「不動産仲介業者を利用して売買をしたときにトラブルになるのは、どのような場合?」
「トラブルの多い事例を知りたい」
そのように、お悩みではないでしょうか。
不動産売買を業者に仲介してもらった際のトラブルは、重要事項の説明や契約の解除などに関して、売買の内容や条件の理解が不十分なために起こる場合が多くなっています。
公益財団法人不動産流通推進センター「不動産業統計集」の2021年度最新データによると、不動産の取引に関して国土交通省及び都道府県に苦情や紛争相談があった総件数は1,374件もありました。
なお、売買の仲介におけるトラブル内容は以下のとおりです。
上記のとおり、売買契約に関する重要事項の説明が不十分で引き渡し後トラブルに発展したり、契約を解除しようとしたら想定外の違約金を請求されたりする事例が、多く発生しています。
このようなトラブルは決して他人事ではなく、取引のさまざまなシーンで誰にでも起こり得るものなので、トラブル回避の対策を取り自衛することが必要です。取引の各段階でポイントを押さえたトラブル回避策を取っておかなければ、次にトラブルに巻き込まれるのは、あなたかもしれません。
そこで今回は、仲介業者を利用する際のトラブルを回避するために押さえるべきポイントを、ご紹介します。
- 【最新データ】不動産仲介業者利用時のトラブル事例トップ10
- トラブルにならないための不動産業者の選び方
- 不動産仲介業者とのトラブルを避けるためのポイント
- トラブルになったらまずやるべきこと
この記事の最後では、取引の各段階におけるトラブル回避のためのチェックポイントもまとめています。
不動産仲介業者とトラブルなくスムーズに売買を行うために、ぜひ参考にしてみてください。
1.【最新データ】不動産仲介業者利用時のトラブル事例トップ10
冒頭でも述べたとおり、不動産仲介業者を利用して売買をする際には多くのトラブルが起こっています。重要事項の説明や報酬の支払いといった不動産売買をするなら誰もが関係のある一般的な手続きの中で、多くのトラブルは起こります。
公益財団法人不動産流通推進センター「不動産業統計集」の2021年度最新データをふまえてランキング形式でお伝えすると、売買の仲介におけるトラブル事例トップ10は以下のとおりです。
よくあるトラブルの内容を具体的に把握しておけば、「どのようなとき、何に注意すればよいのか」がわかるようになります。
ここでは各トラブルについてわかりやすく解説しますので、参考にしてください。
1-1.【1位】重要事項説明に関するトラブル
重要事項説明に関するトラブルとは、売買契約を結ぶ直前に説明する登記の状態や法令上の制限などについて仲介業者の説明が足りず、売主と買主の情報共有が不十分なまま不動産を売買し、後でトラブルになってしまうというものです。
重要事項説明は法律で売買契約前に行うことが義務付けられており、主に
- 登記やインフラの状況など、物件に関する重要ポイント
- 住宅ローンの内容や違約金など契約条件に関すること
- 売買する物件の構造などの基本情報や、将来の周辺の建築計画
などについて説明します。
上記の重要事項説明の内容について十分に情報共有しないまま物件を売買してしまった際に考えられるトラブル例は、次のとおりです。
- 登記名義人以外と売買契約を結んでしまい、購入後物件の移転登記ができなかった
- 周辺の建築計画をきちんと共有せずに契約し、売買代金の減額を求める訴訟に発展した
トラブルを避けるためには、売主・買主はそれぞれ次のようなことに注意する必要があります。
- 売主は、重要事項説明書の記載内容に間違いや抜けがないか十分に確認する
- 買主は、権利関係や物件の法的な制約・劣化状態などのマイナス面について必ず確認する
1-2.【2位】契約の解除に関するトラブル
契約の解除をしようとしたら、払わなくてもよいと思っていた違約金などを相手方から要求されてしまうのが、契約の解除に関するトラブルです。事前に不動産仲介業者から解除の条件が十分に伝えられていないと起こります。
例えば、
- 手付金を放棄して解除しようとしたら、違約金が発生すると言われた
- 売買契約の締結後ローン審査に通らなかったことが判明したが、解約にはお金がかかると言われた
という事例が考えられます。
上記のようなトラブルは、不動産仲介業者が説明する際に契約書の記載内容をきちんと確認しなかったために起こります。
契約解除に関するトラブルを予防するには、契約書に署名捺印する前に必ず目を通し、わかるまで不動産仲介業者に確認することが必要です。
1-3.【3位】報酬に関するトラブル
仲介業者に不動産売買の媒介を依頼する事に対する報酬(手数料)の金額が法律の上限額より多かったり、別の名目で請求されたりすることによって発生するのが、報酬に関するトラブルです。
報酬に関するトラブルの具体例としては、次のようなものがあります。
- 仲介手数料に加えて、広告宣伝費やコンサルティング手数料という名目でさらに手数料を請求された
- 法律で決まっている上限額を超えた仲介手数料を請求された
仲介手数料がどういう費用なのかわからないままにしておくと、上記のようなトラブルに巻き込まれやすくなります。また、複数社を比較せずに業者を決めてしまった場合にも、手数料が高いことを見抜けずそのまま契約してトラブルになりがちです。
報酬に関するトラブルを予防するには「不明点をそのままにしないこと」、業者を選ぶ際は「複数社を比較して決めること」が大切です。
仲介手数料の上限などについてより詳しくは、不動産仲介手数料について書かれたこちらの記事をご確認ください。
1-4.【3位】媒介に関する書面の交付についてのトラブル
不動産の売買を仲介してもらうために不動産仲介業者と媒介契約を結ぶ際に、媒介契約の内容に関する業者からの説明が不十分だと、希望どおりの仲介が受けられずトラブルに発展することがあります。このようなトラブルを、媒介に関する書面の交付についてのトラブルと言います。
媒介に関する書面とは法律で定められている書類で、媒介契約を結ぶ際に仲介業者が依頼者に渡さなくてはいけません。媒介に関する書面には、次のような「仲介業者に何を仲介してもらうのか」がわかるような内容を記載します。
- 売買すべき価額又はその評価額
- 媒介契約の種類
- 指定流通機構への登録に関する事項など計8項目
業者から媒介に関する書面の交付を受けていなかったり説明が不十分だったりすると、次のようなトラブルが起こる場合があります。
- 指定流通機構(レインズ)への登録をしてもらえると考えていたのに登録されておらず、売却に時間がかかってしまった
- 複数の不動産仲介業者と媒介契約をするつもりでいたが、他社と契約ができない専属専任媒介契約を結んでしまっていた
「どのタイミングで媒介に関する書面をもらって、何を確認しないといけないのか」について、ある程度の基礎知識を持っていないと、上記のようなリスクに巻き込まれやすくなります。
媒介に関する書面の交付についてのトラブルを避けるためには、業者に任せきりにせず、媒介契約を結ぶ前には媒介に関する書面をもらって内容を確認しなければならないことを把握しておくことが必要です。
1-5.【5位】瑕疵に関するトラブル
瑕疵に関するトラブルとは、購入時には知らされていなかった物件の欠陥が見つかったために起こるトラブルです。
不動産の「瑕疵(かし)」とは、老朽化や損傷などの欠点や不良箇所です。
建物の傷み(物理的瑕疵)や振動や騒音(環境的瑕疵)など、さまざまな種類があります。
瑕疵に関するトラブルとして、次のような例が挙げられます。
- 中古マンションを購入したら、購入前に説明の無かった天井からの水漏れが発生し、売買代金の減額をめぐって争いになった
- 給排水管が故障し、損害賠償に発展した
このようなトラブルは、仲介業者の説明が不十分なことにより
- 売買契約前に売主・買主で物件の状態について情報共有が十分にされていない
- 瑕疵があったときにどうするかについて契約書を十分に確認していない
などによって起こります。
トラブルを避けるには、入居後に瑕疵が見つかった場合の取り決めがどうなっているか、契約書を確認しておくことが大切です。また、売主は物件状況等報告書を作成し、売買契約前に買主に説明することでトラブルを予防できます。
より詳しくは、物件状況等報告書について書かれたこちらの記事をご確認ください。
1-6.【6位】相手方等の保護に欠ける行為の禁止に関するトラブル
売買契約を締結・解除する際や申し込みを撤回する際などに、不当な手段で急かしたり阻んだりする行為を「相手方等の保護に欠ける行為」と言います。不動産を買うかどうか検討中に、業者から執拗に早く決めるよう急かされたり、売買契約を解除したいのにお金を返さないと言って邪魔されたりするのが、相手方等の保護に欠ける行為の禁止に関するトラブルです。
- 確約はできないはずなのに、周囲に高い建物は絶対に建たないのですぐに契約するよう言われた
- 申込みを撤回しようとしたら、預り金を返さないと言われた
上記のような相手方等の保護に欠ける行為の禁止に関するトラブルは、業者選びに失敗すると発生しやすくなります。
相手方等の保護に欠ける行為の禁止に関するトラブルを予防するためには、信頼できる業者を選ぶことが必要です。業者選びのポイントについて詳しくは、「3.トラブルにならないための不動産仲介業者の選び方」で説明します。
1-7.【6位】契約締結等時期の制限に関するトラブル
不動産売買においては、不完全な物件を購入して損害が出ないように契約を締結してもよい時期の制限があるにもかかわらず、業者がこれを守らず売却してトラブルになるのが、契約締結等時期の制限に関するトラブルです。
契約締結等時期の制限とは、「開発許可や建築確認などが終わっていない未完成の物件を売ってはいけませんよ」という決まりです。宅地建物取引業法第36条1項などに定めがあります。
例えば、次のようなトラブルが考えられます。
- マンションを購入する契約をしたら、建築確認が下りる前の物件で、購入の決め手となった設備が作られないことになった
- 大規模の修繕が行われると聞いて契約した中古マンションの修繕の建築許可が下りなかった
契約締結等時期の制限に関するトラブルは、契約締結等時期の制限を守らないようなモラルの欠如した業者を選ぶことで起こります。契約締結等時期の制限について買主が自力で確認するのは難しく、業者に頼らざるを得ないためです。
信頼できる業者選びのポイントは「3.トラブルにならないための不動産仲介業者の選び方」で詳しく解説します。
1-8.【8位】契約内容に係る書面の交付に関するトラブル
引き渡し時期や支払代金など不動産売買契約の具体的な内容について、不動産仲介業者からの説明が不十分な場合に起こるのが、契約内容に係る書面の交付に関するトラブルです。
具体的な不動産売買契約の内容とは、以下のような事項を指します。
業者が買主に上記の内容を伝える際は、「契約内容に係る書面」を買主に渡したうえで説明します。なお記載内容が満たされていれば、売買契約書の中にまとめて記載しても問題ありません。
重要なことは、必ず記載しなければいけない事項がきちんと網羅されているかどうかです。
- 代金が記載されておらず、後々支払額でもめた
- 引き渡し時期が明記されておらず、想定した時期より引き渡しが遅いとしてトラブルに発展
不動産売買契約の具体的な内容の説明が不十分なままに契約を締結してしまうと、上記のようなトラブルに巻き込まれやすくなります。
仲介業者に依頼する場合でも、売買契約書や契約内容に係る書面の中身は自分で確認し、納得してから契約することがトラブル回避に有効です。
1-9.【9位】手付金、中間金等の返還に関するトラブル
手付金や中間金等の返還を受けられると思っていたのに返還されないといった事例が、手付金・中間金等の返還に関して多いトラブルです。
手付金・中間金には、以下のような特徴があります。
手付金や中間金について特に注意しておきたいのが、次のような事例です。
- 手付金や中間金を支払ったあとで、不動産仲介業者が倒産した
不動産仲介業者が倒産した場合でも、保全措置が講じられていれば手付金は戻ってきます。
保全されているのか、手付金や中間金を渡すタイミングで必ず仲介業者に確認しておきましょう。
1-10.【10位】預り金・申込証拠金等の返還に関するトラブル
購入をキャンセルした場合には不動産仲介業者から返ってくるはずの預り金や申込証拠金が返ってこないというトラブルが、預り金・申込証拠金等の返還に関するトラブルです。
預り金や申込証拠金は、購入を検討している物件を一時的に仮押さえするために不動産仲介業者に預けるお金なので、購入をキャンセルした場合は原則として戻ってきます。
ただし、「預り金や申込証拠金であることが不明確である場合は、返還しないでよい」旨の合意のもとに渡していた場合は、返ってこない可能性もあります。
安易に不動産仲介業者にお金を渡すのではなく、渡す場合には「どういう名目・返還条件のお金なのか」をはっきりさせて渡すことが、トラブル回避につながります。
1-11.【10位】誇大広告等の禁止に関するトラブル
禁止されているにもかかわらず明らかに事実と異なることを掲載した誇大広告によって、希望とは違う物件を購入してしまうトラブルが、誇大広告等の禁止に関するトラブルです。
例えば、次のような事例が考えられます。
- 実際は騒音がひどいのに「静寂のすまい」などと表現する
- 数年以内に隣接地に高い建物が建ち日照が遮られることがわかっているのに、「日当たり抜群」と宣伝する
不動産仲介業者の広告や担当者のセールストークだけを鵜吞みにしてしまうと、上記のようなトラブルに巻き込まれ、希望とは異なった物件を購入する羽目になってしまいます。
具体的な物件情報や現地を自分の目で確認するなど、不動産の所在地や現状を明確にしたうえで契約することが、誇大広告等の禁止に関するトラブルの予防には効果的です。
2.不動産仲介業者トラブルに巻き込まれないために大事なこと
不動産仲介業者トラブルに巻き込まれないためには、予防策と「もしも」のときの対応策を把握しておくことが大切です。
なぜ上記のポイントが効果的なのか、解説します。
2-1.正しく不動産仲介業者を選ぶ
トラブルを回避したいなら、信頼できる相談しやすい担当者のいる不動産仲介業者を選ぶことがとても重要です。
トップ10で紹介したトラブルのほとんどは、説明をきちんと行い法に定められた義務や禁止事項を遵守する仲介業者を選ぶことで、発生リスクが抑えられます。
例えば【1位】重要事項説明に関するトラブルは、物件・契約条件・周辺環境などに関する不動産仲介業者の説明が足りず、売主と買主の情報共有が不十分なまま不動産を売買することが原因です。
このように、丁寧に説明しない業者や依頼者の話をきちんと聞かず質問をしにくい業者などを選ぶと、物件や契約の内容を正確に把握できず、トラブルに発展しやすくなります。
正しく不動産仲介業者を選ぶポイントは「3.トラブルにならないための不動産仲介業者の選び方」で詳しく解説しますので、参考にしてくださいね。
2-2.トラブルにならないための予防策を知る
よい不動産仲介業者を選ぶのはもちろんですが、売主・買主自身も売買手続きの流れを把握し、各段階で簡単な確認作業を行うようにするだけで、トラブルを格段に減らすことができます。
トラブルのほとんどは、「いつ何をすべきか」という手続きの流れや物件・契約の内容を正しく理解していないため、業者の言いなりになったり条件を誤解したりして起こるからです。
例えば【1位】重要事項説明に関するトラブルにおいても、
- 重要事項説明のタイミングでは、不動産仲介業者から物件・契約条件・周辺環境などの詳しい話を聞く必要があることを認識する
- 重要事項説明書や契約書をきちんと確認し、不明点は不動産仲介業者に聞く
の2つができていなかったために起こっています。
そのため、売買手続きの流れを把握し自分で確認するという予防策を取ることが、不動産仲介業者トラブルに巻き込まれないために大切なのです。
いつ、何を確認すればどういうトラブルを防げるのかを「4.トラブルを予防するためのポイント3つ」で、わかりやすく紹介します。
2-3.トラブルが発生したときの対策を知る
トラブルは発生させないことが時間も労力もかからず一番ですが、もし起きてしまったらどうすればよいのかを知っておくことも、トラブル対策として必須です。
トラブルが発生した場合の対処法を知らないと、どうしてよいのかわからず手をこまねいている間に事態がどんどん悪化する羽目に。発生したトラブルを最小限の被害で抑えるには、すぐに事態の収拾に動き出せることが重要なのです。
「もしものときも落ち着いて何をすればよいのかわかるようになりたい!」という方は「5.トラブルになったらまずやるべき3つのこと」を参考にしてください。
3.トラブルにならないための不動産仲介業者の選び方
トラブルに巻き込まれないためには、次の3つのポイントを押さえて業者選びをしましょう。
適切な業者選びは、トラブル事例トップ10すべてに効果的です。
「何となく見つけた業者に頼んだら、大きな損害が出てしまった!」なんてことにならないよう、ここで紹介するポイントを参考にして適切な業者を選んでくださいね。
3-1.複数の不動産業者を比較する
トラブルのリスクを減らしてくれる業者に出会うには、必ず複数の不動産業者を比較してから選びましょう。「良さそうなお店があったので、1件目で決めました!」という決め方は、リスキーなので絶対にやめてください。
業者を比較する際は、複数の不動産業者から見積もりを取って金額や内訳を比較します。
見積もりを取る際は、一括査定を活用すると便利です。
一括査定結果を比較することで、
- 各費用の適切な相場がわかる
- 諸手数料やオプションが必要なのかどうか判断できる
ため、適正でない価格や報酬を提示するような悪意のある業者を除外できるようになります。
不動産一括査定サイトにはいろいろ種類があるため、どのサイトを活用すべきか迷いますよね。
一括査定サイトは自分に合うものを選ぶことで、自分の知りたい情報をより詳しく入手できるようになります。一括査定サイトの選び方について詳しくは、不動産の査定の方法やメリットについて書かれたこちらの記事をご確認ください。
3-2.顧客本位の担当者を選ぶ
トラブルを回避するには、不動産業者自体の信頼性に加えて担当者の受け答えも比較し、顧客の立場に立った対応ができる担当者を選ぶ必要があります。
不動産売買では、不動産の営業担当者が手続き全体をサポートするからです。説明のわかりやすさや質問のしやすさなどは担当者によって左右されますから、信頼できる担当者を選ばなくてはいけません。
さまざまな不動産業者の担当者と話をしてみて、次のチェックポイントを参考に、対応のよい担当者を選びましょう。
【顧客本位の営業担当を選ぶためのチェックポイント】
- 専門的な内容を、不動産売買初心者でもわかるように説明する
- ・マイナス面についても教える
- 細かな質問にも丁寧に対応する
- 話をきちんと聞く
- 担当者の意見を押し付けない
- 契約や決断を急がせない
- 対応が難しい条件などに代替案を提案できる
- 不明点はすぐに調べて回答する
担当者とのコミュニケーションがうまくいかないと、重要事項や契約内容を正しく把握できずトラブルに巻き込まれやすくなってしまいます。
複数の営業担当者と話してみて、もっとも顧客本位の対応ができると感じた営業担当者を選び、難しい契約内容もわかるまで気軽に確認できる環境を作りましょう。
3-3.免許を確認する
名前を聞いたことがないような不動産仲介業者との契約を検討する場合は、念のため宅地建物取引業の免許を持っている業者かどうかを確認しておくと、無免許の業者を選ぶ危険がなく安心です。無免許という事例は多くはありませんが、免許の確認は簡単にできますので、詐欺など無用のトラブルを避ける意味で調べておきましょう。
免許の状況は、不動産業者名がわかれば、以下のサイトで確認できます。
- 国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」
上記の「商号又は名称」に不動産仲介業者の名前を入力することで確認できます。
免許の有無に加えて、免許の更新回数も確認しておきましょう。更新回数が多いということは、営業している期間が長いということ。業者選びの際は、更新回数が多いと信頼度が高いと考えてよいでしょう。
更新回数は、免許番号の以下の部分で確認できます。
上記の()内の数字が免許更新回数です。
例えば「2」なら2回更新しているということになります。
宅地建物取引業の免許は5年更新なので、2回更新している場合、少なくとも10年以上は営業しているということです。
営業年数は長ければ長いほど、安心感があります。ただし、年数が短くても誠実に顧客本位の仲介を行う不動産仲介業者がたくさんあるのも事実です。更新回数は、複数の不動産仲介業者で悩んでいて、他に決め手がない場合の参考程度に考えておくのがおすすめです。
4.トラブルを予防するためのポイント3つ
トラブルは、まず起きないようにすることが肝心です。
予防するためには、ポイントが3つあります。
- 要確認タイミングを把握する
- 契約内容を確実に確認する
- わからないままにしない
上記のポイントを心がけるだけで、誰でもトラブル発生リスクを格段に減らすことができます。
トラブルに巻き込まれて無駄な時間やお金を使う羽目にならないように、ぜひ実践してみてください。
4-1.要確認タイミングを把握する
売買手続きの流れの中には、重要な書類をもらうべき・大事な説明を受けておく必要があるといった、トラブルを予防するうえで見逃せない要確認タイミングがいくつかあります。
例えば【3位】媒介に関する書面の交付についてのトラブルは、業者と媒介契約を結ぶタイミングで媒介に関する書面の交付を受け、仲介内容の説明を受けて理解しないといけないことを把握していなかったために起こっています。
また【8位】契約内容に係る書面の交付に関するトラブルも、売買契約を結ぶタイミングで契約内容に係る書面の交付を受け、引き渡し時期や売買代金の額・支払いタイミングなど詳細の説明を聞いておかないといけないことがわかっていれば、防げる事例がほとんどです。
以上をふまえると、代表的な要確認タイミングは次の3つです。
要確認タイミングを把握して、契約の重要情報を聞き逃さないようにしましょう。
4-2.契約内容を確実に確認する
契約書に書かれた内容に目を通し、わからない箇所は業者に確認しておくことも、仲介業者とのトラブルを避けるうえで欠かせません。
売買契約書や重要事項説明書には、
- 売買する不動産について知っておくべきこと
- 手付金や売買代金など、やり取りする金銭に関すること
- 瑕疵がある場合や解除する場合など、不測の事態に関すること
など、契約をスムーズに進めるために知っておくべきことが数多く書かれています。
契約を結ぶということは、契約書に書かれた内容すべてに同意したということです。契約前に必ず内容を把握しておかないと、後から不利な内容や対応できない条件に気付いても、契約どおりにしなくてはなりません。
トラブルを避けるためには、契約前に必ず売買契約書や重要事項説明書の内容を把握しておくことが必要です。
4-3.わからないままにしない
多くのトラブルは、不明確なことや難しくてよくわからないことを放置したために起こります。「わからないことを、わからないままにしない」ことが、トラブルを予防するためにもっとも欠かせないポイントです。
例えば【10位】預り金・申込証拠金等の返還に関するトラブルは、どういう目的で渡すお金なのか
- 返還はされるのか・それはいつかなどを、きちんと確認しておかなかったために発生しています。
このように「よくわからないけれど、一般的に不動産取引ではそうだと業者が言っているから」
と、わからないことをわからないままにしてしまうと、トラブルを避けるのは難しくなってしまうのです。
高額な代金のやり取りや不動産に関する重要な権利関係の変動がある不動産売買では、理解があいまいな場合は、わかるまで不動産仲介業者に確認してから手続きするようにしましょう。
5.トラブルになったらまずやるべき3つのこと
気を付けていたつもりでも、トラブルに巻き込まれる可能性は誰しもあるものです。
そんなときは、まずは落ち着いて次の3つを実践してください。
トラブルが発生した際は、
- これまでに受け取った契約書類などの資料
- トラブルに至るまでの経緯
を、落ち着いて整理することが解決の早道です。
順番に説明していきますので、一つ一つこなしていきましょう。
その積み上げが解決につながります。
5-1.契約時の書類を確認する
不動産売買でトラブルに発展してしまった場合には、まず契約時の書類を確認しましょう。
契約時の書類で、現在トラブルになっている事項についてどのような決まりがあるのかを確認することで、今後どう対処していけばよいのかがわかるためです。
例えば、手付金分のお金を払って契約を解除しようとしたら、追加で違約金を払わないと解除できないと言われトラブルになっている場合には、契約書と重要事項説明書の解除条件に関する項目を見てみましょう。そこに、自分のようなケースでは手付金だけで解除できると書いてあれば、契約内容を理由に違約金の支払いを拒否できます。
探しておきたい契約時の書類は次のとおりです。
- 契約書
- 契約内容に係る書面
- 重要事項説明書
- 媒介に関する書面
書類が見つかったら、現在トラブルになっていることについて、どのように書かれているかを確認し、
- どうすべきかわかったら、直接相手方に反論するか専門家に相談する
- 読んでもよくわからない場合は、「5-3.専門家のアドバイスを聞く」で紹介する相談先に確認してみる
のいずれかを実行しましょう。
トラブルが起こったら「これからどうすればよいのか」を知るためにも、まずは契約時の書類に目をとおしてください。
5-2.証拠やこれまでの経緯を整理する
契約時の書類が確認出来たら、次はどういう経緯でトラブルに至ったのか、これまでにあったことをできるだけ具体的に整理しましょう。書面に書き出しておくのがベストです。また、瑕疵が見つかった場合などは、現場の写真など証拠となりそうなものをすべて集めておいてください。
経緯のわかる資料や証拠があることで、トラブル相手と交渉する際や専門家に相談するときに、相手と正確に状況が共有でき解決の糸口が見えやすくなります。
例えば、ベランダの手すりに腐食が見つかった件で専門家に相談する際に、何の資料もないと現場を見ていない相手は手すりのどの場所にどの程度の腐食があるのかイメージできません。具体的な状態がわからないままでは、正確なアドバイスも難しくトラブル解決に時間がかかってしまいます。
相手方と交渉したり専門家に相談したりする前に、トラブルの経緯や具体的な内容をわかりやすく整理して、トラブルの内容を知らない人にも情報がスムーズに伝わるようにしておきましょう。
5-3.専門家のアドバイスを聞く
契約時の書類を確認しこれまでの経緯を整理したら、専門家のアドバイスを聞いてみましょう。
専門家と話すことで、自分では見落としていた解決のための道筋や整理できていなかった事実関係などが見えてくるからです。
例えば、配管の不備が見つかり補修を求めてもなかなか工事をしてもらえない場合に、専門家が間に入ることでスムーズに話が進む可能性が高くなります。
おすすめの相談窓口を4つ紹介するので、参考にしてください。
- 不動産全般に関する一般的な相談や、全宅保証会員との不動産取引に関するトラブルの相談が可能
- 電話でも来所でも相談可能
- 国土交通大臣指定の相談窓口
- 新築・中古住宅、リフォームに関する幅広い相談が可能
- 弁護士のあっせんも受けられる
- 消費者のさまざまな相談に対応可能
- どこにどう相談すればよいのかすらわからない場合にもおすすめ
- 国が設立した司法に関する相談窓口
- 弁護士への無料相談が可能
- 法律の専門家の意見が聞きたいなら、おすすめ
6.不動産仲介業者の手続きの流れ別トラブル回避のチェックポイント
不動産売買で業者トラブルを回避するうえで重要な段階は、大まかに
- 業者選び
- 業者と媒介契約
- 売買契約前
- 売買契約
です。
それぞれ、ポイントは次のとおりです。
トラブルを確実に回避するためにも、不動産売買手続きの段階ごとに何がポイントなのかを確実に押さえておきましょう。
6-1.媒介契約を結ぶまで
媒介契約を結ぶまでの段階では、
- 適切な業者を選ぶこと
- 媒介契約の内容を必ず確認すること
の2点が特に重要です。
業者選び時は、複数の不動産業者を、査定結果と担当者の対応の両面から比較してみてください。
媒介契約時は、とにかく書類に目を通して、わからないことはすべてわかるまで担当者に聞くようにすることが、トラブル回避につながります。
6-2.売買契約前
売買契約前には、
- 契約前に金銭のやり取りをする場合、何のための金額で返還の条件はどうなっているかを確認する
- 重要事項説明書をもらい、物件の内容を確実に把握する
ことに気を付けましょう。
不動産売買では大きな金額のお金が動くため、業者との少しの認識のズレが大きなトラブルに発展しがちです。
契約を結んでしまう前に、取引する不動産に関する不明点はすべてつぶしておきましょう。
6-3.売買契約時
売買契約時は、
- 売買契約書に書かれていることは、隅々まで確認する
- お金に関すること・解除に関すること・瑕疵の補修に関することは、特に注意して確認する
を心がけてください。
売買契約書には、トラブルが発生した場合にどうするのかが、ほぼすべて書かれています。
トラブルが発生していないとついつい読み飛ばしてしまいがちですが、契約を終えてから読んで「あれ?納得できない」と思っても変更はできません。
「備えあれば憂いなし」ですので、売買契約書の内容は「納得した!」と思えるまで確認しましょう。
7.まとめ
今回は、不動産仲介業者を利用した売買でトラブルにならないためのポイントと、残念ながらトラブルになってしまったときにやるべきことを解説しました。
不動産仲介業者利用時のトラブル事例トップ10は、公益財団法人不動産流通推進センター「不動産業統計集」の2021年度最新データによると、以下のとおりです。
トップ10で紹介したようなトラブルを避けるためには、不動産業者を選ぶ際に、
- 複数の不動産業者を比較して選ぶ
- 担当者の対応がよい業者を選ぶ
ことを心がけましょう。
不動産仲介業者とのトラブルを予防するには、以下の3つも合わせて実践してください。
- 要確認タイミングを把握する
- 契約内容を確実に確認する
- わからないままにしない
それでもトラブルになってしまったら、
- これまでに受け取った契約書類などの資料
- トラブルに至るまでの経緯
を、落ち着いて整理することが解決の早道です。
トラブルは、ポイントを押さえた予防策を取ることで、格段に減らすことができます。
またトラブルになってしまった際も、正しい手順で対応することで早期解決が望めるものです。
トラブルなくスムーズに取引を進めるため、当記事をご活用ください。
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