住宅ローンは固定と変動どっちが得?金利上昇時の返済額もシミュレーション【2026年最新】

中古マンションの購入を考える人にとって、住宅ローンの「変動金利」と「固定金利」のどちらを選ぶかは、以前にも増して難しい問題になっています。

結論からいうと、住宅ローンは固定と変動のどちらが得か、一概にはいえません。現在は変動金利のほうが金利は低いものの、今後の金利動向や借入額、家計の状況によって、どちらを選ぶべきかは変わります。

少し前までであれば、迷う余地なく「変動金利」一択でした。しかし、今後も日銀の政策金利の上昇が見込まれる中、本当に「変動」で良いのか一度立ち止まって考える必要があります。

では、「固定金利」を選ぶべきかというと必ずしもそうとは限りません。

本記事では、住宅ローンは固定と変動のどちらが得なのか、2026年9月時点の金利をもとに、金利上昇時の返済額もシミュレーションしながら解説します。

執筆者プロフィール
山﨑 裕佳子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士/CFP認定者/証券外務員保有

通関士として通関業務、メーカーにて海外営業事務、銀行にてテラーなど経験し、FPの道へ。2022年「FP事務所MIRAI」設立。「家計の見直しでMIRAIを変える」をモットーに、家計相談、金融記事執筆、書籍監修など、幅広く活動している。

本記事の内容は2026年9月10日時点の情報に基づいており、不動産市場の状況や関連法規、税制などは将来変更される可能性があります。最新の情報については、公式の情報源をご確認ください。

目次

住宅ローンの変動金利と固定金利の「金利差」を比較

まずは、現在の変動金利と固定金利の差を見てみましょう。

2026年9月の一例では、変動金利1.195%に対してフラット35の融資率90%超で最も多い金利は3.57%ですので、その差は2.375%もあります。

仮に4,000万円を30年返済で借りたとしましょう。

金利が1.195%なら、ボーナス返済なしで毎月の返済額は約13.2万円。一方、金利3.57%なら約18.1万円となり、毎月約5万円の差が生じます。

変動金利の上昇リスクを勘案したとしても、年間60万円の差は大きいと言わざるを得ません。

山﨑

それでも固定金利を選ぶメリットは、「将来金利が上がり返済額が増える恐怖」を回避できることです。「変動」を選べば金利上昇リスクは「契約者」が負いますが、「固定」はそのリスクを貸し手である「銀行」が負うと考えると一定の金利差があることは当然ともいえます。

「金利上昇=変動金利は危険」とは限らない

現在のような金利上昇局面では変動金利にリスクがあります。一般的に変動金利は日銀の政策金利に影響を受けて見直されます。

しかし、だからといって「今から変動金利を選ぶのは危険」と決めつけるのも早計です。なぜなら、現在のような局面では住宅ローンの金利だけが上昇するわけではないからです。

金利上昇の背景にあるのは、一般的に物価上昇や賃金上昇を伴った経済の正常化です。それを踏まえれば家計側にもプラスの影響が生じる可能性があります。

たとえば、物価上昇に伴い企業の売り上げや利益が増えれば、賃金や所得が増えるでしょう。また、企業の株価があがれば金融資産が増える可能性があります。収入や金融資産が増えれば、家計の中での実質的な住宅ローンの負担割合は相対的に軽くなります。

山﨑

もちろん、すべての人の給料が上がるわけではありませんし、株価が必ず上がるわけでもありません。しかし、金利が上がっても物価、賃金、資産も増えると予測されるのであれば、仮に住宅ローンの返済額が増えてしまっても実質的に家計へ与えるインパクトは数字ほどではないのかもしれません。

ただし、年代により考え方は違う

ただ、誰しもが「物価が上がれば給料も必ず上がる」というわけではないでしょう。

同じ会社員でも、大企業と中小企業、若年層と高齢層、正社員と非正規社員など立場によって、賃金上昇の恩恵には差が出るのが現実です。

住宅ローンは35年やそれ以上という長期の契約になることが多いため、「将来、給料が上がるだろう」という期待だけを前提に変動金利を選んでしまうのは危険かもしれません。

山﨑

「変動金利」を選ぶなら社会情勢だけでなく、自分の就労状況と数十年後の見通しを立てることが大切。仮に「給料が上がらなくても返済できるか」これが変動金利を選ぶ際の最低条件となるでしょう。

変動金利が向いている人

では、具体的にどんな人が変動金利に向いているのでしょうか。

1.ある程度の家計に余裕がある人

たとえば、住宅ローンの返済額が多少増えても、家計へ与えるダメージが低い人です。返済計画を立てる際に、ローンの返済比率を抑えておけば返済額の増加に対応しやすくなります。

2.借入額が比較的少ない人

毎月の返済額が一定の元利均等方式での返済の場合、返済当初は返済額のうち利息部分が大きいため元本は減りにくい状況です。金利は借入残高に対してかかるため、金利が上昇したときに元本が多く残っているほど、総返済額は膨らんでしまいます。借入額が多いか少ないかで比較した場合、借入額が少ないほうが金利上昇が返済額に与えるインパクトは小さくなります。

3.長期的な家計管理ができる人

最近では、変動金利を選んで当初の返済額を抑え、その差額を現金や投資に回すという考え方をする人もいるようです。注意したいのは、住宅ローンは「確定額」ですが、投資は「期待額」であるということです。投資には元本割れの可能性もあることは心得ておく必要があるでしょう。

4.金利上昇を精神的に受け入れられる人

変動金利では、金利が上がるたびに「住宅ローンが上がってしまった」と不安になる人もいます。家計的にも精神的にも金利上昇を容認できる余裕が必要です。

変動金利が向いていない人

次のような人は変動金利に慎重になったほうがいいでしょう。

1.住宅ローンの返済額が家計ギリギリ

最初から余裕のない返済計画を立ててしまうと、返済額が増加したときに家計が破綻してしまう可能性があります。

2.共働きを前提にしないと返済できない

変動金利に限ったことではありませんが、収入合算やペアローンなど二人の収入を前提にローンの返済計画を立てている場合、どちらかの収入が減ったときに返済に窮することがあります。特に変動金利の場合、どちらかの収入が減らなくても、返済額が増えたことへの対応が厳しくなることがあります。

3.今後、教育費などの大きな支出が控えている

子どもがいる家庭では、教育費の確保は最重要課題です。住宅ローンの返済額が増えた場合に教育費を捻出できない可能性があるのであれば計画の見直しが必要です。

4.貯蓄が少ない

返済額が増加したときや、想定外の事態で大きな出費があった場合に対応ができません。

5.借入額が大きい

「今の低い金利なら返せる」という理由で「変動金利」を選択してしまうと、金利上昇に対応が難しくなる可能性があります。「いくら借りられるか」ではなく、「金利が上がってもいくらなら返せるか」を考えることが大切です。

固定金利を選んで後悔する人

理屈的には上述した「変動金利に向いていない人」が「固定金利に向いている人」になるわけですが、固定金利を選んだものの「やっぱり変動金利にすればよかった」と後悔する人もいます。

特に現在、変動金利が上昇傾向とはいうものの、固定金利との金利差は2%以上あります。結果論になってしまいますが、この先、完済までの間に金利の上昇が2%以下で落ち着くと予測するなら、変動金利が正解だったということになります。

山﨑

結局どちらが正解かはローンを完済してみなければわかりません。長い目で見れば、社会情勢を見極めながら、借換えなどの検討も必要になるかもしれません。

住宅ローンは固定と変動どっちを選ぶ?判断のポイント

現在のような金利上昇局面では、変動金利と固定金利のどちらが将来「正解」になるかは、誰にも分かりません。

しかし、自分の家計がどこまでの金利上昇に耐えられるかは、ある程度計算できます。

たとえば4,000万円を借りるなら、現在の適用金利だけでなく、

「金利1.5%の返済額」
「金利2%・・・」
「金利3%・・・」
「金利4%・・・」

と複数のシナリオで返済額を確認してみることです。

山﨑

もし、3%になったときに家計が苦しくなるのであれば、借入額を減らす、頭金を増やす、物件価格を下げる、固定金利を選ぶ、といった対策を検討するのが現実的です。

中古マンションには「住宅ローン以外の金利上昇リスク」もある

ここまで一般的な住宅ローン金利の考え方について解説してきましたが、中古マンションの購入には、新築マンション以上に注意したい点があります。それが住宅ローン以外の住居費が将来上昇する可能性です。

マンションの毎月の住居費は、「住宅ローン+管理費+修繕積立金+駐車場代+固定資産税」で考える必要があります。そのため、マンションでは、住宅ローンの返済額だけを見て「毎月これくらいなら払える」と判断して返済計画を立てるのは危険です。

そして中古マンションで特に注意したいのが修繕積立金の存在です。

マンションでは、外壁、屋上、防水、給排水管、エレベーターなどの共用部分を計画的に修繕する必要があります。その費用を区分所有者が将来にわたって積み立てていくのが修繕積立金です。

昨今の物価高を反映してマンションの修繕にかかる費用も高くなっています。積立金が不足する場合は、追加の修繕積立金を求められたり、毎月の積立額が増えたりすることがとくに築年数が古いマンションではおこりがちです。

山﨑

中古マンションの場合は、「住宅ローンの金利が上がるリスク」に加えて、「修繕積立金が上がるリスク」も含めて住居費を考え住宅ローンを選ぶ必要があるでしょう。

最後は「金銭」と「精神」の両方で決める

「変動金利」のほうが金銭的には有利そうだという結論に達したとしても、金利が上がるたびに不安になり、生活の満足度が下がるような人は「変動」は向いていないかもしれません。

逆に「固定金利」を選んで毎月の返済額が高くなったとしても、「安心して暮らせる」のであれば、その選択には価値があります。

住宅ローンは単なる「金融商品」として金銭的な合理性だけで「変動 or 固定」を選ぶのではなく「金銭面」と「精神面」の両面から総合的に判断するのが望ましいのかもしれません。

山﨑

「変動か固定か」の答えは人によって違います。選択のひとつの方法として「どちらが得か」ではなく、「どちらなら安心して生活できるか」を基準に考えてはいかがでしょうか。

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