不動産査定の種類は2種類!査定額の算出方法や査定のポイントを解説

「不動産の査定をしたいけれど、どのような種類があるの?」

「どのような種類の不動産査定を使うのがベスト?」

不動産の売却を検討するときに、どのような査定方法を選択するべきか迷いますよね。不動産査定には、机上査定と訪問査定の2種類があります。

机上査定と訪問査定

机上査定は不動産を目視することなく、不動産の状態や類似不動産の成約価格などのデータを基に査定をする方法です。

訪問査定は机上査定で利用するデータを用いるだけでなく、不動産を訪問し現地を見て査定をします。

それぞれ査定の方法や査定に要する時間、向いているケースが異なるため、特徴を把握してどちらを利用するべきか選択することが必要です。

そこでこの記事では、

  • 不動産の査定方法は2種類
  • 机上査定をしてから訪問査定に進むケースもある
  • 机上査定が向いている4つのケース
  • 訪問査定が向いている3つのケース
  • 不動産の査定額を算出する方法
  • 不動産の査定結果はイコール売却価格ではない
  • 不動産の査定方法は売却の検討具合に合わせて選ぶ

をまとめてご紹介します。この記事を最後まで読めば不動産査定の種類が把握でき、現在の状態に合う方法で不動産査定が依頼できるようになるはずです。効率よく不動産査定を進めるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

目次

1.不動産の査定方法は2種類

冒頭でも触れたように不動産を査定する方法には、机上査定と訪問査定の2種類があります。

不動産の査定方法は2種類

それぞれどのような査定方法なのか、詳しく解説していきます。

1-1.机上査定

机上査定

机上査定とは、査定する不動産を見ることなくデータを基に査定する方法です。簡易査定とも呼ばれており、短時間でおおよその査定額が把握できるところが特徴です。

不動産会社に査定して欲しい不動産の種類や大きさ、所在地などの基本的な情報を渡し、下記のような4つのデータを踏まえて査定額を算出していきます(参照データや細かな査定方法、査定基準は、不動産会社により異なります)。

①類似不動産の成約価格

成約価格とは、実際に不動産を売却した価格を指します。査定する不動産と似たような不動産の成約価格が把握できれば、参考にしながら査定額を算出します。

  • 不動産の所在地、築年数、大きさなどの条件が近い
  • 不動産の条件が近く成約時期が新しい

という事例を持っていると、より精度の高い査定ができます。例えば、大規模マンションの一室を査定する場合には同じ階の別部屋が売却され最近成約されていると、かなり条件が近いため類似不動産として参考になります。

②販売中の不動産の売り出し価格

査定する不動産の周辺で同じような不動産が販売されている場合は、売り出し価格を参考にします。売り出し価格は売主が自由に設定できるため、成約価格よりも高めに設定されていることが多いです。

現在売りに出ているということはこの売り出し価格では売れないと考えられるため、査定時の一つの目安となります。

例えば、土地の査定を依頼する場合に同じ地域に同じような条件の土地が売りに出されていれば、売り出し価格を参考にして査定をします。

③不動産市場の動向

不動産の価格は、景気や不動産のあるエリアの状況により大きく左右されます。そのため、不動産価格を左右しそうな要因をあらかじめ考慮して査定を行います。

不動産は査定後にすぐ売却されるわけではなく、準備や手続き等を含めると、売却までに3~6ヵ月程度かかると言われています。現在の経済状況だけではなく、不動産の売却時期を見据えて今後の動向を予測しながら査定額に反映させていきます。

④土地の場合は路線価や固定資産税評価額を参考にする

土地を査定する場合は、路線価や固定資産税評価額を参考にすることがあります。

  • 路線価:道路に面する土地の1㎡あたりの評価額
  • 固定資産税評価額:固定資産税の基準となる評価額

国税庁が公表している公的な価格なので、査定額を算出するときの目安として活用されています。

このように、机上査定ではデータを用いて、多角的な視点からおおよその査定額を提示します。30分~1時間程度で査定結果を把握できるため、待ち時間が少ないです。複数社に査定を依頼する場合や目安となる査定額を知りたい場合の利用が向いています。

1-1-1.AI査定

AI査定とは、人に代わってAIが素早く机上査定を行う方法です。類似不動産の成約価格や市場の動向、不動産の情報などのデータを分析して適正な査定額を算出します。

本来は不動産会社のスタッフが行う査定を短時間で行い、すぐに査定額が把握できるところが最大のメリットです。一方で、不動産の細かな情報や人的な側面などデータでは算出できない部分を反映できないため、査定の精度が低くなると言われています。

AI査定はあくまでもざっくりとした査定額を捉える手段として使い、不動産会社による机上査定や訪問査定と併用するほうがいいでしょう。

1-2.訪問査定

訪問査定

訪問査定とは不動産会社の担当者が不動産のある現地に出向き、現状確認や所有者へのヒアリングをしたうえで査定をする方法です。データだけでなく不動産の状態や周辺環境、売却時期などを見極めたうえで査定をするため精度が高くなります。

不動産の詳細情報を提示する必要があるので、具体的に不動産の売却を進めている場合や不動産の売却時期が決まっている場合に向いています。

訪問査定では机上査定で利用するデータに加えて、主に下記のような項目をチェックします。

  • 不動産の大きさや形状
  • 不動産の周辺環境、ライフライン
  • 土地の場合は境界線や、接道の長さ、前面道路の幅員
  • 戸建てやマンションなど建物の場合はきれいさ、増改築の有無
  • 売却時期や売却の動機
  • ローンを組んでいる場合は残債の有無
  • 売却希望額

また、事前に下記のような書類の用意を依頼されることもあります。

  • 登記簿謄本
  • 公図
  • 土地の測量図や建物の図面
  • 登記済証(権利証)や登記識別情報通知書
  • 売買契約書
  • 建物の場合:重要事項説明書
  • マンションの場合:パンフレットや管理規約

訪問査定時には不動産会社のスタッフに所有している不動産の状況を詳しく説明できるため、売却時期や不動産の情報、売却方法を踏まえて査定ができるところもポイントです。

また、不動産会社のスタッフと直接話をすることで、対応方法や信頼感も確認できます。訪問査定の所要時間は1~2時間ほどで、査定結果が届くまでには1週間ほど時間を要します。

2.机上査定をして目安を掴んでから訪問査定に進む

机上査定と訪問査定は、どちらか片方しか選択できないわけではありません。両者の強みを最大限に活かし机上査定をした後に訪問査定に進むのも一つの方法です。

机上査定をして目安を掴んでから訪問査定に進む

まずは、短期間で査定結果が把握できる机上査定をしておおよその査定額を掴みます。このときに、不動産一括査定サイトなどを活用し、気になっている複数の不動産会社に一括査定依頼をするのもいいでしょう。査定額は不動産会社によって異なる場合があるので、複数社に依頼すると条件のいい不動産会社が選びやすくなります。

机上査定の結果を見て具体的に売却を検討したいと思えたら、精度の高い訪問査定に進みます。机上査定を依頼した複数社の中から具体的に話を進めたい不動産会社を選び依頼すれば、この時点で不動産会社の絞り込みまで終えられます。

このように、机上査定と訪問査定の特徴を知っていれば両者を組み合わせて活用し、納得のいく査定ができるようになります。

続いて、机上査定と訪問査定を使い分ける場合はそれぞれどのようなケースが向いているのか詳しく解説していきます。

3.机上査定が向いている4つのケース

机上査定が向いているケースには、

  • 複数の不動産会社に依頼して比較をしたい場合
  • 不動産が遠方にあり足を運ぶのが難しい場合
  • 不動産売却時の相場や目安額を知りたい場合
  • 少しでも早く査定額を知りたい場合

の4つがあります。机上査定のメリットを活かせるケースが把握できるため、ぜひ参考にしてみてください。

3-1.複数の不動産会社に依頼して比較をしたい場合

机上査定は、複数の不動産会社に依頼して査定額を比較したい場合に向いています。複数の不動産会社に訪問査定を依頼した場合、日程調整や査定当日の対応、査定結果を待つ時間を含めるとかなりの時間を要します。

机上査定は必要な情報さえ提示すれば短時間で査定結果が出るため、複数の不動産会社に依頼をしても負担が少なく、複数社の査定結果を揃えやすいです。実際に、よく見かける不動産一括査定サイトも基本的には机上査定を依頼するものなので、一気に複数の不動産会社の査定額を把握したい場合は机上査定が向いていると言えるでしょう。

そもそも、複数の不動産会社に査定依頼をする必要はないと感じている人がいるかもしれませんが、査定結果は不動産会社により異なります。

精度の高い査定をしてくれる不動産会社はたくさんありますが、中には、

  • 売り手の思いを汲んで敢えて高い査定額を提示する
  • 査定額で売れないことを把握しておきながら、売却時点で値引きすることを前提として高い査定額を提示する

というケースも少なからずあります。査定額が適正なのか判断するためには、複数社の査定額を見て比較することが欠かせません。

信頼できる不動産会社を知っている場合は別ですが、そうでない場合はまずは複数の不動産会社を比較した上で、具体的な訪問査定をお願いする会社を絞りましょう。

3-2.不動産が遠方にあり足を運ぶのが難しい場合

売却を検討している不動産が遠方にある場合は、まずは机上査定を選ぶのがおすすめです。いきなり現地に出向き訪問査定を受けるとなると、時間と労力がかかります。必要な書類を揃えたり現地訪問の日程を調整したりするだけでも「思ったより大変だな」と感じるはずです。

机上査定から始めれば、遠方にある不動産までわざわざ出向く必要がありません。電話やメールでのやり取りで、簡単に査定を受けることができます。査定結果が出たら売却が最適なのかを検討して、具体的に進めたい場合には査定を受けた不動産会社と最適な方法を話し合うことが可能です。

不動産売却は場合によっては親戚や司法書士に代理人を依頼し進めることもできるため、机上査定の結果を受けて売却の意思さえ固めれば今後も遠方に出向く必要がないかもしれません。

  • 売却したい不動産が遠方にあり何度も往復することが難しい
  • 遠方にある不動産の売却を検討しているけれど、具体的に進めるか分からない状態で時間と労力をかけたくない

という場合には、机上査定の利用を検討してみてください。

3-3.不動産売却時の相場や目安額を知りたい場合

不動産の売却を検討し始めたばかりのころは、所有している不動産がどれくらいで売却できるのか検討がつかないものです。そこで、おおよその売却額の目安を把握するために、机上査定からスタートしましょう。

訪問査定では、具体的な売却時期や売却動機、売却希望額を聞かれることが多いです。まだ売却をするかどうか決まっていない状態で具体的なことを聞かれても、答えられないのが当然です。

しかし、訪問査定ではできる限り具体的な回答ができないと、査定の精度が落ちてしまうという側面があります。つまり、不動産の売却が具体的に進行していない時点で机上査定を受けても、納得できる査定が受けられないのです。

不動産は、必ずしも売却することが最適だとは限りません。査定額によっては賃貸にしたりリフォームをして住み続けたりするほうが得策の可能性があります。

  • 不動産の売却は一つの選択肢として検討している
  • 不動産の売却が最適な方法なのか判断したい

という場合には、相場や目安額を把握するためにも、机上査定を利用してみてください。

3-4.少しでも早く査定額を知りたい場合

机上査定は早ければ30分~1時間程度、遅くても1~3日程度で査定結果が出ます。AI査定を利用すれば、もっと迅速に査定結果を把握できることもあります。

一方で、訪問査定は訪問後にデータの分析や書類の確認を行うため、1週間程度時間がかかります。依頼時から査定結果が分かるまでの時間を考えると、訪問査定は机上査定よりも2倍以上の時間を要するのです。

時間にゆとりがある中で不動産の売却を検討している場合は問題ないですが、中には引っ越しや相続などで少しでも早く売却すべきかの判断をしなければならないケースがあります。

そのような場合は、まずは短時間で査定結果を把握できる机上査定をして、売却をすべきかどうかの判断材料にするのがいいでしょう。

4.訪問査定が向いている3つのケース

机上査定が向いているケースが把握できたところで、気になるのは訪問査定が向いているケースです。訪問査定が向いているケースとしては、

  • できる限り正確な査定額を知りたい場合
  • 売却を依頼したい不動産会社が決まっている場合
  • 具体的な売却方法を相談したい場合

の3つがあります。机上査定と訪問査定を上手に使い分けるためにも、ぜひチェックしてみてください。

4-1.できる限り正確な査定額を知りたい場合

不動産査定の精度の高さや正確さを求める場合には、訪問査定が向いています。「1-2.訪問査定」でも解説したように、訪問査定は実際の不動産を見て多角的に査定をするため、机上査定よりも精度が高いです。

机上査定は実際に不動産を見ることなくデータを基に査定額を算出するので、現在の環境や所有者からの意見、実際の不動産の状況を加味できません。概算となるため、不動産の相場や目安額をいち早く掴むのに適した査定方法です。

査定額は不動産会社によって数百万円違うこともあり、具体的に不動産の売却を検討していくと、査定額の違いが売却額に影響を及ぼすことが考えられます。

  • より明確な根拠がある精度の高い査定額を知りたい
  • 具体的に不動産の売却を検討しており、売り出し価格を決めるときの参考となる査定額が知りたい

という場合には、机上査定より精度の高い訪問査定を検討してみてください。

4-2.売却を依頼したい不動産会社が決まっている場合

信頼できる不動産会社を知っている場合や長い付き合いのある不動産会社がある場合には、訪問査定から始めるのも一つの方法です。

机上査定は、手軽に依頼できるため複数の不動産会社に依頼をして、信頼できそうな不動産会社を絞り込むことができます。。既に信頼できる不動産会社を把握している場合は、訪問査定の相談から進めてしまってもいいでしょう。

  • 不動産の売却を依頼をしたい不動産会社が決まっている
  • 信頼できる不動産会社を知っている

という場合は、訪問査定の相談から始めてみてください。

4-3.具体的な売却方法を相談したい場合

不動産を売却することを決めており、査定をするだけでなく具体的な売却方法を相談したい場合には訪問査定が向いています。

不動産は売却時期や市場の動向により、売却価格が変動する可能性があります。訪問査定では直接不動産会社のスタッフと話ができるため、売却時期や売却方法を相談しながら査定ができます。

例えば、売却時期を重視するのか売却価格を重視するのかによっても査定額が変わる可能性がありますが、売主の要望を聞きながら査定額を提案してもらうことも可能です。一方で、机上査定はあくまでも簡易的な査定となるので、細かな条件を取り入れた個別対応が難しいです。

不動産査定をしながら具体的な売却スケジュールや売却の方法を考えていきたい場合は、訪問査定を選んだほうが効率よく進むでしょう。

5.不動産の査定額を算出する方法

机上査定や訪問査定のときに不動産の査定額を算出する方法として、下記の3つの方法があります。

不動産の査定額を算出する方法

どのような算出方法を採用しているのかは不動産会社や査定する不動産により異なりますが、適正な査定額を算出する方法として参考にしてみてください。

5-1.原価法

原価法とは、査定する不動産をもう一度建てたときの原価を算出し、経過年数に応じた差額を引くことで現在の価値を算出する方法です。戸建ての査定に用いられることが多く、築年数が古ければ古いほど査定額が低くなります。

原価法では、下記の数式を用いて査定額を算出します。

原価法:再調達単価 × 延床面積 ÷ 耐用年数 × 残存年数(耐用年数-築年数)

再調達単価とは、現段階で査定対象の不動産と同等の建物を建てるために必要となる1㎡あたりの価格を指します。再調達単価は、国税庁が公表している「建物の標準的な建築価額表」を参考にできます。

例えば、2020年の「建物の標準的な建築価額表」を見てみると10年前の2010年、20年前の2000年の建物の再調達単価は下記のようになります。

原価法

参考:国税庁「建物の標準的な建築価額表

2020年時点から見て2000年と2010年の再調達単価を比較すると、木造・木骨モルタルを除き築年数が古いほうが再調達単価が低下するのがよく分かります。再調達単価を使い、下記の条件で査定額を算出してみましょう。

【条件】

  • 2010年築の鉄骨造
  • 建物面積は60㎡
  • 法定耐用年数19年

この条件を原価法の数式に当てはめると、

163,000円(再調達単価) × 60㎡(延床面積) ÷19年( 耐用年数) ×9年(残存年数)=約463万円

となるので、査定額は約463万円となります。このように、原価法は経年変化による劣化を重視し査定額を算出します。

5-2.取引事例比較法

取引事例比較法とは査定を依頼する不動産と条件が近い成約事例を集め、築年数や不動産の状態、立地条件の違いなどを比較して査定額を決める方法です。マンションや土地などさまざまな不動産の査定に活用されています。

取引事例比較法の比較する事例の選定基準具体的な比較項目については、国土交通省が公表している「不動産鑑定評価基準」30ページに記載されています。

内容を分かりやすくまとめると、下記のようになります。

  • 比較する不動産は、原則として近隣地域の不動産を採用する(特殊な事例はこの限りではない)
  • 特殊なケースは排除して、合理的に補正をする
  • 不動産の市場は常に変動しているため、過去と現在の状況を踏まえて補正する
  • 不動産の地域要因や個別要因を比較して検討する(立地や設備、周辺の環境など)

査定したい不動産と似た条件の成約事例に市場変動や個別要因などを考慮し検討することで、信憑性のある査定額を算出します。

ただし、取引事例比較法は不動産会社により項目を自由に設定できたり感覚的な判断に委ねたりする部分が多いという側面があります。査定する不動産会社により、査定内容に差が生じやすいところは留意しておきましょう。

5-3.収益還元法

収益還元法とは、査定する不動産の将来生み出すと予測される収益力をベースに査定額を決める方法です。投資用不動産の査定をするときに用いられます。

収益還元法には、直接還元法とDCF法の2種類があります。

①直接還元法

直接還元法は、1年間の純利益を還元利回り(不動産の資産価値を評価する指標)で割ることで査定額を算出する方法です。

直接還元法:1年間の純収益 ÷ 還元利回り

1年間の純利益とは、想定される家賃収入から管理費や固定資産税、修繕費などの経費を差し引いた額です。還元利回りは年間の純利益 ÷ 不動産価格 × 100で算出できますが、机上の計算では正確な還元利回りを算出することが難しいとされています。

実際には類似不動産の取引事例や、不動産会社が所有しているデータをもとに還元利回りを決めることが多いです。

例えば、1年間の純利益が100万円で還元利回りが5%だった場合は、

100万円(1年間の純利益)÷ 0.05(還元利回り)= 2,000万円

直接還元法で算出できる査定額は、2,000万円となります。

②DCF法

DCF法(Discounted Cash Flow Method:ディスカウント・キャッシュ・フロー法)とは、一定期間内に不動産から得られる収益と売却益を定められた割引率で割ることで現在の価値を算出する方法です。

DCF法では、時間経過とともに不動産の資産価値が低下していくことに着目しています。今現在は価値のある不動産でも将来的な空室リスクや賃料の下落率を考慮して算出できるため、直接還元法よりも精度の高い査定価格を算出できます。

しかし、直接還元法と比べると特殊性が高く算出方法も複雑なので、査定時に利用することが少ないのが現状です。

6.不動産の査定結果はイコール売却価格ではない

不動産の査定により算出された査定額は、査定より3ヵ月程度で売却できると想定される価格です。あくまでも想定価格なので、必ずしも査定額で売却できるわけではありません。

例えば、査定額で売りに出してもなかなか売れない場合には、値下げをしなければならないことがあります。買主が見つかっても値下げ交渉となり、査定額より売却価格が低くなることもあります。

また、査定額がそのまま売り出し価格になるとも限りません。査定額を目安に売却したい時期や市場の動向を踏まえて、改めて売り出し価格を決めることになります。

このように、査定額は売却を保証する金額ではありませんが、目安がないことには売り出し価格の検討が難しいです。査定額は不動産の売り出し価格や売却を検討する目安として、多くの人に利用されています。

7.不動産の査定方法は売却の検討具合に合わせて選ぶ

不動産の売却を検討するときには、まずは査定を受けてどれくらいの金額で売却ができるのか目安を知ることが大切です。

ここまで解説してきたとおり、不動産の査定方法には机上査定と訪問査定の2種類があります。簡単に言うと机上査定は概算の査定額を過去実績などのデータから算出する方法、訪問査定は細かな情報や個別要因を踏まえて精度の高い査定をする方法です。

不動産を売却すべきか迷っている段階で訪問査定を利用しても具体的な条件を話すことができませんし、不動産の売却を進めたいのに机上査定を選択しても精度の高い査定額を把握できません。

  • 不動産の売却を検討し始めたらまずは複数社に机上査定を依頼して目安額を掴む
  • 本格的に売却を検討するようになったら訪問査定で不動産会社とともに進めていく

といったように、「3.机上査定が向いている4つのケース」と「4.訪問査定が向いている3つのケース」と併せて、不動産の売却の検討段階に応じて査定方法を使い分けてみてください。

8.まとめ

いかがでしたか? 不動産の査定方法の種類が把握でき、自分にはどの査定方法が合っているのか判断できたかと思います。

最後にこの記事の内容をまとめておきます。

◎不動産の査定方法は次の2種類

  1. 机上査定:査定する不動産を見ることなく類似不動産の成約価格や不動産情報などのデータを基に査定する方法
  2. 訪問査定:不動産会社の担当者が不動産のある現地に出向き、現状確認や所有者へのヒアリングをしたうえで査定をする方法

◎机上査定をしてから訪問査定に進むことで両者の長所を活かした査定ができる

◎机上査定が向いているケースは次の4つ

  1. 複数の不動産会社に依頼して査定額を比較したい場合
  2. 不動産が遠方にあり何度も足を運ぶのが難しい場合
  3. 不動産を売却しようか迷っている段階で、売却することが決定していない場合
  4. 引っ越しなどで時間が限られており少しでも早く査定額を把握したい場合

◎訪問査定が向いているケースは次の3つ

  1. 机上査定より精度が高いためできる限り正確な査定額を知りたい場合
  2. 売却を依頼したい不動産会社が決まっており複数の不動産会社での比較検討が必要ない場合
  3. 不動産を売却することが決まっており具体的な売却方法を相談したい場合

◎不動産の査定額を算出する主な方法は次の3つ

  1. 原価法:査定する不動産をもう一度建てたときの原価を算出し、経過年数に応じた差額を引くことで現在の価値を算出する方法
  2. 取引事例比較法:査定を依頼する不動産と条件が近い成約事例を集め、築年数や不動産の状態、立地条件の違いなどを比較して査定額を決める方法
  3. 収益還元法:査定する不動産の将来生み出すと予測される収益力をベースに査定額を決める方法

◎査定額は査定より3ヵ月程度で売却されると想定された価格。あくまでも想定額で、必ずしも査定額で売却できるわけではない

◎不動産の売却を検討し始めた段階では机上査定を、不動産の売却を決めた段階では訪問査定をと検討段階によって使い分ける

この記事をもとに不動産査定の種類を把握して、今の状態に合う方法で査定依頼ができるようになることを願っています。

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  • スムナラ編集部の編集長。常に物件購入者の方の役立つ情報をお届けできるよう日々努力している。

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