「公示価格はどのように調べれば良いのだろう?」
「公示価格を調べるときのポイントや気を付けることはあるのだろうか?」
この記事を読んでいる方は、このようなことを思っているのではないでしょうか。
公示価格の調べ方には、
①国土交通省が運営する「土地総合情報システム」で探す
②路線価から算出する
の2通りがありますが、基本的に公示価格は①国土交通省が運営する「土地総合情報システム」で調べられます。
しかし、公示価格は全国の土地全てに設定されているわけではないため、公示価格のない土地に関しては②路線価から算出する方法で公示価格を調べるのが良いです。
そして、実際に公示価格を調べるときには以下3つを知っておくことが重要です。
この記事では、以下の内容をまとめて説明しています。
- 公示価格の調べ方
- 公示価格を調べるときに知っておくべきこと
- 実際の取引に近い土地の価格の調べ方
お読みいただくことで、
◎公示価格はどのようなポイントを踏まえて調べると良いのか
◎公示価格がない場合はどうすれば良いのか
◎公示価格を調べるときは何に気を付けるべきなのか
が分かるようになるため、公示価格の調べ方について理解を深めていただくためにも最後までご覧ください。
1.公示価格の調べ方は2通り
公示価格の調べ方には2通りあります。
冒頭でも説明した通り、公示価格は基本的には①土地総合情報システムで調べられます。
ただし、公示価格は全国2万6千地点において限定的に設定されているため、土地によっては公示価格がありません。土地総合情報システムで調べても公示価格がない場合は、「路線価」という土地の価格を使って公示価格を調べていきます。
それぞれの調べ方について詳しく説明する前に、ここでは概要を説明していきます。
1-1.土地総合情報システムで探す
「土地総合情報システム」は、公示価格を始めとした公的な土地の価格を閲覧できる、国土交通省が運営しているWebサイトです。
公示価格は国土交通省が設定している土地の価格のため、土地総合情報システムを利用すれば正式な公示価格が分かります。
また、詳しくは後述しますが土地総合情報システムでは以下4つの条件を指定して、目的に合った公示価格を探すことができます。
- 公示価格を調べたい地域
- 公示価格の評価年
- 公示価格を調べたい土地の用途
- 公示価格の価額
公示価格を調べたいときは、まず土地総合情報システムを利用しましょう。
公示価格をすぐに調べたい方 → 2. 土地総合情報システムを使った公示価格の調べ方
1-2.路線価から算出する
「路線価」とは、国税庁が設定している、道路に面している土地の価格のことをいいます。
【路線価の例】
画像引用元:路線価図の説明|国税庁
相続税や贈与税、固定資産税といった税金を算出するのに必要な土地の評価額を求めるのに使われる路線価ですが、路線価から公示価格を調べられるのは、路線価の価額は公示価格が水準となって決められているからです。
路線価には2種類があり、それぞれの路線価の価額は以下のように設定されています。
どちらの路線価を使っても公示価格を調べられますが、①相続税路線価を使うのが良いです。相続税路線価は全国約40万地点と広範囲に設定されているため、該当する土地が見つかる可能性が高いです。
土地総合情報システムに該当する公示価格がなければ、その土地の相続税路線価を調べましょう。相続税路線価から算出する公示価格は概算にはなりますが、おおよその公示価格を知るうえでは参考になります。
相続税路線価から公示価格を調べる前に、路線価について詳しい概要を知っておきたい方はこちらの記事をご覧ください。
2.土地総合情報システムを使った公示価格の調べ方
土地総合情報システムを使った公示価格の調べ方の手順は、次の通りです。
1.公示価格を調べたい土地を指定する
- 土地の地名を入力する
- 周辺の土地を選択する
- 複数の土地を選択する
2. 検索条件を指定する
- 対象の指定方法
- 調査年の指定方法
- 用途区分の指定方法
- 地価の指定方法
順番に詳しく説明していきましょう。
2-1.公示価格を調べたい土地を指定する
土地総合情報システムへアクセスし、「地価公示 都道府県地価調査」を選択します。
公示価格を調べたい地域を選択できる「検索地域選択画面」に切り替わります。
検索地域選択画面からは3つの方法で公示価格を調べられますが、目的に合わせて調べ方を選べます。
①地図上で地域を選択する…特定の市区町村における公示価格を調べたいとき
②複数の土地を選択する…複数の地域における公示価格を調べたいとき
③土地の地名を入力する…特定の住所における公示価格を調べたいとき
それぞれの調べ方は以下の項目で説明しているので、ご自身がどこの土地の公示価格を知りたいのか、その目的に合わせて調べ方を選んでご覧ください。
- 特定の市区町村における公示価格を調べたい → 2-1-1.地図上で地域を選択する
- 複数の地域における公示価格を調べたい → 2-1-2.複数の土地を選択する
- 特定の住所における公示価格を調べたい → 2-1-3.土地の地名を入力する
2-1-1.地図上で地域を選択する
特定の市区町村における公示価格を調べたいときは、検索地域選択画面の地図上で公示価格を調べたい都道府県を選択します。
選択した都道府県の市区町村を選択できる地図が表示されるので、公示価格を調べたい市区町村を選択します。
市区町村を選択すると、公示価格を調べたい土地の条件を指定する「検索条件指定画面」に切り替わります。
検索条件指定画面からの調べ方 → 2-2.検索条件を指定する
2-1-2.複数の土地を選択する
複数の地域の公示価格を調べたいときは、検索地域選択画面の「複数の地域を選択して検索したい場合は → 複数検索地域選択へ」を選びます。
複数検索地域選択(都道府県)画面に切り替わります。
複数検索地域選択(都道府県)画面では、都道府県を最大5個まで選択できます。公示価格を調べたい都道府県を選択したら「決定」をクリックします。
複数検索地域選択(市区町村)画面に切り替わり、前画面で選択した都道府県の市区町村一覧が表示されます。
複数検索地域選択(市区町村)画面では、市区町村を最大10個まで選べます。公示価格を調べたい市区町村を選択したら、画面下にある「決定」をクリックします。
市区町村を選択すると、公示価格を調べたい土地の条件を指定する「検索条件指定画面」に切り替わります。
検索条件指定画面からの調べ方 → 2-2.検索条件を指定する
2-1-3.土地の地名を入力する
特定の住所の公示価格を調べたいときは、検索地域選択画面の「詳細な地名を入力して検索したい場合は → 検索地域指定(地名入力)へ」を選びます。
検索地域指定(地名入力)画面に切り替わります。
検索地域指定(地名入力)画面では、特定の住所を最大10個まで入力できます。以下4つを踏まえて入力しましょう。
①数字は全角で入力する
例)日本橋1-1/日本橋1丁目
②「地名(住居表示)」は、地名の一部の入力でも検索対象となる
例1)「日本橋」と入力すると日本橋の全域が検索対象となる
例2)「日本橋1丁目」と入力すると日本橋1丁目内が検索対象となる
③同じ都道府県と市区町村にある複数の公示価格を調べたい場合は、2行目以降は都道府県名と市区町村名の入力は必要ない
例)
④都道府県名と市区町村名まで入力して「地名検索」を選択すると、公示価格が設定されている地名(住居表示)の一覧から地名を入力できる
例)
参考:検索方法|標準地・基準地検索システム~国土交通省地価公示・都道府県地価調査~
公示価格を調べたい住所を入力し、画面下にある「決定」をクリックすると公示価格を調べたい土地の条件を指定する「検索条件指定画面」に切り替わります。
検索条件指定画面からの調べ方 → 2-2.検索条件を指定する
2-2.検索条件を指定する
公示価格を調べたい地域を決定すると、公示価格を調べたい土地の条件を指定する「検索条件指定画面」が表示されます。
検索条件指定画面では以下4つの条件を指定して、調べる公示価格を絞ることができます。
①調べたい土地の価格の対象
②公示価格の調査年
③調べたい公示価格の土地の用途
④調べたい公示価格の価額範囲
4つの条件を指定するときのポイントがあるので、1つずつ説明していきましょう。
2-2-1.調べたい土地の価格の対象の指定方法
調べたい土地の価格の対象を選択する項目には3つあり、それぞれの概要は次の通りです。
①地価公示のみ…公示価格のみを調べる
②都道府県地価調査のみ…基準地価のみを調べる
③地価公示・都道府県地価調査の両方…公示価格と基準地価の両方を調べる
既定では③地価公示・都道府県地価調査の両方が選択されています。公示価格を調べるには、①地価公示のみを選びましょう。
2-2-2.調査年の指定方法
調査年の項目では、どの年に評価された公示価格を調べたいのか、その年を指定します。
既定では「最新調査年のみ」にチェックが入っています。公示価格は毎年1月1日に評価され、その年の3月下旬に公表されます。公示価格を調べているのが1月1日から3月下旬の公表前であれば前の調査年の公示価格、公表後であれば最新の調査年の公示価格を調べられます。
もし、過去の公示価格から最新の公示価格がどのように変わっているのか、推移を調べたいのであれば「最新調査年のみ」のチェックを外して調査年の範囲を指定しましょう。
過去の調査年の公示価格を調べたい場合は、「最新調査年のみ」のチェックを外したらその年を以下のように指定します。
2-2-3.用途区分の指定方法
用途区分の項目では、公示価格を調べたい土地の用途を指定します。指定できる用途は8つあり、それぞれの概要は以下の通りです。
たとえばマイホームを建てる予定で、指定した地域の公示価格を調べたい場合は「住宅地」を選択します。選択しなかった場合は、用途全てに該当する土地の公示価格を調べられます。
2-2-4.地価の指定方法
地価の項目では、調べたい公示価格の価額範囲を指定できます。
単純に指定した地域の公示価格を調べたいのであれば、入力は不要です。土地を購入する目的で公示価格を調べていて、1平方メートルあたりの土地の価格に希望があれば入力しましょう。
調べたい土地の価格の対象から地価まで指定したら、検索条件指定画面の下「検索」をクリックします。
2-3.公示価格表の見方
指定した地域と条件に合う公示価格の一覧が表示されます。
既定では「標準地番号」から「利用区分、構造」まで、その土地の公示価格に関する基本的な情報9項目が表示されますが、「標準地番号」を選択すると「利用状況」から「鑑定評価書」など10項目が追加で表示され、その土地の公示価格に関する詳細情報を見ることができます。
ここで知っておくと良い項目は、以下7つです。
①所在及び地番
②住居表示
③調査基準日
④価格(円/m2)
⑤地積(m2)
⑥形状(間口:奥行き)
⑦建ぺい率(%)、容積率(%)
2-3-1.所在及び地番
その土地の地番が表示されています。
「地番」とは、その土地を特定するために付けられる番号のことです。登記情報から所有権を確認したり、課税対象にするかを決めたりするのに活用されます。
この項目にある「地図で確認する」をクリックすると、その土地の場所を地図で確認できます。
2-3-2.住居表示
私たちが日常生活で使う「住所」と呼ばれるものです。
地番だけでは場所を特定しづらいという問題を解決するために制定された「住居表示に関する法律」に基づき、市区町村によって定められています。所在及び地番とは異なる表記がされています。
2-3-3.調査基準日
公示価格の評価時点を示しています。
公示価格は毎年1月1日に評価されるため、「令和3年1月1日」のように記載されています。
2-3-4.価格(円/m2)
この項目が公示価格です。1平方メートルあたりの更地(建物がない土地)の公示価格になります。
たとえば上記の公示価格は、1平方メートルあたり26万4千円ということが分かります。
2-3-5.地積(m2)
土地の面積を示しています。たとえば以下は、99平方メートルの地積を持つ土地であることが分かります。
この地積と「2-3-4.価格(円/m2)」の価格を使って、その土地の標準的な価格を算出できます。計算式は「地積(m2)× 価格(円/m2)」です。
上記の土地を例に挙げると、その価格は「26万4千円 × 99平方メートル」で約2,613万円となります。
また、地積から坪数を推測することも可能です。1坪は約3.24平方メートルのため、上記の地積99平方メートルの土地を例に挙げるとその土地の坪数は約30坪であることが分かります。
2-3-6.形状(間口:奥行き)
土地の形状として、間口(土地の幅)と奥行きの比率が記載されています。
土地が台形のような変形地や建物の配置が制限される不整形地でない限りは、四角形の土地になります。変形地や不整形地である場合は、その旨が記載されます。
2-3-7.建ぺい率(%)、容積率(%)
この項目には、次の2つの割合が記載されています。
①建ぺい率…敷地面積(建物を建てる地積)に対する建築面積(建物の面積)の割合
②容積率…敷地面積に対して建物の階数を決めるための割合
その土地に住宅など建物を建てる場合に参考になる項目になります。
3.路線価を使った公示価格の調べ方
土地総合情報システムで公示価格を調べて見つからなかった場合は、その土地の路線価を使えば公示価格を調べられます。
「1-2.路線価から算出する」でも説明した通り、路線価から公示価格を算出するときには2種類の路線価のうち「相続税路線価」を使うのが良いです。
では、次の3つの項目を通して、相続税路線価を使った公示価格の調べ方を説明していきましょう。
- 相続税路線価の調べ方
- 相続税路線価図の見方
- 相続税路線価から公示価格を計算する方法
3-1.相続税路線価の調べ方
相続税路線価は、国税庁が提供している財産評価基準書「路線価図・評価倍率表」で確認できます。
財産評価基準書「路線価図・評価倍率表」へアクセスしたら、次の3つの手順を踏めば該当する土地の相続税路線価が分かります。
- 評価年を選択する
- 地域を選択する
- 路線価図ページ番号を選択する
3-1-1.評価年を選択する
まず、調べたい相続税路線価の評価年を選択します。
財産評価基準書「路線価図・評価倍率表」では、最新の年から過去6年までの評価年を選べます。たとえば、今2021年(令和3年)であれば平成27年まで選択できます。
既定では、最新の評価年が選択されています。最新の相続税路線価から公示価格を調べたいときは、このままで問題ありません。
過去の相続税路線価から公示価格を調べたい場合は、該当する評価年を選びます。
3-1-2.地域を選択する
評価年を選んだら、相続税路線価を調べたい地域を選択します。都道府県名の一覧、もしくは地図上で該当する都道府県を選びましょう。
選択した都道府県の財産評価基準書目次が表示されるので、「1. 土地関係」にある「路線価図」を選択します。
相続税路線価を調べたい市区町村を一覧から選びます。
この一覧には、1月1日時点の市区町村名が表示されています。1月2日以降に市区町村名が変更されている場合は、変更前の市区町村名を選びましょう。
3-1-3.路線価図ページ番号を選択する
市区町村を選んだら、路線価図ページ番号を選択します。
相続税路線価は、公示価格のように価格表の一覧ではなく、地名ごとに複数の図面に分かれて公表されています。この図面のことを「路線価図」と呼びます。
路線価図には「路線価図ページ番号」という番号が付けられています。相続税路線価を調べるときは、該当する路線価図ページ番号を選びます。
ただ、相続税路線価を初めて調べるときは「ご利用方法」にある「この市区町村の索引図ページ」を選択すると表示される「索引図」から探すのがおすすめです。
索引図では、以下のように地図を見ながら相続税路線価を調べたい地域を選択できます。
相続税路線価を調べたい地域の路線価図番号を選択すると、その地域の相続税路線価が記載された路線価図が表示されます。
3-2.相続税路線価図の見方
相続税路線価の図には、以下の情報が記載されています。
①評価年と路線価図番号
②地区を表す記号
③借地権割合
④方角
⑤管轄の市区町村名
⑥相続税路線価
ここで知っておくべき項目は、以下2項目です。
②地区を表す記号
⑥相続税路線価
②地区を表す記号は、住宅地や商業と住宅の併用地区といった地区を表すものです。
⑥相続税路線価は、その名の通り相続税路線価の価額です。道路の図面上に記載されています。
「205D」や「240D」といったように数字とアルファベットが記載されているもののうち、数字が相続税路線価です。
相続税路線価は、1平方メートルあたりの価額で1,000円単位で記載されています。たとえば、上記の「205D」や「240D」の相続税路線価は、以下の通りです。
- 205D…20万5千円
- 240D…24万円
3-3.相続税路線価から公示価格を計算する方法
相続税路線価は、公示価格の80%です。
このため、調べた相続税路線価から公示価格を計算するには、以下の計算式を使っていきます。
相続税路線価 ÷ 80% = 公示価格
たとえば、相続税路線価が20万円であった場合は、公示価格は25万円です。
算出した公示価格は土地1平方メートルあたりの価額のため、その土地全体の価格を知るには地積を乗じます。たとえば、相続税路線価が20万円、地積が90平方メートルであればその土地の価格は以下になります。
20万円 ÷ 80% = 25万円
16万円 × 90平方メートル = 2,250万円が土地の価格
ただし、相続税路線価から算出する公示価格は概算になります。あくまで目安として捉えるようにしましょう。
4.公示価格を調べるときに知っておくべき3つのこと
公示価格、そして公示価格を算出できる路線価は一般公開されているためいつでも調べられますが、その際に知っておくべきことがあります。それが以下の3つです。
4-1.公示価格と路線価はリアルタイムの価格ではない
1つ目は、公示価格と路線価はリアルタイムの価格ではないことです。
公示価格は毎年1月1日を評価時点として価格が鑑定されます。その後、国土交通省の土地鑑定委員会によって審査されて価格が決定したら、その価格が評価年の3月下旬に公表されます。
路線価は、公示価格と同様毎年1月1日が評価時点で、公表されるのは評価年の7月頃です。
土地の価格は社会情勢や経済状況などが一因となって変動するものですが、公示価格や路線価の場合は、評価時点の翌日である1月2日以降に社会情勢や経済状況に大きな変動があっても、その影響は反映されません。
公示価格はあくまでその土地の標準的な価格、路線価から算出した公示価格も目安として参考にできるものであることは念頭に置くようにしましょう。
4-2.公示価格 = 実際の取引価格にはならない
2つ目は、公示価格 = 実際の取引価格にはならないことです。
公示価格には、「4-1.公示価格と路線価はリアルタイムの価格ではない」で説明したような社会的要因の他、以下のような特殊な土地を考慮せずに成立する価格が設定されています。
- 交通の便が良い立地である
- 四隅が直角で使い勝手が良い
- 形がいびつである
- 奥行きが長い
- 幅(間口)が狭い
その土地の相場に合うよう、取引価格を決める指標として公示価格は有効ですが、実際の取引価格は土地の特徴や社会的要因、取引する人の事情といった要因が影響して決まるため、公示価格との間に差が生じることは念頭に置かねばなりません。
より取引に近い土地の価格を知りたいのであれば、「5. 実際の取引に近い土地の価格の調べ方」で説明する方法が良いのでご参考ください。
4-3.地価変動に注意が必要なところは「基準地価」が参考になる
3つ目は、地価変動に注意が必要なところは「基準地価」が参考になることです。
基準地価というのは、公示価格と同様、土地取引の際に適切な価格を示すために設定されている土地の価格です。都道府県が選んだ「基準地」に対して設定されており、毎年7月1日を評価時点としてその年の9月下旬に土地総合情報システムで公開されています。
基準地価は公示価格の対象外である土地も評価対象のため、公示価格の補完的な役割を果たしますが、地価変動に注意が必要なところは公示価格と同じ土地に基準地価が付けられているケースもあります。
【同じ土地に公示価格と基準地価が設定されている例】
上の「国土交通省地価公示」が公示価格、下の「都道府県地価調査」が基準地価です。上記の土地は、公示価格は38万円なのに対し、基準地価は38万5千円と評価されており、両者に差があることが分かります。
公示価格と基準地価の両方が設定されている土地の価格が変動する要因は、土地総合情報システムでは説明されていません。しかし、このような土地は公示価格の半年後に評価される基準地価の方が、その土地の最新の価格を知ることができ、土地取引における価格を決める参考になります。
公示価格を調べた土地が価格変動に注意が必要なところかどうかは、「2-2-1.調べたい土地の価格の対象の指定方法」のステップに戻って調べられます。「都道府県地価調査のみ」を検索対象にすると、基準地価が設定されている土地が表示されます。
基準地価の検索結果は、以下のように表示されます。
公示価格を調べた土地を探し、該当する土地の基準地価があればその価格が最新のため参考にすると良いでしょう。
5.実際の取引に近い土地の価格の調べ方
公示価格は土地取引をする際の価格を決める指標として活用するには有効ですが、実際の取引価格にはならないことは「4-2. 公示価格 = 実際の取引価格にはならない」でも説明しました。
もし、実際の取引に近い土地の価格を調べたい場合は、次の2つの方法を活用すると良いです。
- 実勢価格を調べる
- 不動産業者に査定してもらう
5-1.実勢価格を調べる
1つ目は、実勢価格を調べることです。
「実勢価格」というのは、実際の土地の取引において成立する土地の価格のことです。
実勢価格は、不動産会社が過去の土地取引の実績を参考に平均値を出すことで決められます。過去に取引がない場合は、周辺の取引実績や公示価格を始めとした公的な土地の価格から推定されます。過去の実績から土地取引において成立する価格を算出しているため、実際の取引に近い価格を知るうえで実勢価格は参考になります。
実勢価格は、公示価格と同じ土地総合情報システムで公開されています。「不動産取引価格情報検索」を選択すると、地域を指定して実勢価格を調べられます。
実勢価格は四半期ごとに公表されています。指定した地域の実勢価格の見方は、「不動産取引価格情報検索システム|地価公示・都道府県地価調査の見方について」で詳しく説明されているので、調べるときに参考にしてみてください。
5-2.不動産業者に査定してもらう
2つ目は、不動産業者に査定してもらうことです。不動産業者の査定は時価で行われるため、より相場に合う土地の取引価格を調べられます。
不動産業者に査定をしてもらう流れは、以下の通りです。
- 土地の売買業務を行う複数の不動産業者に査定を依頼する
- 不動産業者に現地調査をしてもらう
- 不動産業者から査定の結果を受ける
土地の査定方法は、不動産業者によって異なります。
このため、1社だけに依頼するとその不動産業者が算出した査定額が妥当かどうかを判断できなくなります。複数の業者に依頼することで、差が生じている場合はどの業者の査定額が適切でないかを見極めることが可能です。公示価格を調べられているのであれば、査定してもらった土地の価格と比較し、適切な価格であるかも判断できます。
複数の不動産業者に査定を依頼するときは、一括査定サイトを活用するのが有効です。
【不動産一括査定サイトの例】
- イエウール
- すまいステップ
- すまいValue
- LIFULL HOMES
- リビンマッチ
査定の依頼をしてから現地調査が入り、結果を受けるまでは一週間から10日程度です。
精度が高く、実際の取引に近い土地の価格を調べたい場合は不動産業者に依頼してみましょう。
6.まとめ
公示価格の調べ方には次の2通りがあります。基本的には国土交通省が運営する「土地総合情報システム」で探すことができますが、公示価格のない土地に関しては路線価から公示価格を算出して調べることになります。
実際に公示価格を調べるときには、次の3つを知っておくことが大切です。
この記事が、公示価格の調べ方を知る参考となれば幸いです。
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