介しています。
この記事を読むことで、不動産のAI査定について理解し、査定結果を上手に活用する方法が分かります。
1.不動産のAI査定とは
不動産のAI査定とは、不動産会社または不動産のAI査定を提供する会社がそれぞれのデータベースを基に設計したもので、売りたい物件について以下の基本情報を入力するだけで、人工知能(AI)によってその不動産の価格を瞬時に査定してくれるものです。
- 所在地
- 種類または用途
- 面積
- 構造
- 建築年
- 居住状態
AIが導入される前は、不動産価格の査定は完全に人の手によって行われていたものです。どちらの場合においても、周辺にある同じような条件の不動産の取引事例を参考に算出します。
AI査定は、人の手で行うよりも大量のデータを用いながら、短時間で結果が出せるのが特徴です。
不動産を売却したい人にとっては、従来の手作業による査定の結果を待つよりも早く不動産価格を知ることができ、不動産会社にとっては業務のある一定の効率化を図ることができるものです。
1-1.不動産のAI査定の仕組み
AIによる不動産査定は、依頼者が入力した情報と蓄積されているデータを照合し、条件面の類似性の高い物件の取引価格を算出します。
蓄積されているデータが多いほど算出結果の精度が高くなりますが、裏を返せばデータが少ないと精度も低くなるということ。
周辺に同条件の物件が少ない場合や、あっても取引事例がなければ精度は落ちてきます。
もちろんこれはAI査定に限った話ではなく、人的労力をかけた査定でも同じことと言えます。
また、査定に用いるデータをどこから取るかによっても、AIによる不動産査定の結果に影響してきます。
1-2.不動産のAI査定のメリット
AI査定の強みは、なんといっても不動産会社の担当者を介さないということ。
その上で、不動産の売却を考えている人がAI査定を使うメリットは、以下の3点が挙げられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
- 不動産AI査定のメリット①:売るタイミングを計ることができる
不動産を売るタイミングを計るのに、AI査定を効果的に利用することができます。
不動産の価格は、タイミングによって変わることがあるものです。
特に、都心部や大きな駅周辺のマンションは値動きが激しいため、定期的に価格をチェックし、より高く売れるタイミングを探るのに使うことができます。
不動産会社の担当者を通さないため、気軽に、気兼ねなく、その時の不動産価格を知るのにとても有効です。
- 不動産AI査定のメリット②:査定を匿名で行うことができる
AI査定であれば、匿名で査定ができるため、余計な個人情報を出さなくて済みます。
もちろん、査定結果を正確にするためには、物件住所の登録は必要です。
とはいえ、どうしても詳細な物件住所を登録したくない場合でも、物件住所の入力が不要な匿名査定を行う手段もあります。最寄り駅からの所要時間を入力し、物件種別と面積だけで査定額を出すものです。
完全匿名で不動産価格の査定を行うことができるのも、AI査定ならではと言えるでしょう。
- 不動産AI査定のメリット③:不動産会社から営業電話が来ない
AI査定を利用すれば、不動産会社に個別に査定を依頼するわけではないので、煩わしい営業電話がかかってくることがありません。
自分のペースで不動産価格を調べることができるうえ、担当者に人的労力をかけてもらったわけではないため、実際に売らなくてもだれにも何も迷惑のかかるものではないのです。
AI査定を自社で導入している不動産会社の立場で見ても、まだ売るつもりではない不動産と、本気で売る段階の不動産の線引きができるため、AI査定だけの利用段階で営業電話をかけるのは、コスト的に見合わないと言えます。
1-3.不動産のAI査定のデメリット
手軽に利用できる一方で、不動産のAI査定はまだまだ新テクノロジーの導入期と言えるため、以下のようなデメリットがあります。
それぞれ具体的に見ていきましょう。
- 不動産AI査定のデメリット①:データが少ないと精度が低くなる
蓄積されているデータが少ないと、売却価格を知りたい不動産と類似性のある物件のデータが少ないため、結果として出される価格の精度が低くなります。
自社の取扱物件のデータだけに基づくAI査定では、類似した物件の扱いがなければ、当然査定結果にも影響し、出てくる価格は曖昧なものになるのです。
この点、「全国を満遍なくカバーしている」と謳うものよりも、特定の地域に絞り込んだAI査定を行うものの方が、類似性のある物件は多くなると言えるでしょう。
ただし、地域を絞り込めばそのぶん母数も少なくなるため、現状では大都市を対象としたAI査定でないと、どちらにしてもデータが少なく、結果の精度が低くなるという問題が発生してしまいます。
- 不動産AI査定のデメリット②:実際の売却価格より高い数値が出ることがある
AI査定で出た金額が、実際の売却価格より高くなることがあります。
これは、基にするデータを増やすため、ネット上で拾える売出価格に基づいて査定額を算出するAI査定があるからです。
不動産の売却価格と言うと、「売出価格」と「成約価格」のふたつが混同されることがあるのですが、このふたつの違いは以下の通りです。
売出価格:売主が「この価格で売りたい」という希望を込めた価格
成約価格:実際に買主によって買われた価格
実際には、売出価格>成約価格となるケースが多いです。
AI査定の基とするデータを、ネット上で拾える売出価格そのまま引用するような場合、AI査定で提示された価格がそのまま実際の売却価格となるわけではないことを踏まえておく必要があります。
- 不動産AI査定のデメリット③:物件の個別の詳細情報は反映されない
AI査定では、数値化できる基本的な情報に基づいて査定しているため、数値化できない個別情報は考慮されません。
「数値化できない個別情報」とは、具体的には以下の要素です。
- 日当たり
- 建物や設備の個別の損耗状況
- 敷地の向き
- 敷地の道路付け
- 注文建築のデザインや性能
- メンテナンスの頻度
これらは人的労力をかけた査定では加味されることのあるものです。もちろん、担当者の経験によっても異なってくる、まさに属人的要素の部分であることもあり、AI査定ではなかなか反映まで至らない部分と言えます。
2.おすすめのAI不動産査定サイト
まだ導入期段階の不動産のAI査定ですが、売却したい物件がマンションであれば、ある程度の精度を持ち、使い勝手が良いことからおすすめできるものがあります。
以下の基準で、おすすめのAI不動産査定サイトをご紹介します。
2-1.IESHIL(イエシル)
出典:IESHIL
IESHILは、さまざまな分野でビッグデータを扱う情報サービス会社が運営している、マンションに特化した不動産AI査定のサイトです。
IESHILの各種データは、環境の価値計測に用いられる従来の「ヘドニック法」をベースに、独自の説明変数や、数値化した地域特性を加えることにより、より具体的で詳細な機械学習をさせて結果を算出しています。
特定の不動産会社に拠らない中立な立場で運営されているため、安心して利用することのできる不動産AI査定のサイトです。
【おすすめポイント】
- マンション名を入力するだけでその場で相場価格がわかる
- 過去の価格推移と将来予測がわかる
マンション名を直接入力するだけで、部屋ごとの間取り、専有面積、参考相場価格などの一覧を見ることができます。
これまでの価格推移と今後の将来予測も見られるため、売り時を計ることも可能です。
また、物件のあるエリアの災害リスクについて、地震、洪水、液状化、津波、土砂災害、避難場所を、それぞれの項目ごとに地図上で確認することができます(詳細レポートは有料)。学区情報なども確認できる機能があるため、売却に合わせ、住み替えで中古マンションの購入を考えている方にもおすすめです。
詳しい売却価格を調べる場合も、チャットボットの簡単な質問に答えるだけで、メールアドレス宛に短時間で妥当な価格が送付されます。
IESHILの公式サイトはこちらからどうぞ
2-2.マンションナビ
出典:マンションナビ
マンションナビは、不動産会社各社と提携し、売主とそれぞれに得意なジャンルを持つ不動産会社を結びつけるサイトです。
保有している9,000万件以上の売買事例データをベースに、エリア別に物件の売却タイミングを5段階で評価した「ウリドキ指数」も提案しているため(エリア限定)、初めてでも感覚的にわかりやすく利用することができます。
【おすすめポイント】
- web上で相場価格がすぐにわかる
- 間取りや築年数ごとに売出物件数がわかる
売却したい物件の現在の売買推定価格相場、平均㎡単価、新規売出し件数などを過去のデータと比較することができるため、売却のタイミングを計ることができます。
また、直近の販売価格の履歴や、競合となる類似条件の周辺物件についても、過去の販売価格を調べることができます。
マンションナビの公式サイトはこちらからどうぞ
2-3.マンションAIレポート
出典:マンションAIレポート
マンションAIレポートは、ソニーグループのAI技術と、SRE不動産が有する不動産査定のノウハウを活用して共同開発した価格推定エンジン、賃料推定エンジンを基にマンションを売りたい人、買いたい人、貸したい人にとって参考になる情報を様々な切り口で紹介するwebサイトです。
首都圏マンションについて、推定価格相場や推定賃料相場と推定価格推移を見ることができます。
都道府県や市区町村、駅や沿線別にマンション売却価格を算出し、売却価格の高額ランキングを紹介しているのも特徴です。
肝心の査定価格の精度について、査定額と実際の相場との誤差はわずか5.90%(2022年1月7日時点)とのこと。安心して利用できるAI査定と言えるでしょう。
【おすすめポイント】
- ランキング形式でわかりやすい
- 推定賃貸価格が見られるから賃貸経営にも使える
市区町村の中でどのマンションが高額なのか等をランキング形式で公開しているため、売却とともに住み替えで中古マンションの購入を考えている方にも有益です。
また、推定賃貸価格についても調べられるため、売却か賃貸経営かで悩んでいる方にとっては、このサイトだけである程度の情報が得られるのもうれしいところです。
マンションAIレポートの公式サイトはこちらからどうぞ
3.AIによる不動産査定の活用法
これまでにも何度かお伝えしていますが、AIによる不動産査定はまだ導入期と言えるため、結果を鵜呑みにしてしまうと、期待外れになってしまう場合もあります。
一方で、AI査定の特性を知ってうまく使えば、思いがけない場面で活用できることもあるのです。
- マンションのAI査定
- 戸建てや土地のAI査定
それぞれのケースで、AI査定の具体的な活用法を見ていきましょう。
3-1.マンションのAI査定:売却を思い立った時からすぐに活用できる
マンション価格のAI査定は、特に都心部の物件については比較的高い精度で査定額を出すことができるため、売却を考え始めた初期の段階からさまざまに活用することができます。
マンションは戸建てと比べて供給する業者が少ないため、品質や性能、グレードが限られているものです。そのため、参考になる類似した物件の成約事例が多く、基にするデータが豊富にあると言えます。
AI査定で瞬時に算出される価格は、人的労力をかけて計算する結果とあまり大きな差がないため、結果をおおよその不動産価格として捉えることができるのです。
都心部のマンションのAI査定では、その結果を以下のようなことに活用できます。
- 売却益や売却損の確認
- 税金の算出
- 遺産の分配額の確認
- 売却タイミングを計る
- 賃貸収入との比較をする
ただし、■不動産AI査定のデメリット②:実際の売却価格より高い数値が出ることがあるの項目でもお伝えした通り、データ母数の少ない地域では、マンションの売出価格でデータ不足を補っている場合があるため、参考程度に捉えておくのが無難です。
3-2.戸建てや土地のAI査定:情報量が少ないので参考程度に活用
戸建て住宅や土地の場合、類似した物件の成約事例が多くないため、AI査定で出される価格は参考程度に捉えておくのが良いでしょう。
価格に影響する要素が非常に多く、AI査定で基にする類似物件のデータがそもそもない場合もあるからです。
具体的には、以下のような要素について、数値化しにくいためAI査定に反映されにくくなります。
- 日当たり
- 建物や設備の個別の損耗状況
- 敷地の向き
- 敷地の道路付け
- 注文建築のデザインや性能
- メンテナンスの頻度
戸建て住宅の査定では間取りや土地の広さだけでなく、向きや道路の幅、路面に面した物件か、細い路地を通った先にある奥まった土地(旗竿物件)か、進入が一方通行かどうかなど、マンションよりも評価対象となる項目が多いのです。
また、たとえ築年数が同じ物件であっても、建物そのものの耐久性や維持メンテナンスの状況によっては、法定耐用年数を大幅に超えるような耐久性能を持つ物件もあります。
戸建てや土地の場合には、AIによる不動産査定に対応しきれていないことが多いので、あくまでも参考価格程度に捉えるのが良いでしょう。
4.AI不動産査定以外に売却価格を気軽に知る方法
AIによる不動産査定の強みは、不動産会社の担当者に問い合わせるものではないため、営業電話がかかってこなかったり、査定結果を個人的に利用できることであるとお伝えしました。
AI査定以外にも、不動産会社の担当者を通さずに、所有不動産の売却価格を気軽に知る方法をお伝えしていきます。
マンションと戸建て・土地で調べる方法が異なりますので、それぞれに分けて見ていきましょう。
4-1.売却価格を自分で調べる:マンション
マンションの相場価格は、不動産のポータルサイトを使うことで手軽に調べることができます。
出典:SUUMO
周辺地域のマンションの売却価格相場のほか、専有面積、築年数の中央値などが表示されます。
また、直近の売却実績価格が一覧で表示されるため、その中から自分の所有物件に近いものを探して参考にします。
会員登録をしなくても無料で使えるので、手軽にマンション相場を調べるのに使うことができます。
4-2.売却価格を自分で調べる:戸建て・土地
なかなか情報の多くない戸建てや土地の相場価格を調べるには、マンションと同様に不動産ポータルサイトを活用するほか、レインズ、国土交通省のサイトを活用する方法が便利です。
■レインズ・マーケット・インフォメーション
不動産会社のネットワークシステムであるレインズ(REINS:不動産流通標準情報システム)は、国土交通大臣によって指定された不動産流通機構が運営する、日本全国の物件情報の交換の場です。
不動産を売却しようと思った場合、できるだけ広く物件情報を知らせることができれば、その分買主が早く見つかりやすくなります。
そのため、売りに出た不動産については、レインズに登録することが推奨されているのです。
レインズは通常、不動産会社だけがアクセスできるものですが、一般向けには「レインズ・マーケット・インフォメーション」と呼ばれるサイトで情報開示しています。
このサイトでは実際に売買が行われた物件の価格(成約価格)等の取引情報を検索することができます。
■国土交通省 土地総合情報システム
国土交通省のWEBサイト「土地総合情報システム」では、以下の基準で土地の価格を調べることができます。
どちらもこちらの詳細な個別情報を不動産会社や査定サイトに渡すことなく、自宅で手軽に調べることのできる方法です。
不動産会社の担当者による査定と比べると正確さは低いかもしれませんが、参考値を調べるという点では、現段階ではAI査定と大きくは変わりません。
まとめ
この記事では、不動産のAI査定について、その活用方法や注意点についてお伝えしてきました。
<不動産のAI査定>
■メリット
- 売るタイミングを計ることができる
- 査定を匿名で行うことができる
- 不動産会社から営業電話が来ない
■デメリット
- データが少ないと精度が低くなる
- 実際の売却価格より高い数値が出ることがある
- 物件の個別の詳細情報は反映されない
まずは、ご自身の物件がいくらくらいで売却できそうかを把握するために不動産のAI査定を活用し、物件売却の第一歩を踏み出してみましょう。
早く・無駄なお金をかけずマンションを売るならsumnaraで。
【1】中古マンション売却を現状のママで高く、早期に売却できる。
【2】プロライターが物件取材して隠れた魅力を引き出すから、早く・無駄なお金をかけずに売れる。
【3】しつこい営業電話などセールスがないから、安心して売却相談ができる。
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