「任意売却では弁護士が必要なの?」
「任意売却で弁護士が必要なケースやメリットってどんなことがあるの?」
このように疑問に思っていませんか。
結論から言うと、任意売却の際に弁護士に相談することはほとんどありません。ただし、ケースによっては必要で、雇うことで不利益を被ることなく安心して任意売却ができる場合があります。
そこで、本記事では以下のことをご紹介します。
▼本記事で分かること
- 任意売却で弁護士が必要なケース
- 任意売却で弁護士に依頼するメリット
- 弁護士の費用・選び方
本記事を最後まで読むことで、自身が任意売却をする際に弁護士が必要か判断できるようになります。
ぜひ、最後までご覧ください。
1.任意売却の際に弁護士に相談することはほとんどない
任意売却の際に弁護士に相談することはほとんどありません。なぜなら、任意売却は不動産取引のうちの1つで、不動産会社と契約をして進めていくものだからです。
このように不動産会社が主となって任意売却をおこなうことがほとんどのため、基本的に弁護士が出てくる機会はほとんどありません。
ただし、弁護士が出てくるのは任意整理や自己破産といった債務整理をするケースです。弁護士に依頼すべきケースについては次章で詳しく解説していきます。
もし、債務整理の必要がない場合や自己破産などを考えていない場合は相談先が変わりますので、「どこにどんな相談をするのか」について知りたい場合は、任意売却の相談先について書かれたこちらの記事をご覧ください。
2.任意売却で弁護士に相談が必要なケース
任意売却をする際に債務整理もする場合は弁護士が必要です。
詳しくは以下の通りです。
弁護士が必要なケースを知ることで、「自身の場合は弁護士に相談する必要があるのか」を改めて再確認することができます。
それぞれについて見ていきましょう。
2-1.任意整理が必要な場合
任意整理とは、弁護士や司法書士が債権者(お金を貸している人)と交渉し、住宅ローン以外の債務における利息のカットや返済額を下げて支払いを楽にする手続きのことを指します。
任意整理が必要な場合は弁護士がいると安心。債権者との交渉は、債務者(お金を借りている人)がおこなってもよいのですが、法の知識や専門的な知識を持った人がおこなうことで交渉の成功率が上がるからです。
任意整理は債務の利息がなければ、分割で返済できそうな場合に使われます。そうすることで、今の住宅ローンを払えるようになれば、任意売却する必要がありません。
例えば、車のローンの利息をカットすれば毎月問題なく、車のローンと毎月の住宅ローンを支払えるようになる場合ですね。
このように任意整理をおこなう場合、弁護士に依頼するとよいでしょう。
▼任意整理が該当する人
- 利息をカットすれば債務に加え、従来どおり住宅ローンを支払い続けられる人
- 自己破産までは考えてないが、ある程度の支払いができる人
2-2.自己破産する場合
任意売却をしても返済が不可能な債務に苦しんでいる場合、自己破産をして借金を0にするというケースもあります。
例えば、借金のほとんどが住宅ローンである、または住宅ローンだけでなく、さまざまなところからお金を借りていて全く返済ができないレベルの借金がある場合です。
ただし、連帯保証人がいる場合は、自己破産をしても連帯保証人に債務の返済義務が残ります。
そのため、連帯保証人がいる場合は、連帯保証人とともに弁護士に相談しましょう。また、自己破産も法律の知識が必要なため、弁護士や司法書士に相談をして進める必要があります。
多重債務を抱えていて任意売却をしてもどうにもならない場合、自己破産をしてでも弁護士に相談するとよいでしょう。
▼自己破産に該当するケース
- 多重債務で任意売却をしても「毎月どうしても支払ができない・・・」という人
2-3.個人民事再生をする場合
住宅ローン以外にも多額の債務を抱え、返済が厳しい人が選ぶケースの1つとして個人民事再生が挙げられます。
個人民事再生は、借金を減らすために裁判所を通しておこなう債務整理のことです。ただし、安定した収入があることが条件になります。
利息がなくても返済が厳しい場合の債務自体の圧縮でよく使われます。
例えば、任意整理をして利息カットをしても「支払いが厳しい・・・」という場合です。個人民事再生は法律の知識が必要なため、個人ではできず、弁護士や司法書士に依頼する必要があります。
また、住宅ローンが残っている住宅については、「住宅ローン特則」というものを利用することができます。住宅ローン特則は、住宅ローンは減額されませんが、住宅ローン以外の債務が5分の1から最大10分の1に減額できるシステムです。
債務の減額率は以下の通りになります。
このように住宅ローン以外の債務を圧縮することで、住宅を手放さず手続きがおこなえるメリットがあります。しかし、それでも住宅ローンの支払いが滞るようであれば任意売却をすることになるでしょう。
▼個人民事再生に該当するケース
- 債務を圧縮すれば、支払える人
- 自己破産を避けたい人
2-4.事業の整理をおこなう場合
自身で経営している会社の経営悪化や不振によって住宅ローンが支払えず、事業整理をおこなう場合も弁護士に依頼が必要です。
私的債権(私的整理)を進める際に、会社所有、または保証人である社長所有の不動産の任意売却をすることがあります。
私的債権というのは、裁判といった法的整理によらずに債権者と債務者との自主的協議により再建または精算を図る手続きです。
このように事業整理をおこなう場合も弁護士に依頼する必要があります。
▼事業の整理に該当するケース
- 会社が経営不振で事業整理をする際に住宅の任意売却をしなければいけない場合
3.弁護士に依頼して任意売却を進める流れ
「弁護士に依頼して任意売却ってどんな流れで進んでいくの?」という方に向けて、弁護士に依頼して任意売却を進める流れについてご紹介します。
弁護士に依頼して任意売却を進める流れとしては以下の通りです。
流れを知っておくことで、弁護士への依頼をスムーズにおこなえるだけでなく、ある程度の流れが分かることでその場面で慌てる必要もありません。
それでは、弁護士に依頼して任意売却を進める流れについて見ていきましょう。
3-1.弁護士に相談する
まず始めに、任意売却の経験が豊富な弁護士に任意売却の相談をします。
弁護士に相談するにあたって現在の金銭状態が分かる以下の書類を用意するとスムーズです。
- 不動産購入時の書類(不動産購入時の売買契約書や建築確認書、間取り図)
- ローン残債の資料(返済計画書や借入償還表、住宅ローン借入時の金銭消費賃貸契約書など)
- 借り入れ先の一覧や金額が分かるもの
- 債権者からの通知(催促状や催告書)
- 家計の収入状況が分かるもの(給与明細など)
これらの書類を持って「任意売却で困っていることや気になること」を相談しましょう。その上でローンの滞納状況や残債務なども伝えてください。
3-2.不動産査定をおこなう
弁護士と提携している不動産会社や自身で検討した不動産会社に不動産の査定をしてもらいましょう。
適切な価格査定をしてもらうことで、売却代金がローン残債を上回るアンダーローンか売却代金がローン残債を下回るオーバーローンかを判断します。
そうすることで弁護士と今後の方針を立てることができます。
3-3.弁護士と契約を交わす
任意売却の方法や時期、依頼主の相談に基づいた今後の方針や弁護士費用の見積もりから委任契約を交わします。
「弁護士費用って大体どれくらいかかるもの?」と思いますよね。
費用相場については依頼する弁護士によっても変わりますが、任意売却の際は売却代金から支払われるため、基本的に費用はかかりません。
詳しくは、5.任意売却で弁護士に依頼した場合かかる費用で解説しているのでそちらをご覧ください。
3-4.債権者に交渉する
任意売却をする場合、債権者の同意がなければ売却できません。そのため、弁護士が以下のことを交渉します。
- 売却価格の調整
- 残債の返済方法
- 引越費用控除の申請
- 競売の取下げ
任意売却に長けている弁護士はどう進めていくか、どう交渉すれば成功するのかを知っているため、心強く、安心して任せることができます。
万一、交渉が決裂した場合でも再び同意してもらえるようなノウハウも持ち合わせているので心配ないでしょう。
3-5.売却活動をスタートする
任意売却の同意が得られれば、通常の不動産売却と同様、売却活動をします。
自宅に住みながらの内覧対応になるので、家の掃除などをおこなって内覧希望の方を受け入れるといった最低限の準備をしておかなければいけません。
忘れてはいけないのが、任意売却の場合、期限内に売却できなければ競売にかけることになってしまうということ。そのため、できるだけ早く売ることが大切です。
競売にかけられてしまうと、任意売却よりも安い金額で売却されてしまいます。
そこで、競売を避けるためにも、期間内に売却できるように自身でできることをおこなうことが大事です。自身でできることとして、内覧時の対応が挙げられます。
マンション売却を考えている方のなかで内覧についてや対応に関してしっかりと知りたい方はマンション売却の内覧について書かれたこちらの記事をご覧ください。
3-6. 売買契約~決済・引き渡し
買主が売買条件に同意をしたら、債権者へ「購入申込書」と物件概要や売却代金といった必要事項が記載された「記載売買代金配分表」を提出します。購入申込書と記載売買代金配分表は、不動産会社が用意してくれるので安心してください。
債権者から合意が得られれば不動産会社によって買主との売買契約が成立し、契約締結します。
また、事前に金融機関と引き渡し日を相談したうえで買主とも相談して引き渡し日を決めてください。そして、引っ越し後に決済・引き渡しをおこないます。
3-7.残債の返済計画をたてる
任意売却をしても、売却代金がローン残債を下回っていた場合は、残りの残債を返済していく必要があります。しかし、金銭的余裕がないのは明確なので、できるだけ軽い負担で月々返済していけるようにしなければいけません。
そこで、現在の収入やライフスタイルを考慮しながら実際に払える金額の交渉をします。
一般的には月額5,000~30,000円程度の返済となることが多いようですが、債務とライフスタイルによっては月々5,000円ほどに抑えることも可能です。
このように無理な返済額にならないよう、弁護士が交渉をしてくれます。
4.任意売却の際に弁護士に依頼するメリット4つ
さきほどは任意売却で弁護士を依頼するケースについてご紹介しましたが、「任意売却の際に弁護士を依頼するメリットって一体どんなことなの?」と思う方もいるでしょう。
任意売却の際に弁護士に依頼するメリットは以下の通りです。
メリットを知ることで、自身が弁護士に依頼する際、損害だけでなく、よりストレスなく任意売却ができるかということが分かります。
それぞれについて見ていきましょう。
4-1.債務整理をスムーズにおこなえる
弁護士に任意売却を依頼するメリットの1つが債務整理をスムーズにおこなえるということになります。債務整理をスムーズにおこなうことで、ストレスをできるだけ少なく支払いを楽にできるからです。
任意売却は不動産会社がおこないますが、弁護士に依頼することで任意売却後、スムーズに債務整理をおこなえます。
例えば、任意売却後「残債の利息さえなければ、支払えるのに・・・」という場合、弁護士によって任意整理をしてもらい、利息をカットするといったことです。
法に関わることを弁護士に任せることによって、債務整理がスムーズにでき、支払いも楽になります。
4-2.債権者に納得してもらいやすい
2つ目として、「債権者に納得してもらいやすい」というメリットがあります。任意売却の際は、債権者(借り入れ先)からの許可がないと売却ができず、ときには交渉が必要なケースがあるためです。
そこで弁護士に依頼すると、任意売却時の引っ越し費用や退去時期の調整といった交渉をおこなってくれます。法の専門家が交渉することで債権者に納得してもらいやすくなります。
特に引っ越し費用の面は債権者との交渉によって売却金から多少の負担をしてくれるかどうかが変わるため、弁護士が交渉にあたると安心です。
また、任意売却時の債権者の同意を得やすいだけでなく、残債支払の方法の交渉もおこなってくれるので心強いでしょう。
4-3.不利益が被りにくい
弁護士に依頼することで不利益が被りにくいというメリットがあります。なぜなら、弁護士が主となって、依頼主の利益を優先しながら任意売却をおこなってくれるからです。
売却活動時には不動産業者の力が必要ですが、法的な部分に関しては弁護士が主となって手続きを進めます。
その結果、余計な手数料を取るような悪徳業者に引っ掛かることがありません。
4-4.債務の督促がなくなる
弁護士に依頼し、任意整理の手続きをおこなうと債務の督促がなくなるため、ストレスが減ります。なぜなら、任意整理をおこなうと受任通知という書面が弁護士から債権者へ送られるからです。
債権者が受任通知を受け取ってからは、債務者に直接取り立てることは貸金業法といった法律によって禁止されています。
そのため、電話や督促状が自宅にこなくなります。
5.任意売却で弁護士に依頼した場合かかる費用
弁護士への依頼を検討している際に「任意売却を弁護士に依頼するとどれくらい費用がかかるものなの?」と気になりますよね。
任意売却を弁護士に依頼した場合、基本的に費用は必要ありません。
しかし、以下の2点の場合は基本的に費用がかかります。
- 弁護士に相談する場合
- 債務整理をする場合
弁護士への相談料は1時間あたり10,000円程度のところが多いですが、なかには初回無料のところもあります。
また、債務整理をするとかかる費用相場は以下の通りです。
なかには成功報酬を不要としているところもあります。
6.任意売却の経験が豊富な弁護士を選ぼう
任意売却を成功させるために、任意売却の経験が豊富な弁護士を選びましょう。なぜなら、債務整理の経験が豊富な弁護士は多くいますが、任意売却は特殊なケースで経験したことのない弁護士も多くいるからです。
まずは、ホームページなどで任意売却の実績を謳っているところを中心に探してみましょう。
任意売却に強い弁護士はもちろんですが、選ぶ際は以下の点も意識しましょう。
- 交渉術に長けている
- こちらの希望や要望も聞いてくれる
- 連絡が取りやすい
- 質問しやすい
- 親身になって相談に乗ってくれる
このように任意売却の際の弁護士選びはしっかりとおこなうことが大切です。きちんと見極めをおこなわないと、債務整理や任意売却の成功率が下がってしまいます。
任意売却や債務整理をスムーズにおこなうためにも任意売却の経験が豊富な弁護士を選びましょう。
参考:債権回収には差し押さえが有効!弁護士に差し押さえを依頼する理由と費用も解説
7.まとめ
本記事では任意売却における弁護士の必要性についてご紹介しました。
任意売却では、基本的に弁護士へ相談や依頼をすることはほとんどありません。しかし、住宅ローンのほかに債務がある方は弁護士に相談すると結果的によい方向に進む場合もあります。
そこで、本記事のおさらいをしていきましょう。
この記事が任意売却について弁護士に相談しようか悩んでいる方の参考になると幸いです。
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