「土地相続の相談はどこにすれば良いのだろう?」
「土地相続の相談先は、どのように選べば失敗しないのだろうか?」
この記事を読んでいる方は、このようなお悩みを持っているのではないでしょうか。
詳しくは後述しますが、土地相続の相談先は内容によって変わります。以下が、土地相続に関する相談内容別の相談先一覧です。
上記の相談先は、それぞれできることが異なります。このため、土地相続に関する相談をしたいときは何について相談したいのかを明確にし、相談内容に対応できる相談先を選ばないと解決までに手間と時間を要するため注意しなければなりません。
この記事では、土地相続の相談をどこにすべきかを判断する上で知っておくべき次の知識をまとめています。
- 【相談内容別】土地相続に関する相談先
- 土地相続の相談先でかかる費用
- 土地相続に関する相談先の探し方と選び方
- 土地の相続で失敗しないために注意すべきこと
読んでいただくことで、以下のことをお分かりいただけるようになります。
- 今抱えている土地相続に関する相談は、どこにするのが適切なのか
- 実際に土地相続の相談をすると、どのくらいの費用がかかるのか
- 数ある土地相続の相談先の中から、どこを選べば良いのか
土地相続の相談先を適切に選んでいただくためにも、ぜひ最後までご覧ください。
1. 【相談内容別】土地相続に関する相談先7つ
冒頭でも取り上げましたが、土地相続に関する相談先は、何を相談したいかによって異なります。以下が、土地相続に関する主な相談内容別に適切な相談先を示した表になります。
上記の相談先は、それぞれ対応可能な範囲が決まっています。
「何となくこの相談先で解決できるのでは?」というようなあいまいな基準で相談先を選んでしまうと思うように解決できなかったり、そもそも相談したい内容に対応していなかったりする恐れが生じます。そうなると、再度相談先を選ばなければなりません。
このため、今抱えている土地相続に関する疑問や悩みはどこに相談すれば解決できそうか、実際に問い合わせる前に知ることが大切です。
では、土地相続に関する相談先について詳しく説明していきましょう。
1-1. 土地相続に関する大まかな概要を知りたいときは「役所」
土地相続に関する大まかな概要を知りたいときの相談先としては、市区町村の役所が良いです。
市区町村の役所には、
- 市民相談室
- 市民相談窓口
- 一般相談窓口
など市区町村によって名称は異なりますが、日常生活で発生する問題の相談に応じてくれる窓口があります。その相談できる内容の1つに、相続があるのです。
では、市区町村の役所ではどのようなことを相談できるのか、また相談する上で気を付けておきたいことは何かを説明していきましょう。
1-1-1. 役所で相談できること
市区町村によって異なる場合もありますが、役所の相談窓口では以下のような相続に関する相談を行えます。予約制で、1回30分程度の相談時間が設けられていることが多いです。
上記を見てお分かりいただけるように、役所では相続に関する手続きの専門家に相談できます。
ここで、「役所での専門家への相談と、個別で専門家へ相談するのと何が違うの?」と思われた方もいるかもしれませんね。
前述した通り、役所での専門家の相談は1回30分程度と限られています。
このため、土地相続に関する踏み込んだ相談というより、以下のような土地相続に関する知識など簡単な相談をするのに向いているのが役所になります。
- 土地相続に関する手続きの大まかな概要を知りたい
- 土地相続の各手続きを行う上でのポイントを知りたい
土地を相続するのが初めてで、今後どのようなことをすべきかを知って理解を深めたいときは役所に行くと良いといえます。
1-1-2. 役所に相談するときに気を付けたいこと
役所に相談するときに気を付けたいのは、次の4つです。
- 1回の相談は30分程度と時間が限られているため、踏み込んだ相談は行えない
- 相談にのってくれた専門家への仕事依頼はできない
- 1回切りの相談が多く、継続した相談は難しい
- 2回目以降も相談できたとしても、前回と同じ専門家に相談できない
前述した通り、役所での相談は1回30分程度と決まっています。延長は行えないため、踏み込んだ相談はできません。
また、そのとき相談にのってくれた専門家への仕事依頼もできません。たとえば、遺産分割協議書の書き方のアドバイスをもらいに相談へ行ったとき、相談していく上で遺産分割協議書を作成してほしいと思ったとしても、その依頼はできないということです。
役所での相談は1回切りで、2回目以降継続しての相談も難しいです。2回目も相談できたとしても、1回目と同じ専門家を指名することはできません。
専門家への本格的な相談や仕事の依頼を含めて相談したい場合は、役所ではなく次の項目から説明する専門家に個別で問い合わせる必要があることは念頭に置くと良いでしょう。
1-2. 土地相続に必要な書類についての相談は「行政書士」
土地相続に必要な書類についての相談先としては、行政書士が適しています。
行政書士は、主に次の3つを行う「法律に関する書類の専門家」であるため、法律が絡む土地相続の書類作成に関する業務の実績がある人も多いです。
- 行政に提出する書類の作成
- 行政に提出する書類の提出
- 行政に提出する書類に関する相談対応
では、行政書士にはどのようなことを相談できるのか、また相談する上で気を付けておきたいことは何かを説明していきましょう。
1-2-1. 行政書士に相談できること
行政書士に相談できる土地相続関連の内容は、以下の通りです。
土地相続で必要になる書類としては、上記に記載した3つがあり、これらは相続人自身が作成することも可能です。
- 相続関係図(相続人を証明する図表。遺産分割協議で必要)
- 相続財産リスト(相続した財産の一覧表。遺産分割協議で必要)
- 遺産分割協議書(相続した遺産の分割方法を記した書類)
しかし、以下のようなデメリットもあるため、適切な相続が行えずに無効となる恐れがあります。
- 相続関係図…相続人を調査して作成する必要があり、複雑な相続関係であると調査に時間を要する
- 相続財産リスト…正確に作成しないと相続人同士でトラブルになる
- 遺産分割協議書…誤りがあると、①再度作成と②相続人全員の署名と捺印を集めるという手間が発生する
行政書士は上記の書類を作成する業務のプロであるため、相談すれば正しい書類を作成してくれて、土地の相続がスムーズになります。相続関係図や相続財産リストに関しては、調査から行ってくれるため、複雑な場合は相談すると有効です。
1-2-2. 行政書士に相談するときに気を付けたいこと
行政書士に相談するときに気を付けたいのは、次の3つです。
①裁判所に提出が必要な書類の作成と提出はできない(例:相続放棄に関する書類 など)
②法務局に提出が必要な相続登記申請書の作成と提出はできない
③税務署に提出が必要な相続税に関する書類の作成はできない
①は弁護士、②は司法書士、③は税理士でないと行えないことです。
同じ土地相続に関する書類ではありますが、行政書士で対応できる書類は限られていることは注意しなければなりません。
主に相続人で土地を始めとした遺産をどのように相続するかを決めるのに必要な書類を作成できるのが、行政書士と覚えておくと良いでしょう。
1-3. 土地相続のトラブルに関する相談は「弁護士」
土地を相続したけれども、トラブルが発生して相続人では解決できないときの相談先として有効なのは弁護士です。
では、弁護士にはどのようなことを相談できるのか、また相談する上で気を付けておきたいことは何かを説明していきましょう。
1-3-1. 弁護士に相談できること
弁護士に相談できる土地相続関連の内容は、以下の通りです。
土地相続に関して相続人同士でトラブルがおき、当該人では解決できない問題を相談できるのが弁護士です。
相談人である相続人の代理となり、主張をしてくれたり、交渉をしてくれたりと他の相続人との問題解決のために動いてくれます。相続人同士が直接話し合うことはありませんが、弁護士を通して冷静に話し合いを進めることが可能です。
相続人同士の話し合いが進まなければ、家庭裁判所で次の2つの申し立てが発生します。
1. 遺産分割調停
家庭裁判所の調停委員が相続人の仲介に入り、遺産を分ける方法の話し合いを行うこと
2. 遺産分割審判
遺産相続における資料などをもとに裁判官が遺産分割方法を判断すること
上記の場でも弁護士は、以下のように第三者の立場で土地相続に関するトラブルを解決に導くようサポートしてくれます。
- 調停で相続人の代わりに主張してくれる
- 調停で主張すべきことをアドバイスしてくれる
- 家庭裁判所が遠方である場合は、弁護士に代理出席を依頼できる
1-3-2. 弁護士に相談するときに気を付けたいこと
弁護士に相談するときに気を付けたいのは、次の2つです。
- 仲介を依頼すると弁護士に支払う報酬が高額になる
- 家庭裁判所への申し立てが生じ、その手続きも依頼すると費用が追加される
後述することですが、弁護士に関しては、相談であれば初回は無料であったり、有料の場合は30分5,000円や1時間1万円であったりするため、多額のコストがかかることはありません。
しかし、上記のように話し合いの仲介や家庭裁判所への申し立ての手続きを依頼する場合は、弁護士に支払う報酬が高額になる場合が多いです。報酬は依頼する弁護士によって異なりますが、遺産額の6~16%が相場といわれています。
土地の相続には、以下のような様々な諸費用が発生します。
- 相続税
- 登記免許税
- 固定資産税
- 譲渡所得税(相続した土地を売却して利益が生じた場合)
弁護士に相談して仕事の依頼も視野に入れている場合は、費用を考慮すると良いでしょう。
1-4. 相続した土地の登記に関する相談は「司法書士」
相続した土地の登記に関する相談先として適しているのが、司法書士です。
司法書士は、主に次の2つを行う「登記業務の専門家」であるため、相続した土地の登記業務を行える人もいます。
- 不動産登記(土地や住宅といった不動産の名義変更など)
- 商業登記(会社の所在地変更や新たな役員の就任時における変更など)
では、司法書士にはどのようなことを相談できるのか、また相談する上で気を付けておきたいことは何かを説明していきましょう。
1-4-1. 司法書士に相談できること
司法書士に相談できる土地相続関連の内容は、以下の通りです。
相続登記は相続人でも行えることですが、以下のように手間と時間を要することがあり、誤りがあるとスムーズに登記を行えない恐れがあります。
- 被相続人が住んでいた地域を管轄する法務局で手続きしなければならない
- 相続人を証明する戸籍謄本を自分で集めなければならない
- 相続人の判断を正しく行わなければならない
司法書士に相談することで、相続した土地の登記で必要な、相続人を確認できる戸籍謄本の収集から登記関係の書類作成、法務局への登記手続きまで一貫して引き受けてくれます。
相続人を正しく確定して相続登記を行ってくれるため、不慣れで誤りが生じる恐れのある相続人自身が行う相続登記と比べると問題は起きにくいのです。
1-4-2. 司法書士に相談するときに気を付けたいこと
司法書士に相談するときに気を付けたいのは、中には相続登記の実績が少なかったり、専門でなかったりする司法書士もいることです。
このような司法書士に相談すると、たとえば相続人を確認できる戸籍謄本といった相続登記に必要な書類は相続人、もしくは行政書士に依頼して集めるように求められることがあります。
相続登記に必要な書類の収集から法務局での手続きを行ってくれるのが司法書士ですが、あまり実績がなかったり専門外だったりすると、登記の一部しか引き受けてくれないことがあるのです。
このため、相続登記に関する相談は、相続登記に詳しい司法書士にするのが良いといえます。
1-5. 相続した土地の評価についての相談は「不動産鑑定士」
相続した土地の評価についての相談は、不動産鑑定士が良いです。
不動産鑑定士は土地や建物といった不動産の価値の判定や土地の活用方法のコンサルティングを行う人ですが、具体的にどのようなことを相談できるのか、また相談する上で気を付けておきたいことは何かを説明していきましょう。
1-5-1. 不動産鑑定士に相談できること
不動産鑑定士に相談できる土地相続関連の内容は、以下の通りです。
土地を相続すると、土地の評価額によっては相続税が発生します。
土地の評価額は、次の式を用いてご自身で計算することも可能ではあります。
- 路線価 × 土地の面積(路線価方式)
- 固定資産税評価額 × 地域ごとに定められた倍率(倍率方式)
しかし、以下のようなどのくらいの価値を期待できるのかが不明な土地である場合は、専門知識がないと適切な土地の評価額を算出できません。
- 遠方にあって活用が難しい恐れがある
- 将来性を期待できない恐れがある
そこで頼ることができるのが不動産鑑定士です。土地や建物といった不動産の評価・価値を公正に判定する専門家であり、鑑定結果は公的な証明力があるため、その結果は適性な評価額ということができます。
適切な土地の評価額が分かれば、相応の相続税を算出できますし、売却するときの参考にもなります。
1-5-2. 不動産鑑定士に相談するときに気を付けたいこと
不動産鑑定士に相談するときに気を付けたいことは、次の2つです。
- 1回の鑑定で20万 ~ 40万円ほどの鑑定料金が発生する恐れがある
- 相続した土地の評価額の結果が出るのに数週間 ~ 1ヶ月程度の時間を要する
土地を適切に評価することから、1回の鑑定料金が高額になる場合があります。その評価結果が出るまでに数週間、場合によっては1ヶ月程度かかることもあります。
適切な相続税を算出するために土地の評価額を不動産鑑定士に依頼する場合は、相続税の申告と納付に間に合うように相談する必要があります。相続税の申告と納付の期限については、「4-3. 土地相続に関する手続きに期限があることを知る」で説明しているのでご覧ください。
1-6. 土地相続で発生する税金についての相談は「税理士」
土地相続で発生する税金についての相談は、税理士に行うのが良いです。
税理士は、主に次の3つの業務を担う「税金に関する専門家」であるため、相続で発生する税務に関する実績がある人も多いです。
- 税務の代理(確定申告の代理など)
- 税務に関係する書類の作成(確定申告書の作成業務など)
- 税務に関する相談(節税のアドバイスなど)
では、税理士にはどのようなことを相談できるのか、また相談する上で気を付けておきたいことは何かを詳しく説明していきましょう。
1-6-1. 税理士に相談できること
税理士に相談できる土地相続関連の内容は、以下の通りです。
土地相続で発生する税金には、次の2つがありますが、固定資産税に関しては被相続人が支払い終わっていれば相続人が払うことはなく、相続税があれば納めることになります。
- 相続税
- 固定資産税
相続税は、国税庁が公表している「相続税の計算」によると、土地の評価額が分かったら次の流れで計算できるようです。
- 各相続人の課税価格を計算する
- 相続税の総額を計算する
- 各相続人の相続税額を計算する
- 各相続人の納付税額を計算する
ご自身で計算することも不可能ではないですが、知識がないと正確に計算することは難しいといわれています。
相続した土地にかかる税金を正確に計算し、申告の必要があれば正しく申告したいのであれば、税務のプロであり、税金の計算を適切にかつ正確に行える税理士は頼れる存在です。
また、税理士は以下3つのことにも相談に応じてくれます。
- 相続税を節税する方法(小規模宅地等の特例による相続税の非課税 など)
- 相続した土地を売却したときに発生する税金(譲渡所得税など)の計算
- 被相続人の収入を申告する「準確定申告」の代行
相続した土地の評価額によっては相続税が多額となることもあるため、相続人にとっては大きな負担がかかります。そこで税理士に相談をすれば、相続税がなるべくかからないようにする方法を相続人の状況に合わせて提案してくれます。
相続した土地を売却するのであればそのときに発生する譲渡所得税の計算、被相続人が亡くなっている場合は、被相続人に収入があれば準確定申告を代行してくれます。
税理士には、相続税以外で相続した土地で発生しうるあらゆる税金に関する相談ができるのです。
1-6-2. 税理士に相談するときに気を付けたいこと
税理士に相談するときに気を付けたいことは、次の2つです。
- 税理士全てが相続税に詳しいとは限らない
- 相続税が発生しない場合もあるため、相談費用が発生してしまう場合はコストがかかる
司法書士と同様、税理士全てが相続税に詳しいわけではありません。
税金の計算は行えるかもしれませんが、どのように相続すれば節税できるかは、相続税専門の税理士でないと提案できないことがあります。
相続税がいくらになるかは税理士によって差が出るといわれているため、相続税に関する相談は実績のある税理士に相談するのが良いといえます。
また、相続する土地によっては相続税が発生しないこともあるため、相談費用が発生する税理士に相談するとコストが発生する恐れがあるのも注意したい点です。
1-7. 土地相続に関するあらゆる手続きの相談は「ワンストップサービス」
土地相続に関するあらゆる手続きの相談は、ワンストップサービスに行うのが良いです。
ワンストップサービスというのは、土地の相続が発生してから登記までの手続きに関する相談を一貫して対応してくれる機関のことです。一般企業が提供しているケースもあれば、以下のような専門家による法人が運営していることもあります。
- 税理士法人
- 行政書士法人
- 司法書士法人
ワンストップサービスではどのようなことを相談できるのか、また相談する上で気を付けておきたいことは何かを詳しく説明していきましょう。
1-7-1. ワンストップサービスに相談できること
ワンストップサービスに相談できる土地相続関連の内容は、以下の通りです。
ワンストップサービスには、ここまで説明してきた次のような専門家が集結しています。
- 土地相続に関する書類の専門家「行政書士」
- 土地相続に関するトラブル解決の専門家「弁護士」
- 土地登記の専門家「司法書士」
- 土地相続に関する税金の専門家「税理士」
相談内容に応じて専門家を手配し、その手続きを代わりに行ってくれるのです。
このため、土地相続に関する手続きが複数発生しそうな場合は、専門家1人1人に相談するより費用を抑えられ、相談の手間も省くことができるようになります。
土地相続が初めてで手続きが複雑に感じ、一貫して行ってほしいときにもワンストップサービスに相談するのは有効といえます。
1-7-2. ワンストップサービスに相談するときに気を付けたいこと
ワンストップサービスに相談するときに気を付けたいことは、次の2つです。
- 相談件数によってはコストが発生する
- ワンストップサービスによっては、対応していない手続きがある
ワンストップサービスは土地相続に関する手続きを一貫して担うため、相談する内容が税金のみ、あるいは書類作成と登記といったように1~2件であれば専門家個人に依頼した方が費用がかからない場合があります。
ワンストップサービスの多くは、土地相続で発生するあらゆる手続きの相談を一貫して受けてくれますが、中には一部の手続きしか相談を受けていないところもあります。
たとえば、行政書士法人が運営するワンストップサービスであると、以下のような司法書士や弁護士が対応する内容の相談はサービスに入っていない、といった具合です。
- 相続した土地の登記
- 相続した土地に関するトラブル
ワンストップサービスへの相談を考えている場合は、相談したい内容に対応してくれる機関を探す必要があります。
2. 土地相続の相談先でかかる費用比較表
ここまでお読みいただいて、ご自身が抱えている問題はどこに相談すれば良いかをお分かりいただけたかと思いますが、次に知りたいのが費用ではないでしょうか。
以下が、「1. 【相談内容別】土地相続に関する相談先7つ」で説明してきた専門家に相談するときの費用の目安になります。
上記はあくまで目安であり参考程度にご覧いただきたいのですが、見てお分かりいただけるように、相談であれば無料で応じてくれる専門家は多いです。
また、弁護士の場合が多いですが、初回の相談は無料でも2回目以降は有料となることもあります。有料の場合は、1時間5,000円 ~ 1万円ほどが目安になります。1時間の相談で解決できればこの費用以上はかかりませんが、1時間以上かかる場合はその分の費用が発生することは念頭に置きたいところです。
ただし、相談して実際に手続きなどを依頼する場合は、その相談先に依頼料(報酬)を支払わなければなりません。
相談費用は相談先によって異なるため、以下のことを各相談先へ直接問い合わせたり、公式ページを確認したりして把握するようにしましょう。
- 相談だけであれば無料であるか
- 1回の相談料はいくらか
3. 土地相続に関する相談先の探し方と選び方
ここまで土地相続に関する相談先について相談内容別に説明してきましたが、これらの相談先は
- どのように探せばよいのだろうか
- 複数いる場合は、どのような人を選ぶべきだろうか
といった疑問もあるのではないでしょうか。
そこでこの章では、土地相続に関する相談先の選び方を「1. 【相談内容別】土地相続に関する相談先7つ」で紹介してきた7つの相談先別に説明していきましょう。
3-1. 役所の場合
役所に相談する場合、その探し方と選び方は次の通りです。
3-1-1. 役所の探し方
役所は、被相続人が住んでいた地域にある役所を探します。
土地相続の手続きに必要な戸籍謄本や住民票といった書類から、被相続人の登記簿上の住所を確認できるからです。
インターネットで地域名、もしくは市区町村名を検索すれば、その役所の公式ページを見つけることができます。
3-1-2. 役所の窓口の選び方
役所に相談するときは、一般市民が土地相続について相談できる窓口を選ぶ必要があります。
市区町村によって異なりますが、相談窓口は以下のような名前が多いです。
- 市民相談室
- 市民相談窓口
- 一般相談窓口
相談窓口の名称は、役所の公式ページに記載されているので確認してみてください。
相談窓口について記載がない場合、あるいは公式ページのどこに記載されているか分からない場合は、役所に連絡を取って土地相続について相談したい旨を説明すれば、適切な窓口を案内してくれることもあるため、その方法でも問題ありません。
3-2. 行政書士の場合
行政書士に相談する場合、その探し方と選び方は次の通りです。
3-2-1. 行政書士の探し方
行政書士は、主に以下2つの方法で探せます。
①インターネットの検索で探す
②日本行政書士会連合会の公式ページにある行政書士会員検索で探す
①では行政書士と併せて「相続」というキーワードも入れて検索をすると、相続関連の行政書士を見つけられます。
②では事務所の所在地と主な取扱業務で行政書士を探せます。主な取扱業務で相続を選択すれば、相続専門の行政書士を確認できます。
3-2-2. 行政書士の選び方
行政書士も相続業務の実績がある人であれば、相続関連の書類作成を一括して依頼する相談が可能です。
しかし、一部の書類だけ作成してほしかったり、あるいは書類作成のアドバイスだけほしかったりと目的に合わせて相談したい場合は、依頼内容をカスタマイズして相談できるような行政書士を選んだ方が融通が利くでしょう。
行政書士が所属している事務所や団体の公式ページを見たり、問い合わせをしたりして確認することをおすすめします。
3-3. 弁護士の場合
弁護士に相談する場合、その探し方と選び方は次の通りです。
3-3-1. 弁護士の探し方
弁護士は、主に次の2つの方法で探すことができます。
①インターネットの検索で探す
②ポータルサイト「相続弁護士ナビ」で探す
①では弁護士と併せて「相続」というキーワードも入れて検索をすると、相続に強い弁護士を探せます。
②は土地といった遺産相続に関する情報を掲載しているポータルサイトであるため、相続問題に強い弁護士を見つけることが可能です。地域と相続問題の中でも特に相談したい分野に絞って探せます。
3-3-2. 弁護士の選び方
相談する弁護士は、相続の実績があるのはもちろん、相談者にとってリスクとなる情報を教えてくれる人を選ぶと良いです。
弁護士は相続のトラブルを解決する専門家ではありますが、弁護士に相談したからといって絶対に相談者側が有利になるとは限りません。不利となる情報を伝えてくれる弁護士であれば、相談者に寄り添って問題を解決してくれる可能性が高いといえます。
弁護士への相談は初回であれば無料であることが多いので、相続に強い弁護士を数人絞ったら無料相談に行きどのような弁護士であるかを確認して、次回以降も相談するかどうかを決めても良いでしょう。
3-4. 司法書士の場合
司法書士に相談する場合、その探し方と選び方は次の通りです。
3-4-1. 司法書士の探し方
司法書士は、主に次の3つの方法で探すことができます。
①インターネットで検索して探す
②日本司法書士会連合会の公式ページに記載の司法書士検索ページで探す
③日本司法書士会連合会の公式ページに記載の司法書士総合相談センター一覧から探す
①では司法書士と併せて「相続」というキーワードも入れて検索をすると、相続に強い司法書士を探しやすくなります。
②では都道府県別の司法書士会や地域を指定して司法書士を探せます。
③では都道府県別の司法書士総合相談センター一覧から最寄りのセンターを探し、そのセンターへ問い合わせて司法書士を探す方法になります。
3-4-2. 司法書士の選び方
司法書士は、相続登記の実績がある人を選びましょう。
司法書士であれば誰でも相続登記に強いわけではなく、相続登記に必要な書類は相続人自身で取得するよう求める人もいることは「1-4-2. 司法書士に相談するときに気を付けたいこと」でも説明した通りです。
相続登記に必要な手続きを一貫して行ってきた実績があれば、相続人の手間を省くことができますし、正確な相続登記を行えます。
相続登記の実績があるかどうかは、次の方法で確認することをおすすめします。
- 司法書士が所属する事務所や団体のホームページやブログを見る
- 司法書士が所属する事務所や団体のメールに問い合わせる
3-5. 不動産鑑定士の場合
不動産鑑定士に相談する場合、その探し方と選び方は次の通りです。
3-5-1. 不動産鑑定士の探し方
不動産鑑定士は、主に次の2つの方法で探すことができます。
①不動産鑑定業務を担う企業に問い合わせる
②公益社団法人「日本不動産鑑定士協会連合会」の公式ページに記載の、不動産鑑定相談所に問い合わせる
①はインターネットで不動産鑑定業務を担う企業を検索して探していく方法になります。
②は、公益社団法人「日本不動産鑑定士協会連合会」の公式ページにある不動産鑑定相談所の一覧から探す方法です。この一覧には都道府県別の不動産鑑定相談所が記載されていて、各相談所の公式ページに飛ぶことができます。相続する土地のある地域の相談所から不動産鑑定士を探せます。
3-5-2. 不動産鑑定士の選び方
不動産鑑定士であれば誰でも土地を適切に評価してくれるとは限りません。
数いる不動産鑑定士から失敗しないためには、以下の条件を満たす人を選ぶと良いといえます。
- 土地といった不動産売買の取引で実績があるか
- 相続した土地のある地域での鑑定実績があるか
特に土地の売買の実績があれば、土地を売るのに評価をしている機会が多いわけですから安心して依頼することが可能です。
土地といった不動産は、地域によって相場が異なります。このため、相続した土地のある地域での鑑定実績があれば、相場が分かっている可能性が高いので適切な鑑定をしてくれるでしょう。
不動産鑑定士の実績については、次の方法で確認することをおすすめします。
- 鑑定士が所属している企業や団体のホームページやブログを見る
- 鑑定士が所属している企業や団体のメールに問い合わせる
3-6. 税理士の場合
税理士に相談する場合、その探し方と選び方は次の通りです。
3-6-1. 税理士の探し方
税理士は、主に次の2つの方法で探すことができます。
①インターネットで検索して探す
②日本税理士会連合会の公式ページに記載の税理士情報検索サイトで探す
①では税理士と併せて「相続」というキーワードも入れて検索をすると、相続専門の税理士を探しやすくなります。
②では以下の方法で税理士を探せますが、相続専門の税理士を探す場合は「条件を指定して検索」を選ぶと良いです。
- 税理士の名前や所在地で検索
- 条件を指定して検索
- 地域や所属会から検索
主要取扱業務として「相続税」を選んで、該当する税理士を探すことができます。地域を絞ることも可能です。
3-6-2. 税理士の選び方
税理士は、以下の条件を満たす人を選ぶと良いです。
- 土地相続の実績があるか
- 相続した土地のある地域での実績はあるか
- 相続税を節税できる土地の相続方法を提案してくれるか
- 相談だけであれば無料で応じてくれるか
税理士全員が土地相続に詳しいとは限りません。このため、税理士であれば誰でも良いと思って報酬の安さだけで税理士を選ぶと失敗する恐れがあります。
土地の相続は被相続人が住んでいた地域で手続きを行うため、不動産鑑定士と同じようにその地域での実績があると良いです。土地の評価を行える税理士もいるので、その地域での実績があれば地域性を踏まえて土地を評価し、適切な相続税を算出してくれる可能性があります。
税理士によって、算出する相続税は異なります。相続人としては、相続税をなるべく抑えたいのではないでしょうか。相続税を節税できる土地の分割方法を提案してくれる税理士は信頼できます。
相続税は、相続した土地の評価額によっては発生しないこともあるため、相談費用が発生する税理士に相談すると無駄な費用が発生してしまいます。相談だけであれば無料で応じてくれる税理士を選ぶと良いでしょう。
3-7. ワンストップサービスの場合
ワンストップサービスに相談する場合、その探し方と選び方は次の通りです。
3-7-1. ワンストップサービスの探し方
ワンストップサービスは、以下のキーワードでインターネット検索すると見つけやすくなります。
- 相続 ワンストップサービス
- 相続 手続き代行
地域を指定したい場合は、地域名を入れると良いでしょう。
3-7-2. ワンストップサービスの選び方
ワンストップサービスを選ぶときは、ご自身が相談したい内容に対応してくれるかを、ワンストップサービスの公式ページを見たり、問い合わせで確認したりしてみるのが良いです。
たとえば、以下の3つを相談したいのであれば、行政書士と税理士、司法書士による手続きの相談を受けてくれるワンストップサービスを選ぶといった具合です。
- 相続に関する書類作成
- 相続税の申告
- 相続した土地の登記
特に専門家の法人(行政書士法人や税理士法人など)が運営するワンストップサービスは、相続で発生する手続き全ての相談業務を担っていないところもあるので注意しましょう。
4. 土地の相続相談で失敗しないために注意すべきこと4つ
最後に、土地の相続相談で失敗しないために注意すべき4つのことを説明します。
- 土地相続に関する何を相談したいのかを明確にする
- 土地相続に関する相談先の対応範囲を把握する
- 土地相続に関する手続きに期限があることを知る
- 土地相続の相談内容によっては司法書士の方が良い場合がある
1つずつ見ていきましょう。
4-1. 土地相続に関する何を相談したいのかを明確にする
1つ目は、土地相続に関する何を相談したいかを明確にすることです。
- 土地相続で発生する税金が分からないのか
- 土地相続の名義変更の方法について知りたいのか
といったように、具体的にしておけば相談すべき専門家を絞ることができます。
特に土地の相続は法律が絡むことが多いため「弁護士に相談すれば、何とかなるだろう」と思って弁護士に相談するケースが多いようです。
しかし、「1-3. 土地相続のトラブルに関する相談は「弁護士」」で説明したように弁護士が相談に応じることができる内容はトラブルがメインのため、相談の内容によっては対応できないのは注意しなければなりません。
そうなると、一から相談先を探して問い合わせなければなりません。相談費用が無料であれば、手間がかかっても問題ないかもしれませんが、相談費用が有料の専門家である場合は無駄なコストがかかってしまいます。
余計な手間と費用をつくらないようにするためにも、土地相続について誰かに相談したいときは、相談内容を明確にすることは非常に重要です。
4-2. 土地相続に関する相談先の対応範囲を把握する
2つ目は、土地相続に関する相談先の対応範囲を把握することです。
- 土地相続に関する大まかな概要を知りたいときは「役所」
- 土地相続に必要な書類についての相談は「行政書士」
- 土地相続のトラブルに関する相談は「弁護士」
- 相続した土地の登記に関する相談は「司法書士」
- 相続した土地の評価についての相談は「不動産鑑定士」
- 土地相続で発生する税金についての相談は「税理士」
- 土地相続に関するあらゆる手続きの相談は「ワンストップサービス」
ではあるのですが、上記の専門家全てが土地相続に精通している、あるいは専門であるとは限りません。同じ専門家でも得意分野は異なることは、知っておく必要があります。
たとえば、土地相続で発生する税金を計算してほしい場合は税理士に相談できますが、相談した税理士が土地相続の実績がない、あるいは専門外であるといった具合です。土地相続に関する相談は対応範囲外である場合は、土地相続に精通している専門家を一から探さねばなりません。
専門家を探せた場合はすぐに相談予約をするのではなく、問い合わせをしたり、公式ページを見たりして土地相続に関する相談の実績があるかをまず確認しましょう。
土地相続に関する相談の実績があれば、専門家を訪問して相談することをおすすめします。
4-3. 土地相続に関する手続きに期限があることを知る
3つ目は、土地相続に関する手続きに期限があることを知ることです。
相続関連の手続きの全てに該当するわけではありませんが、中には相続が発生した日から特定の日までに手続きを行わなければならないことがあります。以下は、相続関連で発生する手続きとその期限をまとめた表になります。
相続した土地を以下のように対応する場合は上記の手続きが必要になりますが、これらは相続が発生した日から3ヶ月以内に行う必要があります。
・相続を放棄する
→ 相続放棄
・土地の財産(プラスの財産)内で借金(マイナスの財産)を引き継ぐ
→ 限定承認
相続人が被相続人の代わりに確定申告をする「準確定申告」は被相続人が亡くなっている場合に行う手続きですが、こちらは相続が発生した日から4ヶ月以内に行わなければなりません。
相続税は、課税が生じると判明した場合は相続した日から10ヶ月以内に申告と納付を行うことが求められます。
上記の期限内に手続きを終えられないと、以下のようなデメリットを受けることになるのは注意しなければなりません。
- 手続きによって行いたいことができない
- 相続税の場合は延滞税が発生したり、軽減制度を利用できなかったりして余計な費用がかかる
このため、上記の相談内容が生じそうであれば、その期限までに各専門家に相談して、必要な手続きを踏むことをおすすめします。
- 相続放棄と限定承認…弁護士
- 準確定申告と相続税…税理士
4-4. 土地相続の相談内容によっては司法書士の方が良い場合がある
4つ目は、土地相続の相談内容によっては司法書士の方が良い場合もあることです。
司法書士は、相続した土地の登記に関する専門家であることは「1-4. 相続した土地の登記に関する相談は「司法書士」」で説明した通りですが、実は他にも土地の相続に関して対応できることがあります。それが、次の3つです。
- 遺言書の検認
- 遺産分割協議書の作成
- 相続放棄の手続き
上記3つは自分で行えるものであり、2に関しては行政書士に相談できることをお分かりいただけるでしょう。
もし、相続した土地の登記の他に、上記についても相談したいという場合は、自分で行ったり、専門家に相談したりしなくても、司法書士に相談すれば一貫して対応してくれる可能性があります。そうすれば、わざわざ専門家を探す必要がなく、自分で手続きを行うこともありません。
上記業務に精通していたり、専門だったりすることが前提ではありますが、手間とコストをかけずに土地相続をしたいのであれば司法書士に相談すると良いでしょう。
5. まとめ
土地相続の相談先は内容によって変わります。
上記の相談先は専門分野と対応可能な範囲が異なるため、相談内容に合った相談先選ぶことが重要です。
土地相続の相談先で発生する費用は、以下の通りです。
土地の相続で失敗しないために注意すべきことは、次の4つです。
- 土地相続に関する何を相談したいのかを明確にする
- 土地相続に関する相談先の対応範囲を把握する
- 土地相続に関する手続きに期限があることを知る
- 土地相続の相談内容によっては司法書士の方が良い場合がある
この記事が、土地相続に関する相談を解決する参考となれば幸いです。
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